右手首
私の右手首には、万歩計、心拍数、睡眠状態などを記録していく、デジタルウォッチが、つけてあった。
そういう機能がついている時計を、普通は、スマートウォッチというのだが。この、私のスマートウオッチは、かなり安価で。だから、デジタルウオッチと私は呼んでいた。
私は、左手首には、長男のお古の腕時計をしている。外出時は、時間の確認には、この腕時計をチェックしている。
では、右手首のこのデジタルウォッチは、何のためにしていたのか。それは、ほぼ、万歩計と、ブルブル震える、バイブレーションのアラームのためにつけていた。
そしてそれは、ほぼ、24時間365日、身につけていて。たしか、次女が高校2年生になった時からだから、まるまる5年間、1日も休まずに動いてくれていた。
こういう腕時計は、ベルトのところが、半年くらいで脆化して壊れてしまうので、ネットで、替えのベルトを買い込んで、なんとか使っていて。
つい2ヶ月前くらいに、ベルトが切れて、取り替えたばかりだった。
あと半年このベルトを使い、それが壊れ、最後のストックベルトを使い切ったら、このデジタルウォッチに、ありがとうをいうつもりだったのである。
それも、このベルト。蛍光色のような派手な色が多くて。赤とかライトグリーンとか、そういう目立つものからしていき、最後に目立たない黒を残して、それで幕引きをする予定だった。
それが…。
つい最近、とうとう、電源が入らなくなったのである。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
どうも、人生とは、うまくいかないものだな。
私は、静かに、デジタルウォッチに、感謝をした。ありがとう、と。
そして、さようならをしようとしたとき。
心の中の、リトルkojuroが、ボソッと、呟いた。
そう言えば、このデジタルウォッチ、命名は、していたのか?
名前は、あるよ。
デジ。
心の中の、リトルkojuroが、苦笑して、呟いた。
まんま、だな。
うむ。
朝、超早朝起床だった私は、家内を起こさないように、この、デジで、静かに起床した。
家内が帰宅していない今、誰に気遣うこともない。
毎朝、スマホのアラーム音で、起床する。
しばらく、右手首には、もう、デジタルウォッチはしないつもりだ。長男のお古の腕時計が寿命を迎えた時、その時に、考えよう。
明日の準備は、できた。
私は、静かに、布団に潜り、明かりを消した。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?