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スイッチ
先々週の金曜日の夜、仕事で疲れ果てて帰宅しようとしていると、長女が我が家に帰ってきているという。歯医者だ。今、親知らずをひとつひとつ抜いて、治療しようとしていて、1本抜いたところなのである。その消毒を、地元の歯医者で、わざわざ、してもらっているのだ。
ほどほどに遅かったので、私が帰宅したときには、もう、いないはずだったが、最寄駅で待っていた。そして、例の如く、自宅まで送ってほしいという流れになった。
コジくん、なんだったら、家に帰る?
ゆっくりしいていたら?
家内は、そう言うが、私は、長女の自宅に一緒に夜のドライブをすることを選んだ。
運転席には、家内(注1)。
そして、助手席には、長女が座る。
そして、長女のすぐ後ろに、私が座らさせる。
長女が言った。
コジくん、頭、マッサージしてくれる?
え?
心の中の、リトルkojuroが、気の毒そうに呟いた。
本当に、疲れ果てて、家族の中で、いちばんマッサージしてほしいのは、誰なんだろうね。
家内と私は、過保護である。そして長女は、過保護のカホコである。
私は、黙って、長女の頭を、マッサージした。
おー。気持ちいいぞ。
長女は、ご満悦だった。
私は、ちょっと、力が強いようで、長女が言った。
コジくん、もう少し、力を抜いてもらっても、いいよ。
だが、長女は、こんなことは言わない。
少しさすって。長ーく、さすって。
私は、ほんの10分くらいで、解放された。
長女は言った。
ありがとう。
コンビニに寄ったり、マックで晩ご飯をドライブスルーで手に入れたりしながら、長女宅に着いた。
そして、トイレを借り、家内と私は、帰途についた。
ほどなく、私と家内のスマホがブルブルと、鳴った。
帰りの、小志朗(注2)の中で、信号待ちのときに、家内がLINEを見ながら、大笑いをし始めた。
そして、私に、長女との3人のグループLINEを見るように言った。
見ると、こんな写真が目に入ってきた。
心の中の、リトルkojuroが、叫んだ。
やっちまったなぁ!
すると、次は、こうなった。
頭のマッサージ、してあげたじゃないか.....。
心の中の、リトルkojuroが、静かに諭してくれた。
画竜点睛を欠く。
お疲れ様。
(注1、2)我が家の車には、小志朗=こじろう、という名前がついている。家内は私が運転すると酔うらしく、99%、家内がハンドルを握っている。