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空前絶後の伊勢湾台風/昭和34年
「僕の昭和スケッチ」27枚目
<画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5>
大きな台風が来るというので街中の商店が早々と店を閉めた。上の絵は、町内の果物屋の小父さんが板きれをガラス戸に打ち付けて防戦体制必死の構えの図。
果物屋さんだけではない。当時の家屋のガラス窓は薄く割れやすいものだったので何処の家でもこれは必須の作業だった。
だが、この時点では誰もこの後あれ程の大災害に襲われるとは予想だにしなかった。今思えば、街は嵐の前の静けさのようなものに包まれていたように思う。
降り始めた雨と風は次第にその激しさを増し、豪雨、暴風となった。まだTVの普及していない時代で、殆どの家庭ではただラジオだけが刻々と情報を伝えていた。夜になると海のごとくになった長良川の堤防がついに決壊し、沢山の人がお亡くなりになった。
伊勢湾台風と呼ばれたその空前絶後の台風は中部地方に甚大な被害を及ぼして翌朝去って行った。
台風一過の朝、街が水に沈んだあの光景は半世紀以上過ぎた今も忘れられない。
<*この記事をお読みになっているあなたも、どうぞお気をつけ下さい。自然の力は人知を遥かに超えたものです。>