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“別れ”はいつまでも苦手

 昨日は念願の焼肉を食べた。

兄からもらった和牛で乾杯

 おいしかったなぁ。ビールで肉の脂を流し込む時間。酒飲みの幸せだけどよく考えると変だよね。わざわざ油食べまくってそれを流し込むためにもっと強い苦いビールを飲む。相殺してる。変だけど最高!ありがとうね、お兄ちゃん。

 
 今日はアルバイト先の社員さん最後の出勤日。約三ヶ月間お世話になった人。
 お別れは寂しいけれどまだ実感があまりない。これからは飲み友になるだろうから会えないわけではないと思いつつ。「別れ」というものに対して私は何歳になっても実感するのが遅いのだと思う。そうしているうちにいなくなって、急に泣き出したい気持ちになる。みんなが寂しそうにしている時に、あまり分かっていなくても「寂しい」と口に出す。後でまたあの気持ちを味わうんだなと思いながら。
 だから私は「別れ」というものがいつまでも器用にうまくできなくて、苦手だ。

 いつだったかな。たしか中学ニ年生の時。当時私はテニス部で、三年生が引退する日にお別れ会を開いた。テニス部は上下関係が厳しく、先輩と仲が良いわけでもなければ、むしろ怖い存在だった。みんなが一人一言先輩へ言葉を贈り、涙する人もいる中で私の番が来た。その時、私は急に涙が次々と溢れて溢れて止まらなくなってしまい、泣き崩れてうまく話せなかった。そんな思い出が心に刻まれてある。
 でもその時の心境はどうだったのかがよく覚えていないのだ。先輩の引退に対して寂しさはなくて、なんならやっといなくなってくれるんだとまで思ってしまっていたように思う。「お別れ会」特有のそこに流れる空気感、雰囲気が私をそうさせたのか。

 きっと自分の感情をコントロールすることが当時の私にはできなくて、それが何なのかすら分かっていなかったのだと思う。

 今はそんなことはもうないし、素直に自分の思いを伝えられるようになってきている。思春期だけの特別な感情をあの時経験できて良かった。

 今日は退勤後、その社員さんと飲みに行く。私なりに「ありがとう」と「がんばれ」を伝えよう。

つづく

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