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健康管理とセルフマネジメントについての考え方

本記事は、鈴木 祐氏著「最高の体調」を参考文献としています。
また、本記事の表現には、ぼくの主観・捉え方が含まれていますので、ぜひ併せて本書をお読みいただければ幸いです!


現代人にとって、多すぎるもの・少なすぎるもの・新しすぎるもの

まずはじめに、炎症に関してのお話をします。
現代人は古代人に比べ、体内で延々とくすぶる(少しずつ不調が進行する)長期的炎症が多くなっているといわれています。
⇔ 短中期的な炎症:外傷や感染によるもの(激しい発熱や嘔吐など)
その現代人に起こっている長期的炎症は、文明の発達による「多すぎるもの」「少なすぎるもの」「新しすぎるもの」が原因といわれています。

↓具体的にはこのようなもの
・多すぎるもの:摂取カロリー、精製穀物、アルコール、オメガ6脂肪酸、塩分、乳製品、飽和脂肪酸、満腹感、食事のバリエーション
・少なすぎるもの:有酸素運動、筋肉を使う運動、睡眠、空腹感、ビタミン、ミネラル、食物繊維、タンパク質、オメガ3脂肪酸、自然との触れ合い、有益なバクテリアとの接触、太陽光の摂取量、深い対人コミュニケーション、他の人への貢献
・新しすぎるもの:加工食品、トランス脂肪酸、果糖ブドウ糖液糖、人工照明、デジタルデバイス

対策は至ってシンプル。多すぎるものは減らし、少なすぎるものは十分摂取し、新しいものはなるべく避ける。
これらのものが影響する心身のあらゆる面について、見ていきましょう。


腸を守る腸内細菌

動物の進化の過程において、腸は脳よりも先に誕生したとされ、脳とは独立して自らの判断で機能しています。(自律神経といわれる所以です。)
また、腸には腸管神経系という独自の神経ネットワークが発達しており、感知したさまざまな情報を処理して脳へ伝達していることが分かってきました。従い、腸の状態はメンタルに大きく影響を及ぼすとされています。

人の腸は、栄養を体内に送り込むと同時に、外敵が体内に入り込むのを防ぐという、非常に難しい役割を任されています。

善玉菌は腸内に巨大なコロニーを作り、外敵と戦ってくれます。また、腸内細菌は食物繊維から酪酸という脂肪酸を生産し、有害物質が体内に入り込むのを防いでくれます。
それだけでなく腸内細菌は、アミノ酸や食物繊維などを材料にして、ビタミンB群やビタミンKといった重要な成分を合成します。ほかにも、栄養の吸収を助けたり、食物繊維を分解してエネルギーに変えたり、脂肪酸を生成して腸壁を守ったりと、いずれも私たちが健やかに暮らすために欠かせない機能で、腸内細菌なしで人体は正常に働きません。

そんな腸内細菌は、おもに食物繊維を食べて繁殖します。1日当たりの食物繊維の理想摂取量は20~27gといわれていますが、いまの日本人は13~17g程度となっています。
食物繊維の摂取量を増やすには、まずは野菜とフルーツ。なかでも、ゴボウ・寒天・海藻・キノコ類・オクラ・リンゴなどは、腸内細菌が好きな水溶性の食物繊維を豊富に含む優良食材です。また、和食に使われる食材には食物繊維が豊富であることが多いので、和風の食事を心がけていれば自然と摂取量も増えていきますね。

とはいえ、食事からだけでは十分な量を摂取することが難しいこともあると思いますので、サプリメントを効果的に活用しましょう。
食物繊維のうち、腸内細菌のエサになったり、消化活動をサポートするものは下記などが代表的です。
難消化性デキストリン、オオバコ、イヌリン、レジスタントスターチ

また、新たに腸内細菌を腸に迎え入れるには、発酵食品が効果的。納豆・ヨーグルト・キムチなど全ての発酵食品はそれぞれに特有の細菌を持っているため、できるだけ幅広いジャンルの発酵食品を取り入れ、多様な腸内細菌を入れてあげてください。

発酵食品に併せて、プロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌といった腸内細菌を使ったサプリ)を活用することも、善玉菌優位な腸内環境を作り出すのに効果があるとされています。


有益なバクテリアの保護

他にも、腸内環境に悪影響を及ぼすものとして、抗生物質が挙げられます。抗生物質を1回使用すると、腸内細菌の3分の1が死ぬとの報告もあるそうです。ただの風邪などで、むやみに抗生物質を使うのは避けたいところです。
また、ドラッグストアで定番の薬用ソープに含まれる抗菌成分は、肌に住み着く有益なバクテリアまで殺してしまうことがあります。要は、対マスに伝わりやすく拡販しやすい強い洗浄力をもつ製品が、実は肌を健やかに保ってくれるバクテリアまで除去してしまっているということです。


人間関係

実は、従来私たちの脳には「人間関係が希薄な環境」に対応するためのシステムが備わっておらず、孤独は人にとって本能的にストレスを感じるものとなります。
また、皆さんも日々感じておられるかと思いますが、いくらSNSで1,000人友人を作ろうが、満足する感情は得られにくいです。
では、具体的に親密な人間関係を築くためにはどうすればよいのでしょうか。

それを解決する方法はとてもシンプル。「人は近くに住む相手ほど好意を抱きやすい」という近接の原理に従い、人間関係を築いていくことが最も効果的であるとされており、顔を見る回数が増えるにつれ自然と仲が深まっていくというものです。アイオワ州立大学のダニエル・フルシュカ氏の報告によると、接触回数が10~20回に達すると、相手からの好意は最大に近づくことが分かっています。

