歴史・人物伝~謙信の戦い編⑪川中島の戦いの本当の勝者は?
歴史・人物伝~謙信の戦い編の第11回です。1561年の第4次川中島の戦い、その後について書きました。
上杉謙信と武田信玄が一騎打ちをしたとまで伝わる第4次川中島の戦いは、双方が勝利を主張して引き上げました。どちらが本当の勝者だったのでしょうか? 私は「痛み分け」だったと考えています。
謙信は、北信濃から武田氏の勢力を払拭させたいと思っていましたが、できませんでした。一方の信玄は、北信濃領有の野望こそかなえられましたが、自身の右腕とも言える弟・信繁をはじめ、多くの重臣を失いました。
川中島では、1564年に第5次合戦がありましたが、この時は両者がにらみ合うだけで、本格的な戦いには至っていません。信玄は、上杉軍の強さを思い知らされたので、直接対決は避けたいと考えていたのでしょう。
「川中島の戦いがなければ、信玄あるいは謙信は天下を取っていた」と、よく言われます。戦国屈指の名将である二人が、真正面から激突したことで「戦力も時間も消耗してしまった」というのが根拠のようです。
ただ、実際に信玄が上洛軍を進めたのは第4次から12年後、謙信に至っては天下取りを考えていたかどうかすら分かりません。第4次川中島の戦いが名勝負だったがために生まれた仮説だと私は思います。
いいなと思ったら応援しよう!
noteでは連載コラム、エッセイをほぼ毎日書いています。フリーランスのライターとして活動中ですが、お仕事が・・・ご支援よろしくお願いいたします!