【取材記事】「shoichiがいるから大丈夫」そう言われる企業になる。日本のアパレル余剰在庫を全部買いつくすことが目標。ナチュラルボーンSDGs形態のリユース事業に未来を見る。
お話を伺った方
■創業のきっかけはフリーマーケットでの出会いから
mySDG編集部:創業のきっかけを教えて下さい。
山本さん:元々は個人事業で商品を買い、フリーマーケットで販売をしていました。そこで、在庫商品の売買をしている方と出会い、興味を持ったのがきっかけです。
最初は上手く行かなかったんですが、当時はあまり主流では無かったビジネススタイルの「すぐに買い取る」スタンスで波に乗るようになりました。B級品が多少混ざっていてもかまわない、ざっくりしたスタイルが良かったんですね。それから取引先を開拓し続けて、20年間で 2,000社の在庫を扱うようになるまでになりました。
2019年には市場シェアの20〜30%になったので、実質シェア1位となりました。
mySDG編集部:創業時にはSDGsを念頭においていたのですか?
山本さん:いいえ。SDGsや地球に良いことなどの考えは全くなかったです。
mySDG編集部:株式会社shoichiの、名前の由来は何故ですか?
山本さん:自分の名前を付けていたら恥ずかしいことはしないだろうということからです。
mySDG編集部:店舗名の「COLORS」(カラーズ)の由来は何ですか?
山本さん:お店の商品の値段を色分けにしようというところからです。値札もわかりやすく色分けしてあり、赤は1000円、青は2000円など色ごとで価格が違う形式です。商品の価格は平均で1500円〜2000円位ですね。
mySDG編集部:今回のプレスリリース(https://www.mysdg.info/top/343)に関してお伺いします。海外に9店舗あり、カンボジアに3店舗目のオープンということですが、カンボジアにはジャパンブランドのニーズがあるのですか?
山本さん:ニーズがあるというより、私がカンボジアが好きということの方が強いですね。
現地のお客さんからは、「安くていいよね」と言って頂けます。
昨今、日本のブランドを付加価値を付けて高く売ろうという流れもありますが、私は安くていい商品を供給することがやりたいことなんです。
■服に絡めた支援がしたい。支援も事業も自然とSDGsに関わる形になった。
mySDG編集部:「TASKEAI 0 PROJECT」(助け合いゼロプロジェクト)の活動の概要を教えてください。
山本さん:ただ金銭的な支援をするだけではなく、在庫商品を使った支援をしたいと思って考えたプロジェクトです。余剰在庫の廃棄商品を預かり、販売現地に届けて、売上の一部を寄付しています。
プロジェクト名の「ゼロ」は何なのかというと、一つ目は、日本のアパレル在庫廃棄ゼロを目指し、shoichiが買い取り、もしくは寄付をすること。二つ目は、コストをゼロにすること。タグカットの人件費や商品の送料をshoichiの販路を使って解決すること。三つ目は、売上の一部をNPOに寄付し、企業のCSR成果としてご報告することです。
この3つのゼロを目指しているのが、TASKEA 0 PROJECT です。
mySDG編集部:創業のころはSDGs的な活動はあまり念頭に無かったと思いますが、このような活動をしようと思ったきっかけは何ですか?
山本さん:おかげさまで会社も当初から大分大きくなり、私自身の余裕も出てきたこともあって、新事業を展開していく上で、今まで目には触れていて気になっていた支援にshoichiなりのやり方で取り組むことができた形です。
mySDG編集部:SDGsが注目されるようになってきた時代になりましたが、山本様は時代の流れの違いなどを感じますか?
山本さん:周囲の企業の反応などもSDGsの目標に関わる活動をしなければならないとの話にはなります。しかし、shoichiはどうかというと、企業形態そのものがSDGsに沿った形態なので、これからも同じ調子でまい進していきたいと思っています。
■アパレルでの余剰在庫の廃棄問題、メディアは企業努力を伝えて欲しい。消費者が選ぶ生産手順は変えにくい。そこで、shoichiの出番。
mySDG編集部:御社はアパレルの余剰在庫を買い取ることに使命感を感じていらっしゃいます。私だったら、アパレルメーカー側に在庫を減らす努力を訴えるかもしれません。山本さんはどう思われますか?
