定義
私には、5つ年上の兄がいる。
この兄、優秀で。私のような悪ガキが嫌いなのだが、おちゃめな一面もあり、時に奇行に走る人で。
ちょっと変わっている。
勉強も良くできて、学校では、兄貴は優秀なのに、コジは……というような声をよく受けた。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
優秀な兄を持つと、下のものが苦労するな。笑
そんな兄なのだが、ある面几帳面で、ある面、はちゃめちゃなのである。
だが、物事をきちんととらえることが出来る人で、私は、兄によくなんだかんだと教えて貰ったりした。
そんな中で、一度、美人の定義というものを教えて貰ったことがあり……。
「コジ、美人ってなんや?」
私は、当時、河合奈保子が可愛いと思っていて。迷わず、そう答えたら、こんな言葉が返ってきた。
「あのなぁ、美人っていうのはなぁ、中田喜子みたいなのを言うんだよ。コジ、青いなぁ。可愛いと美人って、違うのよ」
なんのはなしですか。
そんな、自分の定義を人にとうとうと語る、お節介な兄だったが、私は私で、兄に否定されたくなくて、ほんとうに好きなタイプは言わなかったのだが。
実は、愉快な人が好きで。清水ミチコが好きだった。
美人の定義。可愛いの定義。そして、好きなタイプ。それは、人、それぞれなのだろう。
そんなこんなを家内に語ろうとしてソファーをみると、家内が脚を指さして笑って言った。
コジくん、当然、コジくんが好きなタイプは、私でしょ。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
その無茶な自信は、どこから出てくるの?
まあ、答えに窮しているあいだに、倍返しが決定した。
マッサージをすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。