＃７🌱集中力が保てない時に試してみたいコト５選🌱

2025年1月15日 01:40

１.「指導の方向性」と「支援の手立て」を確認する

教育や福祉の現場で混同して使われる言葉に「指導」と「支援」があります。まず、この言葉をしっかりと定義するところから始めましょう。

「指導」とは、どの山（目標）に登り、どんな景色を見たいのか（目的）を設定し、そこへ導いていくことです。

どの山に登るのか？なぜ登るのか？が決まらない限り、指導はできません。指導ができなければ支援もできないということになります。

だからこそ、指導者及び支援者は、目的と目標を子どもにもたせるということが、活動の始まりになるわけです。

指導とは？

「支援」とは、目的・目標を達成するための手段を考え、伴走していくことを指します。

支援とは？

例えば、「算数ができるようになることで、余暇の楽しみである買い物をより一層、楽しめるようになる」という目的を設定したとしましょう。

次に、子どもの実態から「電卓を使って、『１０００ー●●』という計算ができるようになろう！」という目標を立てることになります。

そして、その目標を達成するために①模擬コインの活用、②計算シートの活用、③買い物学習の模擬体験、④計算シートなど、目標を達成するための手段が決まってくるわけです。

特に福祉の世界では「支援」ばかりが語られる傾向がありますが、その支援は何を達成するための手立てなのかをよくよく考えなければなりません。

「支援をする」ということは「支援をフェードアウトしていく」という出口まで考えていけると、より良い支援ということになるでしょう。

２.「評価」を工夫する

指導・支援について考えることができると次は「評価」をどうするか？ということを考えます。

人生は、「目的をもち、目標をもち、実践して、次に生かす！」の連続です。私たちの言葉で言い換えれば「自律する〜自ら問い、考え、計画し、学び、実行し、解決する〜」ということを体現したいわけです。

そこで大切になってくるのが「目的」を達成するための「目標１」「目標２」「目標３」「目標４」・・・、といった段階で適切に評価をしていくことです。

評価をすることで目的との距離感を把握したり、次への意欲に繋げたり、支援の妥当性を検証したりすることができます。

評価において私が大切にしていることは、以下の２つです。
●努力を可視化すること（量的な評価）→目的・目標との距離感
●パフォーマンスを言語化すること（質的な評価）→意欲の向上

取り組みを評価する際には「量的な評価」と「質的な評価」が必要だろうと考えています。

（１）努力を可視化すること（量的な評価）
私たちは、子どもたちに「〇〇さんよく頑張りましたね！」「◯◯ちゃんすごい！」と声をかけますよね。

だけど、その努力というのは実感しにくいわけです。そこで、努力を可視化、数値化することが重要です。

努力を可視化、数値化することは、目標との距離感を掴みやすくなります。努力を子どもに見えるようにしてあげることで「結果を出すということ＝成果＝成績＝成長」ということを肌感覚で理解させてあげることができます。

私がよく使う方法の代表例として以下の３つがあります。
①学習記録シート（学習内容の可視化）
②学習ロードマップ（経験値の可視化）
③賞状（目標達成の可視化）

このように子どもたちの努力を可視化、数値化することで、「目的を達成するために私は一歩ずつ歩んでいるのだ！」ということが分かりますよね。

しかし、これだけでは可視化、数値化できるのもしか評価（フィードバック）できません。

「本当に大切なことは目には見えないもの！」という言葉があるように、パフォーマンス自体を評価することで、可視化、数値化した評価の効果をさらに有意義なものにすることができます。

（２）パフォーマンスを言語化すること（質的な評価）

努力を可視化し、数値化すること。つまり、目標に対しての進捗状況を評価していくことは、上記の方法で概ね網羅できます。

その一方で、「量的な評価」に偏ってしますと、どうしても可視化、数値化できない子どものパフォーマンスが見落とされがちになります。

そこで大切なのが子どもたちのパフォーマンスを評価していくことです。そこで、パフォーマンスを評価する上で大切なポイントを洗い出してみたいと思います。

●無意識で行っている良いパフォーマンスへの評価
（例）勉強する姿勢が素晴らしい！

👨‍🏫Aさんの勉強する姿勢をね、先生見てたんだけどすごく良いなぁ〜って思ったんだよね。

👨‍🏫Aさんどんな姿勢で勉強していた？

👩‍🎓なんか、ピンってなってた！背中のところが！

👨‍🏫やってみて！ねぇ、みんなどこか良いと思う？

👩‍🎓背中の骨がまっすぐ！

👨‍🏫そうだよね！背筋が伸びているよね！

👨‍🏫じゃあ、なんで背筋が伸びていると良いのかなぁ？

👩‍🎓腰が痛くならないから！集中できるから！

👨‍🏫そうそう！空気の中にある勉強するとき必要な酸素っていう栄養が補給できるんだよね！だから、Aさんは集中力がすごいんだね！拍手〜。

⇨このように目標に向かう姿勢をみんなでシェアすることで、学びに向かう姿勢が醸成されていきます。「受験は団体戦！」と言われるように学びに向かう姿勢が美しい集団というのはチームで成長していきます。つまり、成長のスピードが足し算から掛け算になっていきます。

●意識的に行っている良いパフォーマンスへの評価
（例）１００マス計算の計算スピードが速い！

👨‍🏫今日、Aくんの計算スピードが速かったよね！Aくんはどんなポイントを意識して取り組んだのかな？

🧑‍🎓僕は答えを書くときに次の準備をしていたんだよ！

👨‍🏫先生ずっとなんで計算スピードが速いのかを観察してみたんだよ。すると、Aくんは答えを書きながら次のマスの計算を始めてたんだよね。つまり、「書く」と「考える」を同時にやっていたんだよね。これができるようになると計算スピードが上がるんじゃないかな？みんなも真似してみてね。Aくんに拍手！

