2分で読める子育てエッセイ№587『ツマンナイのは小鳥も同じ』
今年のふるさと納税を申し込もうとお昼過ぎからPC画面をのぞき込む。
もちろん「お得」がキーワード。
今年は何にしようかな?
すると勢いよく、ダンナが真っ先に手を挙げてきた。
「ウナギ! うなぎ! 鰻!」
食べたい物ナンバーワン、特大の「鰻」をうるさくアピールしてくる。
サンタさんが来ない大人。
わがままを言うのは今! 今しかないので精一杯推す。
「やったね! 前から一度食べてみたかったんだよね~」
こだわりの産地の鰻を申し込み、満足そうにダンナはミッションを終了した。
ふう、静かになった。
次。
小5の娘に子供代表として希望を聞くとメッチャいい顔してこう言った。
「アイス!」
冬アイス。いいね!
年末年始用にあると嬉しいよね。
「どれがいいかな~」
ワタクシと娘がPC画面をのぞき込み、気になるものをチェックしていると、わが家の小鳥、キンカチョウのコッコがPC目掛けて飛んできた。そして急いでPC画面に回り込み、のぞき込む。
「何? もしかしておいしいお話しているの? あたちも混ぜて~」
あれ?
鰻で盛り上がっていた時には全然こちらを気にしていなかったのに?
アイスは気になるの?
女子の会話に、女の子のコッコが、すっごくナチュラルに加わってきた。
ところがしばらくすると、画面の一番前でコッコが、ちょろちょろと不規則に動き始めた。
なに? なにごと?
よく見ると、マウスのポインターが左に行けば、サイドステップで左によってポインターをツンツン。ポインターが右に移動したら、チョンチョンと軽いステップとともにポインターを追いかけてツンツン。
あれ? 画面のポインターと追いかけっこしてる?
猫ちゃんがやっているのを見たことある~!
嬉しくなってダンナに声をかけた。
「これ、動画撮って。メッチャ可愛い~」
ところがスマホを構えた途端、コッコはPCにプリっとひとつ落としものをして、振り返りもせず鳥かごに帰っていった。
「おいしいものかと思って何度もツンツンしたけど全然口に入ってこないの。それに今日は麦茶のひとつも出してくれないしぃ~」
そう言っているコッコの背中。
おいしいものが口に入らないとツマンナイのは小鳥も同じだった。