花園万頭
日本一高い、日本一うまい。
これは、何の売り文句か、ご存じの方は、いらっしゃるだろうか。新宿に本店のある、和菓子に老舗、花園万頭の、それである。
もう10年以上前だが、会社の事務所が、花園神社の真ん前にあり。花園饅頭の本社も、その近くにあった。
看板に、大きく、「日本一高い。日本一うまい」と書いてあるので、気には、なる。その看板を見て、買う人も、勿論いた。
いろいろな話を総合すると、高いのは、高いらしい。日本一高いかどうかは、わからない。だが、うまいのもうまいらしいが、日本一ほどうまいかと言われたら、そうでもない。
というのが、定説だった。
その花園饅頭を、家内が、都内への出張帰りに買ってきたのである。確かに、ひとつ400円以上するらしく、5つで2,000円。家族が5人だから、一人ひとつ食べて、吟味しようと話していた。
そして、まず、家内が食べたのである。すると、前述のような反応と、ほぼ同じ反応が返ってきた。
これは、子供たちにも食べさせて、反応をみようということで、子供たちには、前段の話を、何度もした。
だが、子供たちは、それぞれに忙しかったようで。その日に食べることなく、翌日に持ち越したのである。
たまたま、少し遠出をしていた長男が、その、翌日に帰宅してきた。家内は、また、花園饅頭の話をし、食べてみるようにと勧めた。
そして、家内と私は、買い物に外出して、帰宅すると、そこで事件は、起こっていたのである。
なんと、空ではないか。
長女と次女の分が無くなっている。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジの配給、ゼロだったね。
当然のことながら、私の配給は、無かった。ほどなく長女と次女が帰宅して。その事実を知り、愕然としつつ、長男のことを責めていた。
だが、後の祭り。
夜になり、当然のごとく、マッサージをしつつ、会話した。
家内は、言った。
あのお饅頭、高いから、もう、買ってこないだろうな。
こうして、我が家の、花園饅頭ブームは、一瞬にして過ぎ去ったのであった。すべては、幻と帰した。
マッサージをすると、家内は、上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。
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