見出し画像

『 #チョコレイトの答え』に感じた、自分なりの答え

『#チョコレイトの答え』セミナーに参加してきました

【セミナー概要】
『広告とコンテンツの関係について考え続けたチョコレイトの答え』

 <日時>2019年7月4日(木)19:00~20:30(受付開始:18:00〜)
 <会場>東京都中央区銀座8-21-1 ベルサール汐留 B1F HALL
 <登壇者>
  渡辺裕介(CHOCOLATE Inc. / 代表)
  栗林和明(CHOCOLATE Inc. / Chief Content Officer)
 <主催>CHOCOLATE Inc. イベント運営事務局

開催前からすごかった

このセミナー、当初予定では80名程度想定のセミナーだったので、「当たるといいなー」程度に応募をした所、届いたメールは下記の通り…

お世話になっております。
コンテンツスタジオCHOCOLATE Inc.(チョコレイト)です。

このたびは弊社主催のセミナー「広告とコンテンツの関係について考え続けたチョコレイトの答え」にお申し込みをいただき、ありがとうございました。
当初、当選80名の方に限定して連絡をさせていただくと発表しておりましたが、今回ありがたいことに1,200件を超えるお申し込みをいただきました。

ここから80名に絞らせていただくのは大変心苦しく、また、出来るだけ多くの皆さまにセミナーを聞いていただきたい、という想いから、今回は大きな会場に変更いたしました。
それに伴い、今回は抽選ではなく、事前にお申し込みいただいた方皆さんにご入場いただける形に変更いたします

 1,200名応募!! 注目度の高さがうかがえる結果となりました。
そして、急遽会場を変更してまで全当選の判断を取られたチョコレイトさんの神対応さえ、私にはひとつのコンテンツに感じられました。

なぜ、これほどまでに人が集まったのか

チョコレイト社についてあまりご存知でない方はこちらをご覧いただくとして、
「なぜ、こんなに人が集まったのか?」
イベント当日もそんな疑問に対するチョコレイト・栗林様なりの回答から幕を開けました。

『広告』と『コンテンツ』
 ●広告…何かを売るために訴求する情報
 ●コンテンツ…自発的に見てくれる、心を揺さぶる情報

という前提に立つとき、多くの企業は、広告としてもコンテンツとしても中途半端なコミュニケーションしかできずに悩んでいる
「広告は嫌われ者か」「嫌われてすらいない(視界に入ってもいない)のでは」みたいな議論ですね。2017年以降、不動のNo.1有料アプリは広告ブロッカーだという言及もありました。

それでは、いいコンテンツはどうつくれるのか、どうしたらお金が動くのか、というかそもそも必要なのか・・・?

①刷り込み浸透が有効、②CMで販路が作れる、③商品自体が強い などの場合には<ストレートな"広告"が有効>とする一方で、世の9割の商品・ブランではコンテンツが必要、と。

現代のコンテンツを形成するメディアとは

コンテンツは、メディアによって規定される。その時、現在のメディアを構成するものとは…
【ことば(声)】→【文字】→【新聞】→【本・雑誌】…と進化してきたメディアは、スマホの普及により『声』(⇒自発伝達型)に回帰している、というのが栗林さんの考えです。なるほど。

そこで出てきた発想が『じゃあ、めちゃめちゃ口の端に上ればいいじゃないか』→バズらないと!! ということで訪れたのが『バズ・ブーム』で、当時とにかくバズるコンテンツを生み出し、バズマシーンと呼ばれていたのが今まさに目の前にいる栗林さんその人、というワケです。(私には尊敬・羨望の対象でしたが、当時、ご本人は結構恥ずかしかったらしいです。)

「答え」にたどり着くまでの『実験』

そして、「#チョコレイトの答え」というハッシュタグが流布していることで意外と見落とされてるな、と感じていることの一つにこの『実験』の過程。

バズるために戦い続けてきた栗林さんが「毎回絶対バズるのとかめちゃめちゃきつい」「どんなに徹夜して何ヶ月頑張っても、猫動画とか韓国アーティストの即席配信とかに圧倒的にバズるものはあるし」「挙句の果てには『バズって何になるの?』とか言われるし…」という葛藤の中で

今この自体、このメディア環境で、瞬間風速に終わらせず、でもちゃんと広がってそして本当の意味で人を動かすコンテンツって一体何なのか。(広告の話に限らない。)

誰も知らないことは
失敗しまくらないと
実験しまくらないと
わからない
(※でもクライアントワークで失敗できないので…)

という、壮大なコンテンツの『実験』を通じた研究結果を発表してくれる場が本セミナーということでした。

チョコレイトの答え=「人格」

結論から先にお伝えしますと

本当の意味で人を動かすもの=「人格」、だと。

ここでいう「人格」とは、『その人がそこにいたら、こうするだろうな』と相手に思わせるような
 ①キャラクター
 ②"らしさ"
 ③人間味
 ④業(ごう)みたいなもの
を指します。

