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[自作詩] [レ・ミゼラブル] 2024.08.28



私たちは皆、私たちが『迷子』であることを知っている。
道に迷ったり親を失ったりして迷子になったのではない。
それは今の我々の哀れな現実に過ぎない。
私たちが失ったのは私たちの『記憶』だ。
記憶を失ったため、私たちはほとんどすべてを失った。
記憶の断片が脳裏に残っている人間がたまにいるようだ。
故郷の星で夜空の星々を数えていたゴッホ、
同じ夜空の下で、夜想曲を聞いていたショパン。
 
『詩』というものの起源は分からないが、
忘却以後人間の詩は受取人不明の手紙になってしまった。
自分の文が『そこ』に届くことを願いながら詩人たちはずっと口ずさむ。
 
芸術はぜいたくだ。
それは私たちに過去の豊かさを想起させるからだ。
人間は『恋しくて』しきりに何かを作る。

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