ファインアートとイラストレーション/絵画の基本
「絵の横道」18回目
今日の絵の横道は、ファインアートとイラストレーションについてです。
下をご覧下さい、左側がファインアート、右側がイラストレーションです。
<左列/Wikipediaより転載 右列/American Illsutration30'sより転載>
こうして並べてみると皆さんにも何だか違いが判るのではないでしょうか。
左列/ファインアートは、やはり格調高いですね。
右列/イラストレーションはポピュラリティに溢れています。
■ファインアートとは、それ自体で自立性を持っており他の表現に依存しません。純粋にそれだけで成り立っており純粋芸術と呼ばれるのはそのためです。絵画においてはタブロー(一枚の完成作品)とも言われます。優れたものは幾百年という時代を超えて人類に発信していくアートです。
制作者を「画家」と呼びます。
■一方、イラストレーションとは、判りやすくものを伝えるという意味では先史時代の洞くつの壁画が起源ともされますが、現代においてはコマーシャルアートです。文字情報と共に雑誌やポスターに使われることを専らとし、特に20世紀になってからの印刷技術(現代ではインターネットも含む)の発達により一気に需要の拡大した複製することを前提としたアートです。情報と共にあり、目的を持って集団や社会全体に発信していくアートですね。この点がファインアートとの非常に大きな違いです。
制作者を「イラストレーター」と呼びます。
一般的に言ってですが、イラストレーションの作品は水彩です。これは、水彩は早く乾き商業ベースに対応しやすいからです。パーソナルコンピュータとインターネットの普及によりCGも増えました。こう言った事はイラストレーションの本質をよく現していると思います。
私はコマーシャルアートに憧れてこのイラストレーションの世界に入りました。けれど、ファインアートの作品(特に16世紀から20世紀初頭までの)には何時も深い敬意を持っています。
言うまでもない事ですが、世界美術全集に載っている16世紀から20世紀初頭までの画家というのは、どんな画家であれ中々もの凄いものなのです。
あなたの絵画インテリジェンスの向上に少しでもお役に立てれば幸いです。
*全てのカテゴリー分けがそうであるようにファインアートとイラストレーションの間にもグレーゾーンで重なる所もあります. 例えば、版画等もそこにあります. ここでは、最も基本的な所を解説致しました.
*コマーシャルアートそのものをインスピレーションの対象にしたアンディ・ウォーホールなどの現代ポップアートの作家もいます. それは、又別の機会に!
<もりおゆう© この美術エッセイは著作権によって守られています.>
(Yu Morio© This art essay is protected by copyright.)
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