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彼のあだ名がアタンテになった訳
「僕の昭和スケッチ」26枚目
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<画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5>
アタンテというあだ名の少年が町内にいた。
ちょっと泣き虫。
缶けりなどで自分がオニばかりになると泣き出してしまったり…
町内の番長格の少年にちょっとニラまれると又々泣いてしまったり…
まぁ、彼が一番年下だったから無理もない…5才くらいだったように思う。
で、なぜあだ名をアタンテと言ったか…?
駄目だ、やめろ、とか言うのを岐阜の方では「あかんて」という。
アタンテ君は、自分がオニばかりになったり、ちょっと草むらからヘビでも出て来ようものなら、泣きながら「あかんて、あかんて…!」と言うのだ。
それが、泣いて喉を詰まらせながら言うものだから次第に言葉が不明瞭になり、聞いている方には…「アタンテ…アタンテ…」と言っている様に聞こえてしまうのだ。
加えて、当時アメリカの西部劇が日本でもTV放送され大人気だった事もある。アタンテというあだ名が、子供にとってはその西部劇に出て来るインディアンの名前っぽく思え、それだから余計に絶妙のあだ名になったのだった。
アタンテ君の名誉のために言っておくが、彼はその後は立派な大人になって威風堂々たるものである。
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2020年9月28日にnoteから頂きました。皆さん、有り難うございます!