くろだま
家内と、長女は、良く職場から、お菓子や果物、飲み物や食べ物を持ち帰ってくる。
職場で、誰かの差し入れやら、お土産物を分けたものらしい。
そしてある日、こんなものを持ち帰ってきた。
最初は、何者かの分別がつかなかったが、パッケージの後ろに、小さな字で、「くろまる」と、書いてあった。
我が家では、お菓子、スイーツは、取り合いになる。時に、諍いごとの発端になるくらいである。
だがなぜか、これだけは、そのまんま、放置されていた。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、これ、調べてみたら？
ネットで調べてみると、なんだか、少し高級な和菓子のようだ。
だが。私は、慎重なタチで。諍いごとを起こさないように、ずっと、見守っていたのだ。誰かが押さえているのではないかとも思って。
それから、2ｹ月くらい経っても、誰も、手をつけなかった。そして、とうとう、最終手段に出た。
家族みんなに、聞いて回ったのだ。食べてもいいか、どうかと。
すると、以外にも、誰も、反対するものがいなかった。
恐る恐る、パッケージを剥がす。そして、食らいついた。
うーーーーーむ。美味でござりまするっ！
家内と喋っていて、ふと、くろまるのことを思い出した瞬間があった。だが、決して、表情は寸分さえも変えていない。
あれが、かなりの美味であったことは、なぜか内緒だった。
家内は、言う。
コジくん、なにか、良いことあった？
別に〜っ。
長年連れ添った家族は、よくよく、私の隠し事を、見抜く。目の奥の脳内をスキャンする。
怖い怖い。
家内は、夏のプロジェクトに参加するため、先日から家を空けている。今回は、不在期間が長い。8月の末までは都心のホテルで泊まり込みになり。帰宅するのは、日曜日の深夜で。月曜日の午前中には、また、出ていくのである。
日曜日の夜は、入念にマッサージをしよう。そう、心に決めている。
昼間の、家内とのやりとりからすると、家内は、元気なようである。
家内が元気だと、我が家は、明るくて、平和である。
だから。
これで、いいのだ。
■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。
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