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2分で読める子育てエッセイ№926『たかが飴玉、されど飴玉』

ある日、ダンナのおごりでラーメン屋さんに行ったときのこと。
家族4人でしっかりご馳走になったあとのお会計をしようと思ったら、レジがちょっと混んでいた。ワタクシ家族に
「先に車に行っておいて」
と声をかけると、中1の娘がこう言った。
「お母さんと一緒にレジに並ぶよ」
なんて可愛いことを言ってくれるんだ・・・とワタクシ、ちょっぴり感動していたら娘がボソッとこう言った。
「ラーメン屋さんって、子供には飴くれるんだよ~」
ひょーっ! しっかりしている~。
驚きながらも納得して、一緒に並んだ。

ところがいざお会計の段になって異変が起こった。
前のお客さんは3歳くらいのお子様連れ。
「はいどうぞ」と差し出されていた飴の入った箱が、跡形もなく片付けられていた。ワタクシの番になると何事もなく滞りなくお会計は済み、渡されたのはピラッとしたレシートただ1枚。思ったんと違う~! 
たかが飴玉、されど飴玉。ちょっぴり肩を落とし、そのままお店を出た。

帰りの車の中で、一部始終をダンナと小4の息子・イチに話をすると、ダンナがこう言った。
「そう言えば、前回行ったときも飴なかったよね? 別のお店だったらお姉ちゃんもどうぞ、って言ってくれるのに」

その言葉を聞いてワタクシ、昼間、久しぶりに会ったワタクシの叔母の言葉を思い出した。もう2年会っていなかった娘の顔を久しぶりに見たと、大はしゃぎの叔母。
「ええっ! お姉ちゃん、もう中1になったの? 背がシュッと高いし、長くて綺麗な髪ね~」
そのうえ美人だ美人だと散々褒めてくれた後、ボソッとこう言った。

「まいまいよりも落ち着いているし、断然大人っぽ~い」

叔母さま、配慮のかけらもない本音100%のお言葉ありがとう。
そう、娘は断然大人っぽい。どういうわけだか大人っぽい。
その娘が子供扱いされ、飴玉など差し出されるわけなーい。

「やっぱりイチを一緒に連れて行くんだった」
という娘は、断然大人っぽいを超え、すでにベテラン主婦の風格さえにじませる。

悪くない。


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