株式投資型クラファン挑戦中!沖縄提供1号再生医療
はじめに
私が創業・経営に携わっている由風BIOメディカル株式会社は、現在、イークラウド様プロデュースで株式投資型クラウドファンディングに挑戦しているところです。
公募期間はあと2日。目標調達額約1,500万円に対して進捗率200%、172人もの投資家様に応援頂いています。当社事業に共感して頂き、本当にありがたく思っています。
本株式投資型クラウドファンディングのキャッチは「ナノバイオロジーで診断医療の技術革新と再生医療の社会実装に挑む」というもので、将来的に様々な疾患に対する再生医療を沖縄県で提供できる体制を整えていく予定です。
とはいえ「どんな再生医療をやるの?」「成功するには最初が肝心だよ?」としばしば尋ねられます。せっかくの機会ですし、当社が沖縄県で提供しようとしている再生医療の第1号案件について紹介します。
第1号案件は、科学的エビデンスとインパクトを最重要視して選定し、提供開始に向けて着々と準備が進んでいます。専門的な投稿ですが、お付き合い頂けますと幸いです。
提携企業紹介
当社は、独立研究開発法人理化学研究所発のメディカルサイエンス企業である株式会社理研免疫再生医学様と事業提携に係る基本合意に至っており、既に当社からも先方様からもプレスリリースを発信しています。
これにより当社は、株式会社理研免疫再生医学様より、後述のがん免疫再生医療である「NKT細胞標的治療」および「RIKEN-NKT」に関する複数の特許技術、並びに同社が独占製造供給権を保有する糖脂質化合物(αガラクトシルセラミド:細胞加工に不可欠なGMP製造品)の提供を受ける体制を整えています。
※GMP:適正製造範囲(製造管理・品質基準管理)のことで、医薬品製造において薬機法に基づくGMP省令を遵守することが定められています。
株式会社理研免疫再生医学様は、今回のような技術提携を非常に厳格な基準で選定しており、特に「RIKEN-NKT」は全国でも限られた医療機関でしか受けることのできない高度再生医療です。当社は、沖縄県の企業として初の技術提供企業に選定されています。
RIKEN-NKTとは
独立開発研究法人理化学研究所が長い年月を費やして開発した「悪性腫瘍の治療」を目的としたがん免疫再生医療技術「NKT細胞標的治療」を、さらに高度化し、民間医療機関にて広く提供するために株式会社理研免疫再生医学様によって独自開発された自家免疫細胞による新しいがん免疫医療です。
2016年6月に厚生労働省の許可を得て以降、現在までに国内で400症例以上の施術実績があります。部位やステージを問わず進行停止や部分寛解、完全寛解、無再発などの高い奏功が認められており、特に抗がん剤の副作用低減を含むQOLの改善は顕著に確認されています。
RIKEN-NKTは、そのユニークな作用機序により、全てのヒト種族、ほぼ全てのがん種と部位、ステージⅠからステージⅣに至るまで全てのステージに適用が可能なのが特徴です。また、自家免疫細胞を用いる再生医療であるため、副作用はほとんどありません。
NKT細胞標的治療とは
2011年から千葉大学にて、転移性終末期(ステージ3b及び4)の非小細胞肺がんに対する国の先進医療B制度としての医師主導型臨床試験が実施され、フェーズ2をクリアし、高い有効性が確認されています。
NKT細胞標的治療の作用機序
患者さんの採血液から白血球成分である「単球」を分取し、これにαガラクトシルセラミドを加えて培養加工することで抗原提示樹状細胞(再生医療のための特定細胞加工物)を得ます。
この特定細胞加工物を患者様の体内に皮下注射もしくは点滴で戻すと、患者さんの体内にもともと存在する免疫系細胞であるNKT細胞を非常に強力に活性化させます(体内における活性化NKT細胞の形成)。
活性化NKT細胞は、がん細胞が出すケモカイン(炎症性物質)に反応して病巣に集積する特徴があり、発見できない極微小癌にも作用します。
活性化NKT細胞は、その業績によりノーベル賞が与えられた癌治療薬「オプジーボ」と同様に「免疫チェックポイント」を阻害し、体や病巣内の失われた免疫機能を回復させます。
