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シュークリーム
私は、何でも食べる。好き嫌いは、基本的に無い。だが、強いて言えば、苦手なものは、少し、ある。ひとつは、餡子だった。だが、家内の実家の、私から言うと義理の祖母が、絶品のおはぎを作る人で。その祖母のおかげで、おはぎは克服したつもりだった。だが、少し苦手意識が残っていたのであるが、このご時世になったときに、あるきっかけで何とか完全に克服することができた。
だがもうひとつ、実は、苦手がある。それは、シュークリームだ。食べられないほどではない。だが、私は、好んで食べることは無い。自ら購入したり、手を出したりすることは皆無である。
誰かに勧められたりしたら、半ば、いやいや食べるのである。
それは、高校時代に、嫌と言うほど食べたことがあり。それがきっかけで、苦手意識が拭えなくなったのだ。そのことは、以前、記事に書いたことがある。
先日のことだ。
義弟が、3月中旬の金曜日の夜、飲みましょうと誘ってきたのだ。義弟の自宅で飲むことになった。
義弟は、転職してこの春から離島に単身で移住することが決まっている。そろそろ送別会をしなければならないとは思っていたので、家内も、長女も次女も不在の中、私一人で義弟宅にお邪魔した。
飲み進めるうち、義弟と、何か食べるものを買い足しに行こうということになり、近くのスーパーに繰り出した。
ちょっと酔っていたのも手伝い、こういうものを購入してしまった。私は、義弟宅の三人の子供たちに食べてほしいと思って、大量に買い込んだ。
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心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
さっちゃん(注1)の教えの、ポイ活、クーポン、節約の癖だな。自分が食べようとも思わないものを買い込んでしまうなんて、ダメだよ。そもそも。
宴もすすみ、終電近くの時間となり。私は、おいとますることになった。
義弟が、また明日にでも食べてくださいといって、少しお土産を持たせてくれた。
ありがとうと言って帰宅したのだ。気分良く。
帰宅して、お土産をあけると。
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私が酔った勢いで買い込んだシュークリームが5つも入っていた。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
因果応報。
家内は、不在だ。もともと。長女も、次女も、それぞれに食べたいスイーツを、コンビニで購入して帰宅してくるようになっている。合格シール(注2)は、賞味期限切れ寸前を意味する。購入してから、3日も経てば、もう、劣化していくばかりなのである。
3日間、長女と次女にお願いをした。頼むから、このシュークリームを食べてほしいと。
だが、その甲斐もなく。それから5日間、私は、この合格シールシュークリームを食べる羽目になった。
まさに。自業自得である。
シュークリームは、本来、美味しいものである。だが、私は、まだ、この美味しい食べ物を完全に理解するところまでは、到達していないようである。このままでは、残念な人生になりそうだ。
家内は、あるプロジェクトに参画していて。仕事が忙しくて、事務所の側のホテルに寝泊まりしている。日曜日の深夜に戻り、月曜日の昼過ぎにはまた、ホテルに泊まりに行って、そこで仕事をしているのである。
マッサージは、とんと、しなくなった。そのかわりに、家内の健康のことを心配をしている。これならば、マッサージをしているほうが、よほど良かった。
心の中の、リトルkokuroが、ボソリと、呟いた。
己の欲せざるところ、人に施すこと勿れ(注3)。
やりとりからすると、家内は元気なようである。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)我が家の家内の呼称は、「さっちゃん」である。さっちゃんは、女王陛下という別の呼称もある。だが、リキの関係で「おばあちゃん」なんて呼び方は、まかり間違っても、してはならないのである。
(注2)我が家では、購入するものは、できる限り値引シールの貼ってあるものを狙うことになっている。「半額」か「50%」以上のシールのことを、我が家では「合格シール」と呼ばれている。
(注3)己の欲せざるところ、人に施すこと勿れ。つまり、自分がやっとほしくないことは、人にするもんじゃないよ、という、孔子の有名な戒めの言葉。