《新世界通信》8「おわら風の盆2022に行った」 ロケハンとお土産
おわら会場の旧町にたどり着いた後のことは、サクサク書く。
たどり着いてからやろうと思っていたのは、ライブ中継のロケハンをすること。
生中継、出たとこ勝負のレポートだとは言え、効率よく回らないと多くの町を回れない。夜の町で迷子になったら笑えない。おわらを演じる11の町を全部見るのが理想だが、時間切れになったりiPhoneの電池が切れたりすることを考えて、まず「月影ベイべ」(小玉ユキさんのマンガ)に準拠して、
主人公(光、蛍子)らが住む諏訪町
主人公たちの親友・里央の町、鏡町
おわらファイブ(おわら好き、おわらバカな、光の同級生の男子たち)が住む、西町(亮)、下新町(浩一)、天満町(ヒナ太)、東新町(吾郎)
上新町の輪踊りも特色あるので、見せたい。
と構想が膨らむ。
せっかく旅に来たんだ。記念にお土産買って帰ろう。
しかし、土産物屋は少ない。ほとんど店がない。そして数少ない土産物屋にならんでいるのは、おわらカレンダーばかりで。
そうじゃない! それはあまりに定番すぎるだろう。面白くない!
できれば、小玉ユキ先生ゆかりのものがほしいよ。
探しながら、西町にさしかかったところで、間口の小さな店の前で足がとまった。入口のガラスに、おわらの切り絵風の手ぬぐいが貼ってある。男踊りの緑の着物の柄と、女踊りの着物のピンクは、鬼滅の刃を意識しているのかな。
店の前に立っていると、「中に入ってみて行ってください」と声がかかる。その声に誘われるように、足を踏み入れた。
本当は着物屋さんなのだろうか。反物とか見える。若い女性とおばあちゃんが店頭に立っている。祖母と孫だろうか。
お、この絵柄はもしかして、小玉ユキさん?
「飴、試食してみるけ?」
じっとキャンディーのパッケージを見ていると、おばあちゃんが試食用に飴ちゃんを1個くれた。ゆずしょうが味。美味しゅうございました。お買い上げ決定。
「遠くから来られたんですか?」
「いえ、近くから」
「雨がやんで、踊りが見られたらいいですよね」
そんなたわいもない会話が楽しい。
(続く)
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