見出し画像

ショートショート_試作弾

本を書くなんてことは、思いもよらないことであるが。私にとってあれだけ苦手な創作も、ちょっとはできてくるようになったのかも知れないと思うようにはなったが。いや、冷静に考えると、私のものは、創作ではない。作り話ではあるけれども。創作とは、少なくとも誰かに、希望の光をともすものであろうと思うと、私は、そういう意味でも誰にも貢献していないのだろうと思いながら、ぼんやりと空を眺めた。

そんな日曜日に、またもや、荒技をやってしまった。

さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。

そして、今回のお題は、「本を書く」から始まる、小説、詩歌、エッセイということで。

そして、たらはかにさんからのお題は…。

表のお題が【ドローンの課長】で。裏のお題が【トロンボーンの口調】 ということだ。


お2人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。
それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。

また、今回は、三羽烏さんの、シロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を述べてみる。

いい作品だ。自省の念を込めても、そう思う。

本を打つ、そして、本を話す。小説家も、そんなスタイルでいく日が来るのだろう。

いずれは?いや、もう既に。

万年筆のインクと紙の匂いの立ち込める雑然とした部屋で、頭を掻き搔き、唸りながら文章を捻り出していく、もの書き。

そんな光景は、平成を通り越して昭和なんだろう。でも、私の脳内では、こういう絵が浮かぶのだ。今でも。恐らく、心の底では、それが理想なんだろう。私にとっては。

次女は、学校のレポートは、ほぼ、音声変換で書いて出していた。それを見た2年前、唖然とした。ちょっと前に亡くなった橋田壽賀子の遺稿は、原稿用紙に万年筆だったから、まだ、物書きとは、そういう流儀もあるものだと思い込んでいた。

私は、スマホやパソコンは、まあまあ使う。だが、音声入力は、ほぼしない。思えば、てるとさんは、交通事故で手が動かせなかったとき、音声入力の便利さを感じたと描かれていた。

諸行無常を、最近、特に感じる。だが気づいた。骨董品は、私自身であることに。

三羽烏さんの作品が、ふと、私自身を鏡に映してくれたような気がした。

今宵も、月に祈ろう。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。

せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のテーマ、3ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、4重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。


うむ。


これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。



心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。

なんだか、悪ガキだな。


まあな。

そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。

家族からのお題は、バックアップで書いたの?

うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。


私は、この荒技シリーズを、本当はハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、図らずも、コミカルな内容になってしまっている時もあり。今回はまた、その調子になってしまっているようで、実は、反省している。少しばかり。

さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「試作弾」約410字を、どうぞ。

☆         ☆         ☆

本を書くというよりも、漫画家なのである。だがあまりに有能ゆえ、りょうは任務にかり出されている。

ベランダに上司のステルスドローンがついた。

「これを使え」

涼は入れ替わりに飛び乗り、現場のオペラハウスに急行。そして人質がいるメインホールの地下配線路に忍び込んだ。




状況を確認する。


工作員が11名。うち1名が怪人。



「またかよ」




怪人対策には研究部の試作弾を使うことにした。準備万端。点検口を逆から押し上げる。


ボムッ!


催眠波動弾を爆裂させ、一瞬にして工作員全員を確保。残すは怪人のみ。


なんだか、調子っぱずれの声を出して威嚇してきた。




「何言ってんだかわかんねぇ」



試作弾を炸裂させると、トロンボーンと楽団員が分離された。試作弾は、改造怪人を元に戻すのだ。







無事全員と楽器ひとつを確保。到着した応援に引き渡しドローンで帰宅。


既に、背景絵は完成されていた。



確認して涼が言った。

「課長、グッジョブッ!」





ミッションも原稿も、共にコンプリートとなった。


☆         ☆         ☆




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?