半笑いの冷蔵庫【ショートショートnote_81/創作】
家内が私を追及するので、仕方なく、日曜日の夜に投稿するための、ショートショートの創作活動を、細々としている。
ショートショートノートカードゲームを使い、お題を家族に出してもらう。それをテーマに410字以内で、書く。
今回は、家内に、予めスマホのスロットアプリで選択していた以下の5枚から、お題を設定してもらった。
それでは、本編にまいりましょう。
長男のお題から。
本編、「半笑いの冷蔵庫」、約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
朗は、モノに名前をつける癖があった。冷蔵庫にも冷くんと名付けて大事に使っていた。
冷くん自身は、モノではあるが。自分に名がついていることに誇りを持っていた。
ところが、モノにも寿命がある。働き始めて15年が経ち。そろそろ引退の時期だった。
いまや「強」設定でないと冷却できなくなっていて。消費電力という面では、最近の冷蔵庫には、どうしても劣るのである。
ある日、また、冷凍庫のアイスを溶かしてしまった。
すると、ふと、朗が漏らしたのである。
買い換えようにも、お金もないし、な。
冷くんは半笑いをしつつ、そんな理由かよと思った。
だが。次の瞬間、朗はそっと、撫ぜるように、手を添えながら言った。
できるだけ、長く、一緒にいよう。
その温もりを感じたとき、ふと、悟ったのだ。朗の本心を。
それから5年間、冷くんは、何のトラブルも無く働き通し。新入りの冷蔵庫に完璧な引き継ぎをしてこの世を去った。
今は天国から、どんなときも朗を暖かく見守っている。
☆ ☆ ☆
■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。
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