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リキ日記_難題
ハリネズミの飼育者のことを、世間では、「ハリ飼い」というらしい。私は、その、ハリ飼いの中でも、まだまだ素人である。
我が家のハリネズミの名前は、リキという。
ひとつ、告白がある。
6月だった。これを購入したのは。もう、3ヶ月を過ぎ、4ヶ月になろうとしている。
これは、いわゆる、自転車の車輪につける、回転数とスピードを記録する機器である。
なぜ購入したかと言えば、最初の健康診断の時に、主治医の先生がハリネズミは、夜、かなり走る。中には、9kmも走る、強者がいるということを教えてくれたからである。
だから、計測してみたくなった。
だが、本当に計測できるかどうかの前に、問題が、2つあった。
まず、付け外しの問題だ。
センサーは回し車につけるのだが、回し車はほぼ毎日洗う。だからその都度つけたり外したりが発生するのは、手間がかかりすぎる。そして付け方も、どの様につけるか、試行錯誤が必要だった。リキは、毎日、力走している。この習性を、止めることはできない。つまり、現実的に、試行錯誤をするのであれば、もうひとつ、実験用の回し車が必要だった。少なくとも、当初は、そう、思った。
だが、直径40cmもある大きな回し車をふたつ準備するのは、スペースの問題、管理の問題からも、ちょっと気が引けた。
付け外しをどうするか、これが、一つ目の問題である。
そして二つ目が、回転方向の問題である。
はじめに、時計回り、反時計回りを、私は逆に捉えていた。リキが走る方向ではなく、回し車がまわる方向を表現していた。そこを、指摘してくれたのが、てるとさんである。ミニチュア作家のてるとさんは、ミニチュアを作るためのロクロから、治具まで、ご自分で作られるほどの人だ。私は、エンジニアとアーティストの両方の才をもっていらつしゃると思っている。
リキは、だいたい、反時計回りに回る。最初は、そう思っていた。ところが毎日観察していると、最近は、時計回りに回ることが多くなってきているのである。
つまり、回転は、右や左に、任意に変わっていくということである。一方、自転車の車輪の回転は、一方向である。バックは、基本的には、しないからである。
計測のセンサーは、一方向のみの回転用にしか、できていない。
さて、どうするか。
ここは、知恵の出しどころだろう。
両回転用に、センサーを2つつける。それを、足し合わせる。という解が、恐らく正しいのだろう。
いくつか、まだ、解決しなければならない課題がある。どうするか、しばらく、考えてみる。
そして、いつか近いうちに、行動する。
そしてもうひとつ。
撮りためたビデオをクラウドに格納する。そして、見てみる。観察してみる。そして、行動を少し、大雑把にでいいから、無知は無知なりに、私なりに、分析してみる。
そこからも、何か、ヒントがあるかも知れない。
高校の時、ファーブルの「昆虫記」と、シートンの「動物記」を、苦労して読んだ。担任の化学の先生が、人として、特に理系を目指すものは、今のうちに読んでおけば、必ずこの先、役に立つと教えてくれたからである。
もう、40年も前の話だ。
正直、もう、忘れてしまった。最初から読み直す気力も、時間も無い。いや、作れない。
でも、思うのである。
リキとの生活も、そう、長く無い。5年か。長くて、6年。リキが生まれてから一緒に暮らし始めてから、もう、4ヶ月が過ぎた。残り時間は、決して長くはない。
ハリネズミの生態は、まだ、あまり知られていない。学者のようなことはできないが、リキとともに生きることで、少しでも、これからのハリネズミとハリ飼いの方々のためにならないかと思うのである。せめて、少しでも観察をし、ちょっとした記録でも残しておけないだろうかと、思うのである。
それが、生き物とともに生きるということの、ひとつのいきかたなのだと思うのである。
心の中の、リトルkojuroが、苦笑しながら、つぶやいた。
理想は高く。行動は、地道に。でも、意思と情熱を持って。
だな。
そんな私の気持ちを知ってか、知らずか。リキは、今日も、リキ走している。まあ、時々、危険を察知して、止まって、丸まってしまうのだが。
でも、それでも。
これで、いいのだ。