ショートショート_後ろ蹴り
十二月ともなると、もう、今年をどう締めるか、来年をどう迎えるかを考えるのだろう。世間の人々は。
私は、そんなに準備の良いほうではない。
年賀状もまだ全く手配もしていないし。カレンダーは、宇宙兄弟カレンダーとビックカメラのカレンダーをようやく先週手に入れた。
だが。仕事も全く閉められる気配もなく。プライベートなど、全くやりたいことができていないどころか、そのやりたいことがなんなのかすら、欠片も判明していない。
冬至には、どうにか一陽来復と一陽来福の早稲田のお守りは授かろうとは思っているが、その程度である。
本当に、今年は、終わってしまうのか。師走というが、違あっという間に12月なんて終わってしまう。
そんな日曜日の夜に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、毎週木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「十二月」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【山岳フリマ】で。裏のお題が【音楽トリマー】|д゚)チラッ、ということだ。
そしてそして、山根あきらさんのお題は、ちょっと早めに出る。
「憧れのお姉さん」という言葉をタイトルまたは本文中に含めた「短編小説」「エッセイ」または「詩」をご投稿ください。ということで。
今回は、文中にこのお題を入れさせて頂くというところで作ることにしよう。
また、今回も、シロクマ文芸部・12月で検索して飛んでいき、シロクマ文芸部作品を読んでみた。喜ノ歌さんの記事である。ちょっとその感想を述べてみる。
「ご恋落」とは、また、風流な。
恋に落ちると書いて、「ご連絡」と掛ける。こうしたやりとりをしているだけで、既にその行為は青春だ。
むかし、偉い経営の神様が言ったそうだ。
「青春とは、心の若さである」と。
まさに還暦を過ぎて、私は、本当にそう思う。心に情熱や意思、若さのある人は、それだけで輝いて見えるのだ。
決して年齢では、心の若さや青春は、色褪せない。
人は、心、だ。
そう考えると、「ご恋落」って、実に良い。
ただ、生きていることに感謝して。今宵も、見えぬ新月に祈ろう。
小牧幸助さん、たらはかにさん、山根あきらさん。3人とも、私は、大好きである。そして、毎週繰り出されるお宝のお題たちが、毎週の日曜日の、私の励みである。
だが、小牧幸助さんのシロクマ文芸部のお題、シロクマ感想文、たらはかにさんの毎週ショートショートnoteの表裏のお題。山根あきらさんの青ブラ文学部のお題。すくなくとも5重のお題を入れ込んでしまう「荒技」。
この日曜日の荒技、やり始めてからこれで1年と4ヶ月を過ぎた。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、きかん坊の悪ガキだな。
わかっちゃいるけど、やめられない。
なんのはなしですか。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「後ろ蹴り」約410を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
十二月にも入ると、さすがに寒くなる。
充は、南大沢の改札横のケーキ屋さんで、隣家に住む泉を見かけた。
充にとっては、泉は長年の憧れのお姉さんなのである。
しかし充は泉の瞳の奥に強い意志を感じていて。どこか近寄り難い思いを抱いていた。
充は、柔道部に所属。この最後の夏のインハイで中量級の準優勝という結果を残した強者ではある。
そんな充は年上に憧れがある。
お向かいのワンゲル部の女子大生も好きで。彼女は山岳用品を多摩センターのフリマで出しているところを時々見かけたりする。
斜向かいの家は動物専門の理容店で。そこの音大生はそこでアルバイトをしているのをよく外から見かける。
そんな思考をしつつケーキ屋さんを通り過ぎようとしたところ、女性の叫び声が聞こえた。驚いて振り向くと、暴漢を泉が強烈な後ろ蹴り倒したところだった。
「強くなる。大学では勉学も柔道も極めて、泉さんを超えよう」
唖然としつつも、ふと、心の独り言が漏れ出てしまう充であった。
☆ ☆ ☆
荒技を書き終えて背伸びをしながら振り向くと、ソファーのさっちゃん(注1)が言った。
noteよりもさぁ、マッサー頼むわ。ここに、荒技は、いらんよ。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。
(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。