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もうそんなに頑張らなくていいんじゃない?自らを家畜化する人たち【読書記録】ファントム(著:羽田圭介)
ブレない自分軸を持って生きる。
芥川賞作家羽田圭介さんの「ファントム」を読みました。
米国株投資で5,000万円の金融資産を手に入れて働かないで生きていくことができる自由を手に入れる。
”ブレない軸"を持ってその目標に向かう主人公華美の物語を、その日の天気次第の超日和見主義のカワクボ・リョウが読んでいきます。
今回のnoteは、この1冊を読んで気付いたことを書いていきます。
このnoteでは、書評を中心に読書に関する記事を発信しています。ぐちゃぐちゃになった頭の中を読書で整理してみると、それだけで人生がラクになります。人生をラクにする1冊を紹介するnoteです。
働かないで生きていくことができる自由
『将来的に儲け続けるためのシステムを作っているんだよ。』
主人公の華美の夢は金融資産5,000万円。
昼間は外資系のメーカーに勤務して、夜はPCを開いて米国株式の売買。
5000万円を年利5%で運用すれば毎年250万円、会社で働いて手にいれる収入と同じ額を生み出してくれる自動お金発生装置だ。それを手に入れる。
それをいち早く手に入れるために家賃が月4万円という破格の住宅に住んで、毎日お弁当をつくって、飲むものは自販機ではなく水筒に入れたコーヒー。
税金を高く取られるタバコも止めて、その代わり米国のタバコメーカーの株を買う。
『そんな価値の変わるものは信頼できないでしょう。実世界でなにも生み出していく人たちで、金が金を生むマネーゲームしているんだから』
同じ会社で働く華美の彼氏の直幸は、お金なんか貯めてもしょうがない。自分に正直に生きて、お金よりも、人とのつながりが大切だと言う。
自分ができることをして、その代わりに自分がやってほしいことをその人からしてもらう。ギブアンドテイク。直行はお金ではなくシンライでつながる社会を目指す山奥にあるムラにのめり込んでいく。
華美の部屋で身体を重ね合わせ後の会話は噛み合わなくなっていく。
セックスに生理現象としての気持ちよさしか感じていない、精神面の快楽がないことも感じながら。
友人の結婚式に行くか?行かないのか?
「今の1万円が、30年間寝かせておけば7倍以上になる。30年後---62歳になった頃に、彼女との友情は続いているか?」
友人の結婚式に使う額をもし30年運用したときにいくらになるか?
結婚式に参加するか、参加しないかを決める”根拠”はそれ。
そのお金を年利5%で10年複利運用した場合
何かを決めるときに華美の頭の中に自動的に立ち上がる計算式。
辞めたタバコをそのまま10年間吸い続けていたら10年後の310万円は手に入らない。
ブランド品も買わず、友達づきあいも制限し、お金を発生させる装置をつくる。
一番難しいもの
何をしても自由、どう生きても自由。
その中で自分が何をするか?どんな人と一緒にいるのか?どう生きていくのか?
それをどう”決める”のか?自分の責任で。
自由の中で決めることは難しい。
資本主義をハックして経済的自由を手に入れることも、資本主義を否定して自分らしく人との関係だけで生きていくことも、そんなには変わらないのかもしれない。
そう思うと人生がラクになる。
オススメの一冊です。
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