お戯れ
3月上旬のある夜、聞き慣れない言葉を、家内との会話で、耳にしたのだ。そのおかげで、家内を2度見、いや。家内の言葉を、2度聞きしたほどだ。
家内の、こんな言葉だった。
明日の、私のミッションを、今、確認してるのよ。
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
あなたは、この家で1番地位の高い、女王陛下なのですよ。
あなたは、ミッションを遂行する人ではなく、与える人なのですよ。
私は、そもそも、ミッションなどという単語が、家内の口から出て来るところが、まず、信じられなかった。
家内は、そんな、ハイカラだったか?
心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
ハイカラ?言い方が、古いぞ。
でも、女王陛下に、ミッションを与えるなどという不届き者は、どこのどいつなんだろう。
話を整理していくと、その、影の存在が、明らかになってきた。
つまり、家内に、わざわざ休みをとらせ、操る存在は、長女だったのだ。
家内は、まずまず朝早くから電車に乗り、街中のある書店に、開店前から並んだ。
並んでいる列が、間違っていないかを、前の若い女性に訪ねたらしい。
家内がこう、LINEに入れると、長女が、すぐに反応した。
家内は、なかなか、ミッションを、確実にこなしていく。
だがここで、心の中の、リトルkojuroが、呟いた。
人にやらせるところは、やはり、女王陛下だな。
自然に人を操れるところが、何とも恐ろしい気がする。
そして、ほどなく、目的のものを購入し、1店目のミッションは、完了した。
さらに、家内は、すぐさま、また、隣の街中に移動し、2店目の書店で、2つ目のミッションを、完遂した。
このやりとりを、LINEで一部始終確認して帰宅した私は、こんなものを見つけた。
私は、思わず声を出して問いただした。
同じものを2冊も買ってる!
家内が即座に返してきた。
何をいまさら。
書店によって、ついてる特典が違うのよ。
その特典が、お嬢様の、お目当てなのよ。
我が家は、過保護である。そして、長女は、過保護のカホコである。
私は、家内に言った。
女王陛下が、ミッションを遂行しては、いけないのではないかな?
すると、それを聞いた家内が、高笑いをした。
まあ、たまには、良いのよ。
ハッハッハッ!
心の中の、リトルkojuroが、ため息交じりに呟いた。
でも、絶対に、コジのミッションは、遂行しては、くれないだろうな……。
こうして、女王陛下のお戯れのお休みは、平和な笑いの中で、終わった。
我が家は、家内が上機嫌ならば、平和なのである。
これで、いいのだ。