2分で読める子育てエッセイ№910『少なくとも5枚・・・の使用禁止令』
今年の夏休み「夏休みが短かすぎる」と、ぼやく中1の娘に面白い宿題が出ていた。それは「洗濯をしよう!」
「おおっ! なんと母想いな宿題! いいじゃーん」
と言ったものの、すぐに問題に気がついた。
「お姉ちゃん。最近、全自動で乾燥までしてくれる洗濯機を使うおうちが増えたんじゃない? もしや、ボタン1つポンと押して終了・・・なんてことないよね? 畳むところまで絶対にやってね」
と釘をさすと、娘が渋い顔してこう言った。
「先生から、少なくとも5枚干すことって言われた。乾燥機の使用禁止令」
ですよね~。こうして娘の洗濯実習が始まった。
ところが「楽できる」と思ったのは幻想だった。
ふだんの洗濯は、乾燥までやっているので洗濯ハンガー類は押し入れにしまい込んでいる。
「うそーん。あれ出すの?」
さらに干す場所も確保。久しぶりなのでS字フック、洗濯ばさみを探し回る。そうしてお膳立てした、娘の初めての洗濯物はタオルがわずか5枚。
「ひょーっ! 逆に手間がかかるんですけど~!」
1つ1つ説明したあと、やっとの思いで外に干すことが出来たのは、すでに15時を回ったころ。
「梅雨の日だったら乾かないよ。夏のカンカン照りの日で良かったね」
と娘と笑った。
19時、庭に水まきするため外に出たダンナが、叫びながら洗濯物を部屋に持って入った。
「洗濯物取り込むの忘れているよ~!」
その声を聞いて宿題を思い出す娘。
洗濯物を取り込み忘れる件は、年齢関係なしと証明される。
そして、カラカラに乾いた5枚ものタオルを畳んだ娘、ワタクシにこう感想を述べた。
「洗濯乾燥機、まじ神です。フワフワやわらかいタオルを毎日ありがとう!」
それ、言う相手間違ってない? と思ったらさらにこう続けた。
「人生初めての洗濯物のタオル。顔を拭いたら削れそうなほど固かった~」
・・・あっ。
ワタクシ、柔軟剤を入れるのを忘れたことに気がついた。
※
翌日、洗面所から
「なにこれ、痛いっ!」
事情を知らないダンナのリアルな感想、悲鳴が聞こえてきた。
どんまい。