西野カナの歌詞に「そうそう!」と背中を押され、
桜木花道の挫折と成長に励まされ、
アラジンの葛藤と前進にワクワクさせられ、
「水ダウ」プロデューサー・藤井健太郎さんの悪意ある視点に笑わされ...
という時に、
私たちはその”誰か”と感情を共にしている
そしてその”誰か”=”人格”が強く立っていないと感情を共にできない
というお話です。

事例の紹介

それでは、セミナーで紹介された中から、わかりやすい事例をいくつか紹介します。

<実験①:twitterアカウント「テッテレー」>
=個人発信のコンテンツが強い

ここでは、チョコレイト運営ということを明かさずにゆるいキャラクターや短編マンガを配信するtwitterアカウントの運用事例を紹介します。

こちらは「テッテレー」アカウントで発信した『タッカーくん』というキャラクター。決して悪いコンテンツではないように思えるが、133いいね!

一方で、チョコレイトにも参加している氏くん(https://twitter.com/ujiqn)が発信した『絶滅してほしい生物図鑑』は1投稿で<100コメント超/4万RT超/15万いいね超>。

こちらもチョコレイトの有村康志さん(https://twitter.com/15424578268)投稿で<30コメント超/2,000RT超/17,000いいね超>

つまり、近い性質のネタ投稿でも、投稿者個人の"人格"が見えないポストには共感(いいねやRT)が得られづらい、との結論です。

続いての実験、、、

<実験②:YouTubeチャンネル『NeverEndingTV』/おやすみ先生>
=人のファンはつきやすい⇔企画のファンはつきにくい

こちらは、「寝落ちラジオ」というシリーズ展開で、トーン&マナーを守って一定クオリティの動画を配信しても、ある人のときは伸びる/そうでないときは伸びない=企画そのものにはファンはつきづらい

これは12万フォロワーを持つ<twitterアカウント「6秒商店」(https://twitter.com/6sec_shop)>でも同様で、バズるツイートとバズらないツイートは顕著に分かれる。

こちらは<27万RT/62万いいね超>

一方こちらは同じアカウント投稿ながら<257RT/1,653いいね>

<実験③:YouTubeチャンネル『【DIY】Every Week Guitar』>
→人×企画 がハマるとものすごく人は動く

こちらは森翔太さん(https://twitter.com/ShotaM0ri)独特のキャラクター&企画の世界観(あと、猫?)がピッタリはまってチャンネル登録数は3,000弱ながら、動画再生数は1万超え/twitterでも数万RT。

<実験④:浮遊女子高生/新田湖子さん(https://twitter.com/coconitta)>
→人×企画 の親和性が高くなければ意味がない

これは栗林さん曰はく『モノを浮かせればバズる』という経験があったそうだが、日常でメイクやファッションの自撮りを投稿している彼女のアカウントではほぼ波が立たなかった。

<広告事例①:Y!mobile(https://twitter.com/ymobileOfficial)>

青山テルマさん&kemioさん、APA社長、アントニオ猪木さん、あまたつさんなどが登場する動画を公式アカウントからのtwitterAdsよりも、いちユーザーによる『このMVクセ強くて好きwww』という投稿がユーザーに支持された。

<広告事例②:渋谷広告>

こちらは、公式の動画<約77,000回再生>
そして

同じクリエイティブでも、1人のユーザーが見つけた、工事中シャッターの壁面に描かれたイラストの撮りまわしのほうが話題になり<98,000RT超/28万いいね超>

つまり、「何を言うか」以上に、「誰が言うか」が人を動かすというお話です。

企業はどうコミュニケーションを取るべきか

それでは、企業や企画はどういったコンテンツを以てコミュニケーションを取るべきか・・・。というお話に入っていきます。
そもそも、企業や企画は、一番「人格」を感じられづらい存在にあります。

そこで為される企画やコンテンツの考え方は、会議の場をもってみんなで意見を出し合い、それぞれの良さそうな所を掛け算して良いトコどりのアイデア自体を大きくして…結果、

アイデアはものすごい出る
ただし
かなり時間がかかる
言葉にできないアイデアは削ぎ落される
気づけば人格が薄まっている

というケースがほとんどでは?という所に気づきがあります。
乱暴な言い方をすれば、会議を前提とした合議制のもとでは、そのアイデアの最もおもしろい部分(=「人格」)は失われやすい、ということです。

