№133【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『全く予期していなかった玄関のチャイム』
ある日の午前中、全く予期していなかった玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
玄関近くにいたダンナが応対に出ると何やら話し込んでいる様子。
しばらくすると嬉しそうに見慣れぬものを抱えて戻ってきた。
もう、嫌な予感しかしない。
「ねえねえ、モップのお試ししませんか、だって」
聞くと有名なお掃除サービスのあの会社。この辺りで無料レンタル期間3~4週間のお試しサービスをしているらしい。
「モップ~? 大小2つも? え? モップ用据え置き型の自動ごみ箱もあるの?」
わが家はリビングで小鳥を放し飼いしているため、しょっちゅう床に小鳥の餌の殻が落ちているので簡単に掃除ができるのは嬉しい。でも正直、掃除道具には全然心が躍らない。だって掃除機があるし、それにタダより怖いものはないじゃーん。ワタクシさっさと返そうと思った。
するとワタクシとは対照的なダンナがメッチャ楽しそうに大きい方のモップで床を掃除し始めた。
「おおっ、さすが有名な会社のモップ、キレイになるわ~」
リビングの床があっという間にピカピカに。そしてこんどは手が届かない照明器具を小さい方のモップでサササっ。
「掃除機は出したりコンセントにつないだりがめんどくさいけど、このモップは簡単。それに掃除機みたいブワッッとホコリも餌の殻も舞わないのがいいね」
なるほど。
「すぐ出せるところにおいておけるから俺でもできる」
とダンナはご満悦。
ひょーっ! リアル通販番組みたーい。
それから2週間。相変わらず楽しそうにモップがけをしているダンナ。
以前より床がキレイになっているのがありがたい。そろそろ本格的に契約するか、返すかを決めるとき。
「大小のモップと据え置き型自動ゴミ箱3点セットが4週間でこの値段か~」
掃除道具としては安くはない。けれどこの3点セットに「日に何度もモップがけをしてくれるダンナが付いている」と思ったら・・・。
ダンナが飽きるまでレンタル決定!
悪くな~い。