沖縄のベンチャーが株式投資型クラファンに挑む理由
はじめに
私が創業・経営に携わっている由風BIOメディカル株式会社は、現在、イークラウド様プロデュースで株式投資型クラウドファンディングに挑戦しているところです。
公募期間はあと4日。目標調達額約1,500万円に対して進捗率159%、140人もの投資家様に応援頂いています。当社事業に共感して頂き、本当にありがたく思っています。
株式投資型クラウドファンディング公募ページ
本株式投資型クラウドファンディングのキャッチは「ナノバイオロジーで診断医療の技術革新と再生医療の社会実装に挑む」というものですが、これだけでは当社の事業内容や私自身を伝えきれないため、今回、はじめてnoteに投稿します。
当社事業
当社は「体外診断薬開発」「再生医療CMO/CDMO」「バイオ3Dプリンタ実用化」という3つを主軸事業としています。体外診断薬開発はグローバルでも有名な医療メーカー(契約により名称非開示)と提携して進めており、再生医療CMO/CDMOとバイオ3Dプリンタ実用化に関しては沖縄県の産業振興戦略事業として行政支援(単年6千万円)を得ながら進めています。
※CMO:Contract Manufacturing Organization(医薬品製造受託機関)
※CDMO: Contract Development and Manufacturing Organization(医薬品開発製造支援機関)
3期目のバイオベンチャーですが、今期は既に決まっている契約類だけで年商1億円を超える業績予測になっています。また、みずほファイナンシャルグループのイノベーション候補企業としてM’s Salon会員に認定されています。
スタートアップ企業が3つも事業を抱えているの?大丈夫??としばしばお叱りを受けることもありますが、優先順位と事業戦略はしっかり練っています(国内IPO最大手の株式会社AGSコンサルティング様が当社に資本参画しており、当社の事業計画策定にも関わって下さっています)。
各事業の詳細にご興味をもって頂けるようでしたら、下記リンク先をご参照頂けますと幸いです。
体外診断薬開発
再生医療CMO/CDMO
・再生医療CMO/CDMO事業
・沖縄で提供する第1号再生医療技術
バイオ3Dプリンタ実用化
私について
生い立ち
広島県呉市吉浦出身。高校まで呉で育ち、慶應義塾大学理工学部進学時に上京しました。応用科学専攻で学術的専門は高分子化学・界面コロイド化学・バイオマテリアルです。裕福では無かったので、大学院時代は日本育英会奨学基金と、慶應関連の給付奨学基金(小泉信三記念奨学基金・藤原奨学基金)、WEB広告事業で生計を立てました。
あまりこれといった趣味はありませんが、しいて言えば伝統派空手とソフトボール、音楽鑑賞(クラシック)を好みます。伝統派空手は、高校時代にインターハイに2回、全国選抜に1回出場し、流派全国大会で8位に食い込みました。ソフトボールは大学4年生からはじめ、博士課程時代に塾長杯(慶應義塾全塾対抗ソフトボール大会)で3位チームの先発ピッチャーを務めました。やり始めるとのめり込む性格なのかもしれません。
キャリア
博士(工学)学位を取得後、キヤノン株式会社に入社し、ここで18年間ほどお世話になりました。同社では基礎研究、製品開発、生産技術開発、知的財産戦略、事業企画など様々な業務に携わり、自分で言うのも何ですが出世コースを走っていました。同僚からは「会う度に昇進している」とか嫌味を言われるくらい・・・。
最終役職は、CEO直轄の全社ライフサイエンスプロジェクトで技術面での実質的な統括職としてプロジェクトマネージャーと室長を兼務し、キヤノンのライフサイエンス領域での新規事業のけん引役を担いました。特許表彰7回(内最高ランクA賞2回)受賞。
大企業ゆえの嫌な経験もたくさんしてきましたが、私のキヤノンライフはトータルプラスだったと思っています。様々な経験をし、おかげで成長できたと感謝しています。独立して会社を創ると言って退職を願い出たら、役員を含む上級管理職面々から「何が不満なの?中濵君、コースに乗ってるのだし今やめられたら本当に困るんだよ」と、このご時世では珍しく強く引き留めて頂き、キヤノンには申し訳ない気持ちとともに、感謝の気持ちを持ち続けています。
※感謝の証拠に、当社の備品はキヤノン製ばかりを採用しています!