そうではなく、

「人格」を失わせないために、
まずは個々人の独断と偏見で作ってみて
兆しがあればそのアイデアをみんなで育てる

会議室を出て、一人の想いやアイデアを「やってみる」ことから始める
という方向性が栗林さんの提案です。

企業はどのようにコンテンツをつくればよいか

それでもすぐに会議は無視できないし、企業の承認フローもあるのが現実。では、企業はどうやってコンテンツをつくればよいのか。

①"らしさ"に立ち返る

自分たちは
何を大事にして
何を目指して
何が好きで
何が嫌いで
どんな色で
どんな声色で
どんな匂いなのか 

自分たちの中にある”らしさ”にこそ「人格」のヒント、エッセンスがある、という旨を栗林さんは気づかせてくれます。

②"らしさ"を拡張する

商品や店舗そのものに
より人格を注入したり
広告やSNSアカに
凝縮された人間味を出す

そうして見出した"らしさ"を拡張することで「人格」が見えてくる、と。

「業務契約」「発注」から「機会提供」「応援」に

上記の視点で振り返って、栗林さん自身、反省の弁を込めて

インフルエンサーリスト出して
とりあえずフォロワー多い人に
#PR つけて投稿してもらう

という「あるある」インフルエンサー施策には疑問を呈します。

これは私自身の翻訳が少し入りますが、インフルエンサーや、そのインフルエンサーをフォロワーしているユーザーの「人格」を無視して、お金を払えばとりあえずオススメし(たように見せ)てもらえる「業務契約」「発注」はやめようよ、と。
お金や露出はもちろん重要だけど、それ以上に本当に同じ方向を向いているか、本当に相手を尊重しているか、これがちゃんと相手の「最高の機会」になっているか。本当にそのインフルエンサーの文脈や感情を乗せて「応援」してもらえる「機会を提供」しようよ、というお話です。

サントリー:MV(Music Video)レーベルの事例

これは、SUNTORY×CHOCOLATE,incのプロジェクトで、サントリーがこれからの時代を牽引する若きアーティストに対して、MV制作を全面サポートするという企画のようです。

詳細はこちらの記事にありますが、ポイントとしては
●ブランドとアーティストの「人格」に無理がないこと
 …サントリー商品のブランドメッセージと、アーティストが作る楽曲にシンクロする部分があること(例えば、クラフトボスなら、「新しいワークスタイルやライフスタイル」に共鳴する部分がある、ヨーグリーナならばブランドが持つ「朝を気持ちよくスタートさせる」というイメージにマッチするなど)を条件にアーティストをアサイン
●主体を企業に置かないこと
 …あくまで主体をアーティストに置き、あくまでアーティスト自身が作りたいと思って作った楽曲を主役にして、「MV」をコンテンツとして仕上げている
ことにありそうです。

最後に、「#自分なりの答え」

ここまで長文お付き合いいただきありがとうございます。
以降はチョコレイトさん関係なく、圧倒的に私の戯言ですので無視していただいても構いません。
それでも最後に『自分なりの答え』をまとめようと思ったのは、本セミナーを通してちょっとした「人格」を出しておこうかな、と思えたからです。
そんな『自分なりの答え』は

コミュニケーションが”戻ってきた”
という感覚です。
…サッカーにマンガに音楽に釣りに、、、多数の趣味を現在進行形で渡り歩いている私ですが、思えば、いつだって「人格」に突き動かされていたように思います。
好きな選手の生い立ちやプレースタイルに共感し、同じブランドのスパイクを履いて同じ背番号を背負って同じようなプレーを試みてみたり、とあるロッドビルダーのこだわりや想いに共感しそのブランドを偏愛してみたり、早くして命を落としたミュージシャンの遺した歌詞から、本来の意味以上の感情に共感しようとを全身を傾けたてみたりしてきました。
それから広告やコンテンツの送り手に近い立場になり、デジタルの効用を受けることができるようになった途端に、安価で効率的にバラ撒くことができる”1対N”の意味合いを勝手に持たせていたように思います。だから嫌われる。
しかし、スマートフォンという、通話やメッセンジャーといった機能を前提とする"コミュニケーション"をより強く意識させるデバイスを通すことで、本来的なコミュニケーションの語源が示すように「共感」を前提とするものに戻ってきたように思います。

「コミュニケーション(Communication)」の語源は、ラテン語の「コムニス(Commun(is))」に「イク(ic(us))」「アタス(atus)」「イオン(ion)」が加わったもので、「共通なものとする」という意味をもち、それが「人間と人間との間に共通性をうちたてる行為全般」を意味するようになったといわれています。

二方向の「ペルソナ」を設計してみるのはどうか
やはり、こうしてあらゆるプラットフォームで個人がメディアとなる時代に(広告を含む)届くコンテンツは、「情報」以上に「想い」や「らしさ」を込めていく必要はあるのだろうな、と。
そして、そうした「想い」を届ける際に企業やブランドでは、ターゲットを選定するために「ペルソナ」を設定するシーンは多々あるかと思います。しかし、その定めたペルソナに対してコミュニケーションを図る、自社のペルソナを検討・設定しているシーンはあるのだろうか…ということに思い当たります。
大変だし、勇気のいる作業だと栗林さんも仰っていましたが、「人格」をもったものは少しずつ育てることもできるし、何より会話ができるんじゃないかな、と。そんなことを思うわけです。

以上。拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集