そして、全員が近い場所で会う、同じタイミングで同じ行動をする同期行動により、人と人との絆が深まるといわれています。コロナ禍が明けて、オフラインMTGが復活してきているのは、同期行動によってチームの結束を高めているといえるでしょう。

友情を育む上で重要なポイントをもう1つ。それは互恵です。互恵とは他の人へ与えることで、私たちが他の人へ与えられる最強のプレゼントは「信頼」です。さらに、相手から信頼感を抱いてもらうために重要なのは、自己開示です。自己開示を効果的に行うための主な話題は、下記の10種類が挙げられます。
1. お金と健康に関すること
2. 自分がイライラしてしまうこと
3. 人生で幸福になれること、楽しいこと
4. 自分が改善したいこと
5. 自分の夢や目標・野望
6. 自分の性生活に関すること
7. 自分の弱点やマイナス面
8. 自分が怒ってしまう出来事について
9. 自分の趣味や興味
10. 恥ずかしかった体験、罪悪感を覚えた体験


自然との触れ合い

自然との触れ合いにより、人の副交感神経は活性化することが分かっています。副交感神経はリラックス状態にあるときに優位になり、安らぎといったポジティブな感情を作り出します。
自然と触れ合うために、自然豊かな公園や山間部に赴くことも効果的ですが、オフィスや部屋に観葉植物を設置することでも十分効果が得られます。また、観葉植物には幸福度や集中力を上げる効果や、人体に有害な化学物質を吸収する効果も確認されています。
観葉植物を設置することが難しい方は、画像や音で自然に触れるのでもOK。いわゆる偽物の自然にもリラックス効果があるといわれています。


メンタルマネジメント

①言葉

「私たちは自分の感情をコントロールし、意図的に影響をあたえることができる。自分のストレスをいかに言葉や思考に変換するかで、どんな感情にも再構築できる」という言葉があります。(by ハーバード大学 ブルックス博士)
緊張する場面でも「楽しくなってきたー!!」と変換できますし、失敗して落ち込む場面も「失敗して学んだな」と捉えれば、ポジティブな感情を自らの意思で構築できるというわけです。

②運動

運動もストレスを軽減する効果があることが分かっています。どんな運動でもある程度の負荷があれば脳にいい影響を及ぼすことが分かっています。
・1回のセッションで45-60分くらい
・週2回
・軽く息が上がるレベル以上
・運動のジャンルは筋トレでもランニングでも水泳でもなんでもOK
上記が脳機能のアップが見込める最低のライン。このラインをクリアしながら、続けられるレベルや運動のジャンルを選んでみましょう。

③睡眠

睡眠の質ついては、以下の項目を基準に、まずは現状把握してみましょう。
・眠りに落ちるまでの時間が30分以内
・夜中に起きるのは1回まで
・夜中に目が覚めた場合は、20分以内に再び眠ることができる
・総睡眠時間の85%以上を寝床で使っている。
これらを全て満たすことが良い睡眠の最低条件。当てはまらないものがある人は、具体的な対策を行っていきましょう。
具体的対策として重要なのは、自然のリズムを活用すること。シンプルに日中に太陽の光を浴びる時間をできるだけ増やし、夜には室内の照明を限界まで暗くする。また、定期的にキャンプを行うなどして、できるだけ自然光の中で活動し眠ることを行うことで、睡眠の質が改善するといわれています。

④デジタル断食

SNSは情報を取得したいという人の本能(快楽システム)を刺激し、これがSNSへの依存性が生まれる原因といわれています。デジタルデバイスの使用時間と、社会不安の大きさやストレスとの相関が見られるという報告もあり、どうやらデジタルデバイスから無意識に情報取得してしまうことが、現代人のメンタルに負荷をかけているのは間違いないようです。SNS・スマートフォンはチェックする時間や曜日を決め、スケジュールに組み込み、可能な限りのデジタル断食にも取り組んでみましょう。

⑤価値観・目標の明確化

価値観の多様化が進む現代において、あらゆる人の価値観が社会で許容されていくと同時に、私たちの未来をぼんやりとしたものに変えてしまいます。ぼんやりした未来への不安は、慢性的なストレスになります。
この不安に打ち勝っていくためには、未来の自分になって今考えられるようになること。具体的にいうと、自分がなぜ仕事をするか、なぜ生きるかという、仕事や人生の目的を日々明確にしていき、その目的から今の目の前の選択を行うことを繰り返していくことです。

アウシュビッツ強制収容所で4年を過ごした精神科医ヴィクトール・フランクル氏の著書「夜と霧」に、
『なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える。』
という言葉が記されています。フランク氏は、生涯を通して人生の意味を追い続けた人物で、アウシュビッツでも生き延びるコミットメントを崩さなかった彼が至った明確な価値観は、ナチスの迫害すら耐え抜く強靭なメンタルを与えてくれるというのです。


最後に

価値観が明確な人ほど、自然と健康的な食事と運動を実践しているという傾向があります。

一方で、ぼく自身も本記事を書きながら、現状できていないこともたくさんあるなぁと実感しました。今すぐ全て完璧にしようということではなく、今から取り組めることを1つでも実行していく。1つずつの積み重ねを継続することで、長期的に見ると、大きな成果を得られると考えています。

また「人は環境に影響を受ける」ということ。Googleの実験でも度々報告されるほど、人の行動原理の本質的なものです。何事も意志の力だけで、初動を起こし、継続していくのには限界があります。自分が実現したい状態、そのために継続する必要のある行動を決め、それに効果的な環境設定や仕組みづくりにこだわっていきましょう。


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