山本さん:メーカーのみなさんは、実は既に残在庫を減らす努力をしているんです。メディアはその部分をなかなか報道しないので、消費者のみなさんには知られていないかもしれません。余剰在庫は実は販売量の1%〜2%位なんですよ。1%〜2%と言っても、100万枚や1000万枚売っているので、10万枚や20万枚は残るんです。
では、在庫を無くす方法はと言うと、「売ってから作る」しかないんです。例えばお客様から「暑いからTシャツが欲しい」と言われてから作り、1ヶ月後にできたとすると、もう季節が変わってしまいます。売ってから作ると、オーダーメイドのように時間がかかってしまう。そういったシステムだと皆さん買わないでしょう。そうすると「作ってから売る」ことになるのですが、それだとどうしても在庫になってしまうんです。
また、沢山作ると原価が下がるので安く販売できます。かつ、現在商品が手元にあって、すぐ着用できるとなるとまた魅力が増します。消費者の方は、環境に配慮して、欲しいTシャツを高く買い、また、出来上がるまで1ヶ月待つかというと、やはり、手元の安いTシャツを購入してしまうのではないでしょうか。消費者の方が安い商品を買わないことができればいいのですが、日本の経済事情ではそれも難しいと感じます。先に商品を作る方が商売として強いのが現状なんですね。
しかし、企業が努力しても残ってしまった在庫をshoichiが買い取ってリサイクルやリユースに回せることが出来たら、資源は無駄にしないことになります。shoichiは最後の砦になると思って経営しています。
mySDG編集部:生産比率からいうとメーカーさんもかなり努力しているのですね。
山本さん:最後の砦になるという思いは、自分に課せられた使命と思って、「shoichiが買いつくす」と言っていますね。
■服が好きだから、変化が好きだから、自分に合っているから在庫屋は面白い。「COLORS」で日本のアパレル余剰在庫をshoichiが全部売り切る。
mySDG編集部:創業以来、そうして余剰在庫にパッションを持ち続けられているのは何故ですか?
山本さん:面白いからですね。余剰在庫と一言で言っても、様々なところから様々な状態で出てくるんですね。商売と考えると、いつも同じものを売っている方が楽な部分があると思うのですが、私は変化がある方が好きな性格なので、毎回変化のある余剰在庫屋さんが合っていますね。服も好きですし、自分の予測しない環境が来ると面白く感じるんですよね。
mySDG編集部:shoichiさんの企業スタイルで、直ぐに何でも買い取るというスタンスの様ですが、買い取った在庫を売り切れるのかと不安にはなりませんか?
山本さん:なることもありますが、気合いでやりきるしかないですね。(笑)
mySDG編集部:気合いで売り切ると言っても、店舗ですとどうしても残ってしまう商品があると思うのですが、「COLORS」で残った商品はどうするのですか?
山本さん:残らないです。安くてもシーズンごとに売り切ります。日本に返品される商品はゼロです。大きな福袋にしたりして売り切ります。
返品されてきてしまうと余剰在庫になってしまうので同じことですもんね。必ず余らないようにするんです。
mySDG編集部:本当に余剰在庫はshoichiさんのところが終着点ですね。
山本さん:店舗のスタッフにも努力してもらっています。アイディアを出して、売り切る方法をなんとか見つけてもらっているんです。
mySDG編集部:最後に今後の展望をお聞かせ下さい。
山本さん:ヨーロッパや他国から、「日本は服を捨てていないか?」と聞かれた時に、「日本はshoichiがいるから大丈夫」と言われる存在になりたいとの目標を持っています。
mySDG編集部:shoichiの企業としての理念が強く伝わってくる大変貴重なお話を伺うことができました。ありがとうございました。
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