オカマの正ちゃん/柳ケ瀬界隈昼と夜
「僕の昭和スケッチ」25枚目
<画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5>
柳ケ瀬は美川憲一の「柳ケ瀬ブルース」で全国区になった街。
昼間は買い物客で賑わう街だが、ネオンに灯りが点る頃ともなれば柳ケ瀬は別の顔を見せる。それは昼間とは些か違う顔だ。賑やかだった商店街は寝静まり、逆に周辺を取り囲む飲屋街が息を吹き返す。そして、様々な夜の面々がネオンの下を闊歩するのだが…
中にはこういう人もいた……
「おかまの正ちゃん(仮名)」というのがその人。
正ちゃんは綺麗な空色の着物を着ていつもネオン街を歩いていた。
青ヒゲの残る顔に白化粧をして、芸者さんのようなカツラをかぶっていた。
酔っぱらいにからかわれても、いつもニコニコ笑っていた。
けれど、時には泣きながら奇声を発して柳ケ瀬の街を走っていたこともあった。
子供の僕にも、正ちゃんが何かの理由で精神をやられてしまったのだ…ということは判った。
これは、たまたま日中に近隣の神社の境内で見かけた正ちゃんの姿。
幸せそうに微笑んでオニギリを美味しそうに頬張っていた。
*2020年9月29日にnoteから頂きました。皆さん、有り難うございます!
正ちゃん、良かったね!