2分で読める子育てエッセイ№944『段違い・裏表・後ろ前』
ある日の朝、小4の息子・イチが玄関から元気よく学校に向かって歩き出したら、お向かいのUさんが、いつものように二階のベランダで洗濯物を干しながら声を掛けてくれた。
「イチくーん! 行ってらっしゃーい!」
すると、外用のお兄ちゃんの顔をした息子がキリッとした表情でご挨拶。
「行ってきます!」
その様子を通りを曲がるまで見守ってくれるつもりなのか、Uさんはいつまでもいつまでも息子の背中を眺めていた。
そこに忘れ物をして玄関を出たり入ったりしていたワタクシが、ようやくUさんに挨拶。Uさんがニコッと笑ってこう教えてくれた。
「ねえねえ、イチ君の靴下、左右同じ?」
え?
「気になってずーっと見てるんだけど、なんか違う気がするなーって」
すでに遠くまで行っている息子の靴下が、ここから見ても分かるくらいハッキリ、片っぽだけ極端に短い。
「ひょーっ! 同じハズですけど~! 確認しまーす」
慌てて息子がいるところまで猛ダッシュ。靴下の長さが違うと伝えると
「あ、ホントだ。全然気がつかなかった~」
息子は笑い崩れながら、靴下をひざ下までグイっと伸ばした。
お兄ちゃんらしいところを見せている息子が傷つかないよう、こっそり教えてくれたUさんに感謝。
※
段違いの靴下は遠目でも目立つ。それはシャツを裏表、後ろ前に着ているよりもしっかり、ハッキリと。
実はつい最近、丸一日その状態でウロウロしてしまったと、1人でモヤっとしていた、いい歳の大人のワタクシ。
「裏表、後ろ前って、誰にも気づかれなかったよ?」
人知れずくすぶっていた失態がチャラになった。
ほっ。
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