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かなり求めすぎている



はじめに

日本の接客サービスについてどう思いますか?昔に比べると最近、ひどくなったと思うことややる気があるのかと思われることが多いかもしれません。僕もここ近年、極端に悪くなったとまでは言わなくとも無愛想な店員さんが増えた気がします。おそらくアルバイトなので、辞めてもいいやぐらいの軽い気持ちなのかなと思うことも珍しくありません。しかし、日本の接客サービスを他の国と比較したとき、恐ろしいぐらいレベルが高いことに気づかされます。無愛想な店員さんが増えてもそれでも日本のほうが圧倒的にレベルが高いと思います。今回は日本の接客サービスのレベルの高さと問題について書いていきます。
ユーロのレートはヨーロッパに行っていたときのレートです


コンビニやスーパーでもそこまでするか!?

日本のコンビニやファストフード店へ行くと高確率であいさつをしてくれます。これに返さなくとも問題ないですが、外国では店員から挨拶されれば必ず返さなければなりません。挨拶をしないとすごく変な目で見らます。店員がスマホ触っていたり、他の店員とおしゃべりをしたりしていることはごくありふれた光景です。日本であれば、大クレームにつながりかねないのにと思ってしまいます。
ドイツの売店でピザを買おうと値段を聞いたら、手に持っていたトングで値段の書いている看板を無愛想にバンバンと叩いて、ここに書いているのが見えないのかといわんばかりの態度でした。日本のサービスに慣れているとこういったことにも衝撃を受けました。外国ではこれが当たり前なのかと思い知らされてしまいました。
外国でも高級ホテルや高級レストランなどではしっかりとしたサービスが提供されます。しかし、日本ではそういったところではもちろん、高級ホテルやレストランでなくとも、それなりのサービスを受けることができますし、店員が無愛想で客を無下に扱うようなことはまずありえません。日本でそんなことをすれば、クビになってもおかしくなりません。
日本では接客サービスに求める水準がかなり高いことがわかります。外国人が日本に来て驚くのはこういった目に見えないおもてなし文化です。ファストフード店であろうが、コンビニであろうが、スーパーであろうが一定水準の接客はしてくれます、外国だと本当に店員の気分次第でひどいときは商品を投げるまではいかなくともそれに近いことをする店員は珍しくありません。それにいちいち文句を言う人もあまり見かけません。
日本のサービスは世界に誇るものである一方、それを守るために我々が考えなければならないことについて次に書いていきます。

安い金で最高のサービスを提供?

日本のサービスは世界トップクラスでこれに勝るところはそうないはずです。サービスの開きが高級なところとそうでないところでの差が大きくないからです。他の国では露骨にその差が出ます。日本は一定水準を下回らない珍しい国です。これはもちろんいい意味でです。
しかし、このサービスは無償で提供されるものでなければ、個人の倫理観に委ねるものでもありません。目に見えないものでも維持するにはお金がかかります。今の水準を保つのであれば、給与を上げるしかないのです。人がかかわる以上、そこにお金が発生し、その人の生活を守る必要があります。生活を守れないような水準で求められるものが上がってもやる気が起きませんし、馬鹿らしく思えてしまいます。
ちなみに、ヨーロッパの無愛想な店員と日本のサービス満点の接客をしている人では時給換算で倍近く異なります。ヨーロッパのほうが物価が高いので、そんなことを比較して意味があるのかと思われるかもしれませんが、日本は先進国であるにもかかわらず、平成に入ってから経済成長をせずにだらだらと来ています。賃金は横ばいの状態が続いています。そうであるにも関わらず、原材料費の高騰で物価だけが上がるという現象が起きています。賃金が上がらない状況下で、可処分所得では年々減っています。
ヨーロッパでは物価も上がっていますが、その分賃金も上がっており、可処分所得を維持できています。ここが日本と異なる点です。生活を守るために働いているにも関わらず、年々生活が苦しくなる一方で要求だけあげられるか維持しなければならない状況に疑問を感じずにはいられません。そのような状況下でサービス満点の接客をしたいと思う人は多くないはずです。これでおもてなし精神を守れというのは無理な話です。
ヨーロッパの現状を知れば、サービス満点の接客をしている日本の現状がやりがいの搾取なのかを痛感します。接客サービスを提供している人は機械ではなく、人であり、彼らにも生活が懸かっています。その彼らの生活を単なるコストとして考えているからこそ、コスト削減に走った結果、経済成長を遂げられずにいるのではないでしょうか?以前にも書いたように、日本の接客サービスを維持・向上させる投資と考えれば、サービスがよりよくなるでしょうし、他の追随を許さないサービスが確立されると考えています。精神論や倫理観にだけ委ねる時代はもう終わりだと思います。


最後に

日本のサービスは本当に素晴らしいと思います。それを支えている人たちの生活が苦しいようでは何もいいことはありませんし、労働環境が悪くなると精神的に荒み、ぎすぎすした職場になり、それがサービスにまで影響が出るのも時間の問題です。普通の人であっても、劣悪な環境下に置かれるとまともでいられるはずもなく、何事に対しても嫌気が指すようになると思います。こういった状況を改善するための配膳ロボットやセルフレジなのか言われると、費用面で見ればそうでしょうが、接客サービスの維持という点では違うと思います。誰もがあの素晴らしい接客サービスを受けることができるのが日本の素晴らしいところです。配膳ロボなどに投資するのもいいですが、人への投資は文化を守ることにもつながります。現在はその守るべき場所と切り捨てるべき場所を選ぶ岐路に立っているのかもしれません。しかし、守れるところは守らないと日本という国の良さ1つを失うリスクを抱えていることを頭に入れておく必要があります。1つ失えば、それに付随して失われていくものが当然出てきます。1つだからいいものではないと思います。

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