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驚嘆

8月末の土曜日のこと。たまたま帰宅していた長女が、私の机の上の本を見て、驚嘆の声を上げた。

えーっ!なんで、なんでこんな本が、あるの!

私は、何事が起きたのかと机に立ち戻ると、長女がその本を手に取り上げていた。

赤ちゃんの名前辞典

その著名は、そう書いてあった。


それは、私がブックオフで買ってきた本だ。

で、私は、悪乗りして、

孫の名前を考えようと思って。

と、返した。

すると長女は、更に驚きながら、

ねぇ、どっちよ、どっち!!!

どうやら、長男なのか、次女なのか、そう、勘違いをしているようだ。長男は結婚していないし、次女はまだ大学生である。


実は、ブックオフでこの本を購入するに当たり、レジに並びながら家内が言っていたのだ。

この歳で、出来たなんて思われたら、恥ずかしいね。

まさか。それは、無いな。せめて、勘違いなら、孫だろう。

そう言っていたことそのものが、今、我が家の中で起こっている。ちょっと笑いをこらえるのが難しくなってきた。

で、あまりこじれないうちに、長女には、本当のことをバラした。

ひょっとしたら、ちょっとしたお話を書くかも知れず、登場人物の名前をつけるのに、最近の子供の名前ってどんなものがあるのかを、少し見ているだけだよ。

ところが長女は、すぐには信じず、

ウソ。誰なの?どっちなの?

しつこく聞いてくる。

おいおい。そこまで言われたら、俺こそ、そんな間違いがよもや起こっていないだろうかと、不安になってくるではないか。と、心の中でつぶやいた。

そこで、真面目に、事実なんだと説得すると、動揺と驚きがまだ残りながら、恐る恐る、その本を机の上に置いた。

で、聞いてみた。家内を指さしながら。

俺たちとは、思わなかった?

すると、

それは、無いわ。

フンッ、という、嘲笑と共に即座に返球があった。そして更に、

でも、気がおかしくなったのかと、本気で思った。孫が欲しいなんて、どういうプレッシャーを私たちにかけるつもりなのよ。

と、言った。

それを眺めながら、初めてのちょっとした創作を、翌週の月曜日ギリギリにすることになるのだが、まだまだその時点では、本気ではなかった。ただ、結局は、名前は、よくコメントをやりとりさせて頂いている方の中からお借りしてしまい、その本からとったのは、「つばめ」だけだった。

長女は、帰宅する日に、私に、言い残した。

あの本が、今年一番私を驚かせたわ。

我が家の流行語大賞は、今の時点で「赤ちゃんの名前辞典」が、リードしている。


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