※免疫チェックポイント:がん細胞が免疫システムの攻撃を避けるための機能のことです。免疫システムは、体内に存在する病原体などの物質の「自己」か「非自己」か、を判断し、非自己であれば攻撃するシステムです。しかし、がん細胞は正常細胞のふりをし、この免疫システムをすり抜けてしまいます。これをがん細胞が持つ免疫チェックポイント機能と言います。
活性化NKT細胞は、単独でも直接的にがん細胞を攻撃しますが、獲得免疫系細胞(T細胞など)と自然免疫系細胞(NKT細胞など)の2つの免疫システムにも働きかけ、これらを極めて強力に活性化させることも際だった特徴です(活性化T細胞、活性化NK細胞の形成)。この結果、体内の免疫系細胞を総動員し、がん細胞を攻撃することになります。
NKT細胞標的治療とRIKEN-NKTの違い
RIKEN-NKTはNKT細胞標的技術が派生した再生医療技術です。NKT細胞標的治療では、特定細胞加工物のボリュームが大きく凍結保存ができなかったため、投与する際の患者さんへの負担の大きさや保存安定性、品質安定性に課題があったのに対し、RIKEN-NKTでは培養加工技術を改良することによりNKT細胞標的治療の課題を克服しています。
RIKEN-NKTの医療技術としての意義
標準治療との比較
標準治療である抗がん剤の奏功率が約10%、ノーベル賞受賞で話題になったオプジーボ(免疫チェックポイント阻害剤;小野薬品工業)の奏功率が10~30%程度であるのに対し、RIKEN-NKTは極めて高い奏効率を示します。
また、オプジーボに対し、RIKEN-NKTでは免疫チェックポイント阻害だけでなく、獲得免疫系細胞(T細胞など)と自然免疫系細胞(NKT細胞など)にも働きかけ、一連の免疫システムを活性化させるというプラスαの作用があります。また、自家免疫細胞を利用する再生医療技術であるため、抗がん剤やオプジーボと異なり、副作用がほとんどないという利点もあります。
一般的な免疫再生医療との比較
従来からあるがん免疫再生医療として、活性化T細胞治療(CLT療法)と活性化NK細胞治療(ANK療法)が有名です。これらのがん免疫再生医療はRIKEN-NKTと異なり、免疫チェックポイントを阻害する作用がありません。また、これらと比較して、RIKEN-NKTは免疫記憶期間が極めて長期間である点にも特徴があります(一般的ながん免疫療法:1週間程度の免疫記憶期間;RIKEN-NKT:9ヶ月以上の免疫記憶期間※臨床前研究において)。
将来展望
がん治療におけるRIKEN-NKTは、外科手術、放射線治療、抗がん剤治療(及び免疫チェックポイント阻害剤)という3大標準治療に続く、新しいスタンダードとして位置付けられています。
NKT細胞標的治療は、その有効性から非常に注目されており、RIKEN-NKT以外にもアステラス製薬様が関連技術の治験に注力している他、iPS細胞を用いる医師主導型臨床試験も千葉大学で進められています。但し、RIKEN-NKT以外は何れも他家細胞(他人由来の細胞)をも用いるものであり、安全性の検討がなされている段階です。
RIKEN-NKTと沖縄の意外な縁
RIKEN-NKTはNKT細胞標的治療を高度化した派生的な再生医療技術であり、どちらもαガラクトシルセラミドという糖脂質化合物を細胞の加工培養に用います。この化合物ですが、現在こそGMP基準に準拠して化学合成されていますが、もともとは沖縄県久米島沖に生息する海綿の一種(Agelas mauritianus)から抽出され、発見された化合物なのです。
当社がRIKEN-NKTを沖縄県に投入する再生医療第1号に選定した理由は、冒頭の通り、科学的なエビデンスとインパクトの観点からですが、このようにRIKEN-NKTは沖縄県にゆかりのあるがん免疫再生医療であることから、何かしらの縁を感じずにはいられません。
最後に
この冗長で専門的な文章を最後まで読んでくださった皆様へ、是非、当社を応援・ご支援頂けますと幸いです。当社の沖縄バイオベンチャーとして初めての株式投資型クラウドファンディングへの挑戦は残すところあと2日です!
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