クァルテット・セブン
我が家の車は、トヨタのヤリスである。そして、その名を、小志朗(こじろう)という。
11月18日早朝というか、未明から、家内は、遅い夏休みの長女と共に、西へと旅だった。
家内のこだわりポイントは、ポイ活とクーポン、節約と負けず嫌い。そして、子供との旅行である。その旅行は、平日に限られていて、大学体育会所属の次女と私は、いつも、置いてきぼりを食らうのである。
今回の旅行は、ひとつ、問題点があった。それは、我が家の「ゾロ目祭り」に、確実に、ひっかかる、ということだった。
私としては、このゾロ目祭りは、私のライフワークのひとつとして取り組んでいる。であるから、私がその場に不在というのは、そもそも、考えづらいのである。
前回も、次女とボーイフレンド一味の小旅行のおかげで、6666kmを見損なったばかりだ。
少し、表現がオーバーか...。
とにかく、家内が長女と小志朗で旅行中に、ODOメーターが7,777kmになることは、確実だったので、なんとか小志朗を出さないようにと画策はしたものの、家内は全く意に介さず、小志朗との旅行を決行した。
私は、
どうしてなんだ。どうして、私が不在のときに、しかも、ラッキーセブンが4つも重なる、ゾロ目祭りななんだ!おかしいだろう!!
と、空しく、大声で、心の中で叫んだ。
家内と長女が出かける時、
気をつけてね。7777Kmの瞬間は、撮ってきてね。他に、お土産はいらないから。
そう、声をかけるのが、精一杯だった。
そして、家内と長女の、お気楽旅行2日目に、写真とコメントが送られてきた。そこには、一言。
尼崎市名神高速道路上
いつもは、家族LINE上で、いろいろなコメントが飛び交うのだが、今回は、誰も、コメントを発しない。昼休み時間だったが、誰かに遠慮しているのかも知れない。
なんとも静かなゾロ目祭りが、人知れず終わりを告げた。
いやいや、私のライフワークが、ここで終わってもらっては、困るのだ。
家内と次女が帰宅すると、ODOメーターは8769㎞に、なっていた。8888kmまで、もう、111kmだ。時間は、無い。計算して、次の、末広がりの8のゾロ目祭りは、絶対に盛り上げるのだ。
ネットで調べていると、占いやスピリチュアルの世界では、8888は、エンジェルナンバーというらしい。私は、たいして占いやスピリチュアルの世界に入り込んでいるわけではない。単に、ゾロ目を見たい。それだけなのだ。
そんなことを話していると、家内が、ボソッと、次女に言った。
コジくんは、ほんと、子供なんだから。
次女は、黙って、うなずいた。
注1)カバー画像の、「七㐂」ですが、「しちき」と読んでいただけたらと思います。㐂は、喜ぶという意味だそうで。今回のゾロ目、7777にかけて、漢字で何か表現できないかと思い、「㐂」に行きつき、そこに「七」を加えて「七㐂(しちき)」としました。「㐂七(きしち)」でも良かったのですが、その屋号のお蕎麦屋さんが実在するそうで、邪魔をしてはいけないと思ったのです。また、それを無理やり英語風に、「クァルテット・セブン」という題名を被せて、独り言記事を書きました。何とも、お粗末さまでした。
注2)ゾロ目祭りとは、車のODOメーター、つまり、生涯走行距離がゾロ目になった瞬間を捉え、家族みんなで楽しむ、我が家独自のイベントのことでした。