自閉症児における感覚刺激~不安感との関係~
久しぶりの投稿となりました。
今回参考にした論文はこちら↓
雑誌名:Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry
Impact Factor:13.3
※内容には、個人の解釈や見解が含まれます。ご理解の上、ご覧ください。
今回の論文は、IFも高い論文です。
早速、内容に入ります。
自閉症児と感覚過敏について
自閉スペクトラム症(以下、ASD)は、言語や相互的な社会的行動の障害に加えて、
感覚刺激への過剰な反応を示すことが多い。
感覚過敏(以下、SOR)は、騒がしい環境における視覚的な刺激への反応、突然の大きな音、衣服の縫い目、不意に触られるなどの感覚刺激に対する極端な否定的反応や会費を特徴としている。
これらの感覚過敏は、
ASD児では56〜70%の児童がその特性を持っていることがわかっている。
一方で、定型発達児においても、10〜17%の子供が持ち合わせているとされている。
これら、感覚過敏によって、
などに影響をしているとされる。
これら、感覚過敏に対する神経学的な基盤に関する研究は少ない状態であるが、
この分野の研究において、機能的MRI(fMRI)を用いた研究では、
ASD児は定型発達児と比較して新しい音に対して速く反応を示し、前頭前野と下頭頂野の活性化が高かったが、
聴覚野の活性化には差がなかったことを発見した。
著者らは、新しい聴覚刺激に対して最初は正常に処理されるが、新奇性検出回路から注意性に差が生じたと推論した。
感覚過敏の神経基盤における他の研究では、
扁桃体や海馬を含む感覚刺激に対する大脳辺縁系の反応の亢進を仮定している。
多くの研究で、ASDとSORを有する小児は、不安症状の割合も高いことが示されている。
感覚過敏は不安症状と併発することが多いため、不安におけるこれらの構造の役割を考えると、
扁桃体や海馬の機能異常に関連する理論は特に関連性が高いと思われる。
fMRIの研究では、脅威の検出と反応、および恐怖の条件付けにおける扁桃体の中心的役割が一貫して高く評価されている。
視床から感覚入力に反応した扁桃体の活性化の大きさは、刺激が脅威または不快なものとして知覚される程度と相関することがわかっている。
そして、扁桃体は、将来これらの刺激にさらされた時に、扁桃体の活性化と相関する感覚反応の増強などの反応を引き起こすことができる。
今回は、ASDの子供と定型発達の子供において、感覚過敏の機能的神経相関を評価している。
予測される結果として
ASDの子どもでは、感覚処理に関連する脳領域(視床、一次聴覚野、視覚野)だけでなく、不安に関連する領域(扁桃体、海馬)においてより高い活性化を示すと考えた。
さらに、扁桃体と海馬の活性化は、感覚過敏の重症度と相関するだろうと予測した。
研究の結果
研究の結果は以下のとおりであった。
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