キヤノン株式会社を退職後は、由風BIOメディカル株式会社を創業するのと同時に、母校の慶應義塾大学に訪問研究員として招聘され、2年間ほど再生医療関連の基礎研究と知的財産戦略をサポートしました。キヤノンで150件以上特許を書き、新規事業に関する知的財産網を構築したことを評価頂いたのだと思います(特許は執筆も戦略も得意なので)。
創業のきっかけ
大企業での仕事は本当に大変ですが、社外関係の交渉で会社ブランドが使えるという点では楽をしていると思います。私の業務はB to Bのビジネスで、どちらかというと「買ってあげる」「採用してあげる」側だったため「キヤノンの中濵です」というだけで明らかに交渉が有利になります。ある時から、もし自分から「キヤノンの」を抜いたら無価値な人間になるのではないかと思うようになりました。
一方で、自分の研究開発力(知的財産含む)や事業企画力など大学とキヤノンで研鑽してきたものには自信があったため、自分から「キヤノンの」という肩書を除いてチャレンジしてみたいとも思っていました。また、キヤノンの会社規模で新規事業というとどうしても1,000億円ビジネスがボーダーになってしまいますが、もっと小回りのきくビジネスで社会貢献に繋がる活動をやってみたいという気持ちをずっと持っていました。
そんな中、由風BIOメディカルの共同創業者である谷との出会いがありました。彼はまだまだ「粗削り」でなところが多いのですが、「自分が生まれ育った地域(沖縄)の発展に尽くしたい」という強い想いを持っており、無鉄砲でもとにかく全力でぶつかっていくことを日々実践していました。私は谷の想いと行動力に強く感銘を受け、これがキヤノンを退職して独立・創業を決意する直接的なきっかけになりました。
自分より一回り(12歳)も年下の谷が小規模ながら明確なビジョンと強い意思をもって事業に向き合っている姿をみて、自分が大企業の傘の下でウジウジしているのを恥ずかしく感じたのです。そんなことをしているくらいなら彼の想いを実現するのに私の全力を貸したいと思ったのです。そして、そうすることで私自身も学び直したいと思ったのです。
由風BIOメディカルで実現したいこと
沖縄県の産業振興にど真ん中で貢献していくことを目指しています。そうしていく中での「実績の見える化」「実績の象徴」としてIPOを実現し、由風BIOメディカルを社会に対して責任のある企業に育てていきたいと考えています。
観光リゾート産業をリーディング産業とする沖縄県の経済は、低所得、雇用不安定、人材流出といった顕在課題に加え、新型コロナのような外部要因による潜在課題を抱えています。このような状況において、県は新産業としてバイオ産業領域に注目しており、これを今、本気で実現しようとしています。
これまでのバイオ産業育成に対する県施策は、「沖縄県産の何か(藻とか草とか)を活用した何かしらの事業(健康食品とか化粧品とか)」に投資していくというものでしたが、今年からはこのような縛りをなくして大成しそうなバイオ関連技術・企業のバックアップをはじめています。沖縄県は本気です。
当社は「沖縄県の本気」を結実する「一番近いところにいる企業」の1つだと自負しています。グローバル企業とタイアップしての体外診断薬開発が成功すれば、沖縄県の域外競争力強化と所得向上・人材留保に大きく貢献できます。また、再生医療CMO/CDMOが本格稼働し始めれば観光リゾート産業とのシナジー創出による再生医療ツーリズム等で地方創世に貢献できます。
県もそう考えたからこそ、3期目という若い企業である当社を、非常に競争率・倍率の高い「バイオ産業振興促進事業」に満額で採択したのだと確信しています。
当然、当社が実現したいことは沖縄県の産業振興だけではありません。
当社が開発中の体外診断薬(迅速・高感度診断薬)が実現すれば、診断医療の業務改革により、早期診断・早期治療、予防医療、高齢化社会への健全なるシフトに貢献でき、患者さんの身体的・精神的負担を軽減できるとともに、ひっ迫している医療財政の軽減にも貢献できます。また、再生医療CMO/CDMOは従来医療では届かない患者さんの悩み・苦しみを軽減するに貢献できます。
当社は腹をくくってこれらを実現していきます!
株式投資型クラウドファンディング挑戦の背景
今回、当社がイークラウド様を通じて株式投資型クラウドファンディングにチャレンジした主目的は、研究開発資金に余力を作ることと企業認知度を向上させることにありますが、それだけを目的にしているわけではありません。
実は今回、沖縄県のバイオベンチャーとしてはじめての株式投資型クラウドファンディングへのチャレンジなのです。
当社のチャレンジは、沖縄タイムス社と琉球新報社という沖縄の2大新聞社に大きく取り上げられており、成功すれば沖縄県内での株式投資型クラウドファンディングの認知度が向上することは間違いありません。これにより、他の県内バイオベンチャーにとっても資金調達手段・選択肢を増やすきっかけになればと期待しています。
この冗長な文章を最後まで読んでくださった皆様へ、是非、当社を応援・ご支援頂けますと幸いです。
株式投資型クラウドファンディング公募ページ
株式投資型クラウドファンディングが、チャレンジし続けるスタートアップ企業にとって当たり前の資金調達手段になることと、これをご支援されるエンジェル投資家様のお気持ちに対して全てのスタートアップ企業が全力でこたえていく将来を祈願いたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?