曲がったサイン【ショートショートnote_89/創作】
家内が私を追及するので、仕方なく、日曜日の夜に投稿するための、ショートショートの創作活動を、細々としている。
ショートショートノートカードゲームを使い、お題を家族に出してもらう。それをテーマに410字以内で、書く。
今回は、長男に、予めスマホのスロットアプリで選択していた以下の5枚から、お題を設定してもらった。
それでは、本編にまいりましょう。
長男のお題から。本編、「曲がったサイン」、約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
新は、父のことが苦手だった。教育熱心で、厳格で古風で、頑固で。時々、烈火のごとく怒り、幼少の時分は、殴られることも少なくなかった。
一浪して大学に進学。奨学金をもらって実家から通い。待ってましたと、就職と同時に独り暮らしを始めた。
やがてお金を貯め、自らベンチャー起業を創業。かなりの実績をあげた。
だが。
好事魔多し。海外の銀行の破綻と同時に金融不安となり。一切合切が紙くずとなって、多額の借金だけが残った。
同時に父が他界し。嫌々のように葬儀に出て。家族とろくに話もせず、帰宅した。
何も無くなった、がらんどうの部屋。一通の封筒があった。
何の気なしに開封すると、全借財の精算書で。特徴の有るサインがしてあった。
右肩上がりで。文字面自体が緩やかな扇形で、湾曲している。
余計なこと、しやがって!
どうしてか、涙が、止まらず。
床に座り込んで、朝まで泣き尽くした。
翌日。
朝から雨で。
父の口癖を、ふと、思い出した。
すべてが整うと、雨が降る。
☆ ☆ ☆
■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。
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