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リキ日記_パタパタ音
ハリネズミの飼育者のことを、世間では、「ハリ飼い」というらしい。私は、その、ハリ飼いの中でも、まだまだ素人である。
我が家のハリネズミの名前は、リキという。
リキのケージから、ときどき、パタパタパタパタパタと、リキが足で自分の体を叩くか、何かの音が聞こえてきていて。どうにかその瞬間を捉えてみたいと思っていた。
想像では、足を素早く動かして、痒いところを掻いている。その足が、巣箱の壁か、床に当たっていて。それが、聞こえてくるのだはないかというふうに、思っていた。
前のカメラでは、この姿を捉えられなかった。もしも捉えていたところで、カメラはずっと、のべつまくなしに撮影しているので、その瞬間を確認しにいくのに時間がかかった。そして、巣箱の中のカメラは、距離が近すぎる。全体を映すカメラは、距離が離れ過ぎている。いずれも、画角に入らなかったり、画像が粗過ぎてみえなかったりというデメリットがあった。
だから、これかな、というようなシーンを撮っていても、確かな映像を切り出すことが、できなかった。
動作感知の新カメラを年末に導入し、格段に観察しやすくなった。そして、リキには邪魔になって申し訳ないが、ケージの中に、どんと据え置いて、まずまずのアングルと画質で捉えることを可能にしている。
そして、とうとう、その瞬間をとえらることができた。
たった29秒。その瞬間としては、冒頭の10秒程度の、この画像である。
リキは、ハリネズミである。夜行性で、臆病である。リキの性格は、そのハリネズミの中でも特に臆病で警戒心が強いようで。なかなか、外から見ていたりすると、落ち着かないようで、すぐに巣箱などに隠れている。
よしんば、回し車で回っていても、止まってうずくまり、ブルブルと震えて、時が経ち、みている人がいなくなるまでじっと、我慢して機会を伺い、逃げ出すタイミングが来るのを待っている。
そんなリキに、なるべくストレスをかけてはいけないということで、特に、暑すぎる夏や、寒すぎる冬は、昼間はリキを巣箱の外には出さないようにしている。
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もともとの親である長男は、こう言うのだ。
甘やかしすぎだ。だから、いつまで経っても、ちっとも慣れてこないんだよ。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
いやいや。幼少期のリキの教育がなっていなかったのは、君のなせる業なのだよ。
まあ、それは、いいだろう。
春も、もう過ぎ去ろうとしていて。もう、季節は、初夏である。
そろそろ、リキの健康診断に行かねばならない。そして、体調を確認して、それから、少しずつ、リキにストレスをかけないように、変えるところは、変えていこうかと思うのである。
こんなとき、リキのことを相談すべき家内は、なかなか帰宅できなくなった。
家内は、あるプロジェクトに参画していて。仕事が忙しくて、事務所の側のホテルに寝泊まりしている。日曜日の深夜に戻り、月曜日の昼過ぎにはまた、ホテルに泊まりに行って、そこで仕事をしているのである。
マッサージは、とんと、しなくなった。そのかわりに、家内の健康のことを心配をしている。これならば、マッサージをしているほうが、よほど良かった。
心の中の、リトルkokuroが、ボソリと、呟いた。
リキのことも、コジが守ってやらないと、もう、誰も見てくれないようになってしまったね。寂しいね。
やりとりからすると、家内は元気なようである。
だから。
これで、いいのだ。
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磯貝さんが描かれたネズミのGIFを、リキと偽って、いつも使わせて頂いている。毎週、紹介をしていると、ちょっとうざったいと思われているとは思うのだが、あまりにもこのGIF。リキの、回し車でのリキ走を思い起こさせるので、ここに載せないではいられないのである。磯貝さん、うざったくて、すみません。
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2月の末の、第2回JDAミニチュア・ドールハウス展で、てるとさんに、ハリネズミの置き物を頂いた。これが、また、可愛くて。気に入っている。てるとさんは、ミニチュア作家である。本当に細かい焼き物を、作っていらっしゃる。展示会で、いくつか気になるものは手に入れたが、いつも記事を読ませてもらっていて。毎日の工夫やチャレンジを知っているので、展示会で作品群を見ても、そのストーリーが思い起こされて。感動してしまう。また、ドールハウス展。首都圏で開催されるときは、できる限り都合をつけて、てるとさんの力作群を見に行きたいものである。