№176【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『いい訳』~へんいちエッセイ講座上級・参加作品~
10月に入ってようやく朝晩少し肌寒くなってきた今年。中1の娘が自分の服が入った引き出しを見ながらこう言った。
「お母さん、長袖のシャツがなーい」
あ・・・。伸ばし伸ばしにしていた衣替えがとうとうやって来た。
それもこれも、今年は9月が終わろうという頃も「今日も30℃を超える日になるでしょう」と真夏のような予報を聞き続けたから。
「お母さん、プールしたーい。水着どこ?」などと、9月らしからぬ小4の息子のセリフに、まだまだ夏が続くのかと錯覚していたから。
そんなエアコン必須の暑い日が続いたせいで、長袖や羽織るものを考えただけでも暑苦しい。9月だからといって衣替えなんてチラリとも思わなかった 。
娘の服をチェックすると秋服がなさすぎる。なぜかどれも冬物ばかり。
「おや? 去年はどうしたんだろう・・・」
たしか暑い夏がようやく終わったのも、いつもの年より遅めだった。身長が伸びた娘と
「お休みの日に一緒に買いに行けばいいよね」
と言っていたら、あっという間に本格的な寒い時期に突入。うっかり秋服を買い損ねた。気分は「秋・・・いた?」
※
秋のお買い物といえばおいしい果物。梨・ぶどう・柿が毎年メッチャ楽しみ。
ある日、小4の息子がこうリクエストしてきた。
「お母さん、梨が食べたーい」
いいね、ワタクシも梨大好き。今年もたくさん食べよう。ウキウキしながらスーパーに行くと、果物コーナーには驚くようなお高い梨だけが並んでいた。
「うそ~ん! 値段間違えてない? もっと庶民価格のでいいんだけど!」
もしかしてテレビやネットで言っている異常気象だから? 暑すぎて実ができないとかいうヤツ? 旬の食べ物は安くていいのに? え~っ!
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秋物の服を買いに行こうとぼんやりしていたら買いそびれるほど秋が短いし、秋の味覚を楽しもうと思ったら、暑すぎて旬のお手頃価格の果物が見あたらない。
どうなんこれ。
ところがワタクシ、梨が高くて買えなかったいい訳を息子にうっかりこう言ってしまった。
「梨は時期じゃないんだよね~。また梨の安い時期にね」
ひょーっ! これってワタクシが買わないときに使う「常套手段」のセリフじゃーん。そんな時期は今年はないから!
無意識にナチュラルに言ってしまうあたりが、ふだん使い慣れすぎていると反省した。
短すぎる秋は「いい訳」まで影響する。
とほほ。
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この作品は先輩noterへんいちさんが主宰されるメンバーシップの「エディターコース★エッセイ講座上級⑧期」に参加した作品です。
今回のテーマと執筆条件はこちら!
カンジオオイ・・・え? も、もう1回最初から。
テーマを10回以上読み込んだのは初めまして。暗唱テストがなくてよかったと思いながら書き始めたせいで、今回の初稿は過去イチ直しが多く、改稿も苦戦した。その分、クスっと笑って頂ける作品になっていたらいいな。
へんいち先生、今回も丁寧な添削ありがとうございました~!
へんいち先生より、初の修了メダルを頂きました!
なんと【ひよこ色!】←個人的な見解です。
これからも、ひよこから大きく羽ばたけるよう頑張りま~す!