レアもの
3月の初めのことだ。見切り品の中で、なかなか美味しかったものがあるのだが、それが、一気にまた、私の手元に戻ってきたのである。
これは、なかなか、稀なことだ。手に入ったものは、見切り品であったこともあったし、ひょっとしたら、もう、今後、生産中止されてしまうかも知れない。そうなると、見度とお目にかかれないかも知れないのだ。つまり、それらは、もう、レアものであると言えると思うのである。
そのひとつが、これだ。
甘酒トマト。もう、既に、スーパーでは手に入らないだろうと思っていた。だが、隣町の駅の、「おかしのまちおか」に、あったそうだ。そこで、また、見切り品で売り出されていたのを、家内が、たまたま見つけてきてくれたのだ。
なかなか、美味い。もともと、トマトジュースが好きなので、味が、私に、合うのだ。
しかも、2パックも、手に入れられるとは。嬉しいことだ。
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
これは、誰かさんに、感謝しないと、な。
そして、さらに。私の机の上に、こんなものも、置かれた。
これも、2つだ。なんと、これも、奇跡に近い。
また、心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
またまた、誰かさんに、感謝しなくては、な。
実は、この2つに、もう、遭遇することは、無いかと思っていた。
だから、少し前、トマトジュースと甘酒を飲んだ時、混ぜればよかったのに、とまで、思ったことがある。
ことに、この、フレッシュチーズ&トマトバジルは、これこそ、もう、食べられないだろうと思っていた。美味しいという味ではない。むしろ、味があまりついていなくて、世間受けは、しないだろう。だが、これが、また、良いのだ。私にとっては。絶妙に。
3月の上旬、こういうこともあり、私は、かなりの上機嫌になった。その状態が、1,2週間のあいだ続いた。
すると、家内が、その私を見ながら、3月の中旬くらいから、私に言うのである。
コジくん、ちょっと、足がさあ、寂しいって言っている。
ちょっと、さすってくれないかなあ。
ちょっとで、良いのよ。ちょっとで。
心の中の、リトルkojuroが、諦めたように、呟いた。
悪魔の囁きだ.....。
でも、ここは、素直に従っていた方が、いいかも知れないよ。
なんせ、レアものだから。あれらは。
私は、ニコニコしながら、ベッドでドラマを録画で見ている、家内の足元に向かった。
そして、タイマーを、10分で、セットした。
ピッ。
これから、少なくとも、左右、合計20分の、お仕事が始まる。
でも、結局、二時間、その姿勢で、手を動かしていた.....。
心の中の、リトルkojuroが、疲れ気味に呟いた。
レアものを手に入れると、つい、有頂天になってしまう。
ただ、この惑星の喜びには、代償が必要なのだ。