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【Mission #1|感性を刺激する『非日常体験』の創造】消費者ニーズの変遷と、デジタルネイティブ世代(Z世代)が求める価値について
消費者ニーズの変遷
消費者ニーズは時代の移り変わりとともに変化していて、諸説ありますが、大筋では下記のように変化していると提唱されています。
・1960年代中盤~90年代前半:モノ消費
モノ消費とは、"製品やサービスのもつ機能的価値を消費すること"と経済産業省に定義され、第二次世界大戦後から高度成長期にかけて現れた消費潮流を指します。
モノ消費は、高度成長期に必要最低限のモノを手に入れることから始まりました。その後、人並みな暮らしやより生活が便利で快適な暮らしを求め、バブル経済期にはさらに良い暮らしをモノを満たすことによって実現しようとしたのです。
・1990年代後半~2000年代:コト消費
バブル経済の崩壊によってモノへの欲求が冷め、豊かな暮らしには可処分時間を"富"と定義する体験が欠かせないという考え方が広まっていきました。すなわち、商品やサービスの購入によって時間や体験を消費するコト消費です。モノ消費が商品の機能的価値に対価を払っていたのに対し、コト消費は体験的価値にお金を払うという消費の風潮をまとめたものです。
・2010年代以降
1. イミ消費
イミ消費はホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏が提唱した概念であり、ある商品を消費することで生まれる、社会貢献的側面を重視する消費行動を指します。
例えば環境保全、地域貢献、フェアネス(正義)、歴史・文化伝承、健康維持などがキーワードであり、"自分がどうありたいか?"あるいは"どうあるべきか?"を指標として経済活動を行うという特徴があります。
イミ消費は自らの社会正義的消費観に照らし合わせて、"あるべき自分になりたい"という自己実現欲求にもとづいており、より高次の消費であるとも言えるでしょう。
ブランド品のニーズの背景には"イミ消費"があると思いますが、従来のブランド品のニーズは、富裕層を中心に自身の社会的ステータスを表現することに重きが置かれていたと思います。
一方昨今では、一部の著名人だけでなく、誰もがSNS等で自分自身について発信できるようになった時代変化により、セルフブランディング(=自分の価値観を確立・表現する)ニーズが高まり、ブランド品のニーズの背景としても「自分が大事にしている価値観や、応援する対象を表現したい」という色合いが強まっていると考えています。
また、
・コモディティ化やニーズの細分化が進む社会で人が求めるもの
・AI活用(人の能力の代替)が進む社会で人の仕事として求められるもの
として、能力や機能面の競争やトップダウン型の意思決定ではなく、その人の経験や想像力からくる共感がますます重視されていることも、イミ消費のニーズが高まっている大きな一因であると考えています。
自分の経験を共有したり、人に喜ばれるシーンを想像し、その経験やイメージに共感し合える仲間が欲しいという願望から生まれている消費行動と言えるでしょう。
2. トキ消費
トキ消費には、非再現性(時間や場所が限定されていて同じ体験が二度とできない)、参加性(不特定多数の人と体験や感動を分かち合う)、貢献性(盛り上がりに貢献していると実感できる)という3つの要件があります。
トキ消費はその盛り上がりをSNSで発信し、いいね!をもらいたいという、マズローの欲求5段階説の承認欲求を満たすことも大きな比率を占めています。
3. エモ消費
エモ消費はコラムニストの荒川和久氏が提唱する概念です。精神的な満足度を重視する消費行動であるがゆえに、コストパフォーマンスなどで測ることはできません。
エモ消費に該当するのは不便な物・作り込まれていない物や一点ものなど、具体的には確実にシャープな画像を撮ることができず現像の手間がかかるフィルムカメラや、一点ものの古着などが挙げられます。
※本セクションは下記の記事内容を引用しています。
デジタルネイティブ世代(Z世代)が求める価値の本質について
ここで、2010年代以降、特にデジタルネイティブ世代(Z世代)が求める価値の本質について紐解いていきます。
"イミ消費"の根底にあるニーズは、"何者かになりたい"や"経験やビジョンへの共感"というニーズであると考えています。そのニーズを満たすために様々な商品やサービスがデザインされ、市場に展開されています。
一方で、それらの商品やサービスを消費したり身に着けるだけでは、本質的な豊かさを手に入れられる訳ではないと思います。
"トキ消費"の根底にあるニーズは、"人と一緒に生み出すトキに参加したい"ということだと考えています。つまりは、仲間と共に創り出す時間そのものに価値ありということだと捉えています。
"エモ消費"の根底にあるニーズは、完成されたものではなくまだ発展途上であるモノやコトの魅力であり、便利さが追求されてきた社会だからこそ求められる価値だと思います。
例えば、価値観の合う仲間と開催するバーベキューが、一人焼肉より充実した時間であると感じるのも、イミ消費・トキ消費・エモ消費の根底にあるニーズから生まれる感情だと思っています。
あらゆるモノやコトがありふれた社会においては、バーベキューのような至極一般的なイベントでも、共通の価値観を持つ仲間とともに過ごす時間や、自分たちで0から創り出す経験に価値があると思います。
ぼくは20代の頃から"何者かになりたい"想いが強く、自分の理想像を磨いてきました。
その想いに向き合いながら、日々の価値提供や未知の領域へチャレンジし続けることで、自分自身そのものが"次の時代を創り、それを体現するブランド"になることを求めていると分かってきました。そして、この理想に向け、「次の時代を創る」という自分のコンセプトを幹に、周りの人やクライアントの背景を想像し、事業構造を捉え、ストーリー・志に共感した上での、次の時代に向けた価値の共創をテーマに進み続けることが、自分と周りの人やクライアントにとっての本質的な豊かさに繋がっていくと信じています。
また企業や人だけでなく、人が集まる街(=商業施設・お店・コミュニティ・地域 等も含む)にも価値ある"らしさ"や"強み"(コンセプト)があると思います。企業・街・人がコンセプトをデザインし体現することが、そこへの共感や応援を呼び、次の時代の集客や経済成長に繋がっていくと考えています。
ブランディング(コンセプト設計)で最も重視していること
最後に、ブランディング(コンセプト設計)で最も重視していることをお伝えします。
一過性の流行に乗るのではなく、時間の経過とともに成熟され、人や社会に深く根付いていくもの(不変で普遍の価値)であることです。
なお「不変で普遍の価値」とは、主に①人間関係・コミュニティ・組織づくりに関わること、②健康や衣食住に関わること、③お金に関わること、④時間やプロセスに関わることの4つであると学び、ぼくもそう考えています。