このように正解にたどり着くためのプロセスの中で、みんなに共通するヒントがある場合は、その子のパフォーマンスを評価すると良いでしょう。そうすることで評価してもらえた個人の意欲も向上しますし、友達も学びのプロセスを学習することができます。

３.「学習環境」を整える

活動に集中できるかどうかは活動環境が整っているかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。

学習環境を整えるためのチェックポイントを以下に示しますので参考にしてみてください。

✅活動の目的や目標
なぜ、この活動に取り組むのか？どうやったら課題をクリアしたと言えるのか？常に活動の目的や評価基準が設定されていることで、活動の充実度合いが変わってきます。

✅活動のながれ
どんな順番で活動が行われているのかを可視化することが大切です。そうすることで子どもたちは、見通しをもって活動に取り組むことができます。さらに活動の量を加減する際にも視覚的に理解させてから、子どもと交渉することもできます。また、支援者も活動のながれが分かることもメリットになります。

✅活動の時間（タイマー・時計）
集中力を保つためには活動量を時間に置き換え、集中を可視化すること、肌感で体感させることが大切です。ゴールや終わりが見えるからこそ人は頑張れるものです。

✅BGM
子どもたちの集中がふと途切れた時にそこで活動から離脱していくのか、もう一度、活動の中に戻すことができるのか。それは活動の充実感や達成感に関わります。BGMを使用することで、集中に欠けてきた際に集中をBGMという範疇に収めることで活動に戻れることがあります。こういった小さな工夫が活動の充実度を左右します。

４.「支援グッズ」を活用する

（１）スクイーズボール
「手」と「目」は、脳と深い関係（目と手の協応）にあります。手先を動かす活動は子どもの心を落ちつかせるのに有効です。

例えば、編み物や曼荼羅ぬりえ、点つなぎなど、視線のベクトルを一点に集め、手を動かすことでADHDの子どもは落ち着いていきます。

また、自閉症の子どもは活動の最初に上記の活動を仕組んでいくことで、主活動への集中力を高めることに有効です。

集中力というエネルギーを外へ発散させずに、自分への良い刺激に変えるためには「スクイーズボール」が有効です。

↓オススメは【ヨギボーボールミニ】です。握りごたえがあり、心地よい感覚があります！勉強のイライラを吸収しながら、集中へ向かわせてくれます。

（２）バランスクッション
「先生！勉強中にフニャフニャして姿勢が保てないんですよ〜。どうにかなりませんか？」という相談を受けることがあります。

その時にオススメしているのがバランスクッション（バランスボール）です。

※バランスボールは場所を取るので、あまりオススメしていません。

「子どもの姿勢が悪くなる＝体を前後左右に動かす」ことで集中できないというエネルギーを外に出そうとしていることがあります。

そして、体を動かすというエネルギーを使って、地面に倒れないようにしようとする集中力を使うことで、その場に留まろうとしているのかもしれません。その場に留まれば勉強している風に見えますからね（笑）

そのエネルギー（集中力を散漫にすることで集中しているように見せる行動＝姿勢が悪い）を上手に使うことができるのがバランスクッション（バランスボール）です。

バランスクッションを使用することでクッションが自動的に元の良い姿勢に戻してくれますので、集中力散漫に使うエネルギーを勉強に向かわせることができるのではないか？と考えています。

最初はクッションの揺れる感じが楽しくて「あえて揺れてみる」という行動が見られると思います。子どもには十分に揺れてもらって「よし！じゃあ、何秒揺れずに背筋ピーンできるか挑戦だ！」のように正しい姿勢を体で覚えさえる導入も大切ですね！

姿勢が良くなると、長期的には、腸の動きも良くなり、脳への好影響が見込めるでしょう。短期的には、脳へ酸素の供給率が良くなり、集中できる時間が長くなります。

（３）フットレスト
通常は足を床につけて勉強することがほとんどです。ただし、小学校低学年や障がいにより、「足を固定したまま＝姿勢を保持したまま」勉強することが苦手な子がいます。

しかし、動くことで脳が活発になる側面もあります。だったら、その効果を上手に活用しながら勉強に生かしてみましょう！

（４）パーテーション
視覚情報による刺激を減らすことで、集中力を高めることが期待できます。特に発達検査等で視覚優位と言われた方は試してみると良いかもしれません。

※特に男の子に有効な気がしています。秘密基地みたいな感覚がありますよね。「オフィスルーム（秘密基地・スペシャルルーム）を作ろうか！」みたいな感じで子どもの興味を引き立てることも有効かもしれません。

※DAISOの300円パーテーションも試しましたが、少し小さめで、ノートや教科書を置くと少し窮屈でした。でも、安価のなのでそちらから試しているのも良いかもしれません！

（５）耳栓（ヘッドホン・イヤーマフ）
聴覚情報による刺激を減らすことで集中力を高めることが期待できます。特に発達検査等で聴覚優位と言われた方は試してみると良いかもしれません。ただし、耳にクッションが当たる感覚が苦手な子もいます。その場合はノイズキャンセリング機能がついたヘッドホンやイヤーマフも有効です。

５.「活動量」と「活動時間」を調整する

活動の質を因数分解してみるとこの４つ「①活動時間×②活動量×③集中力×④見通し」に分けられます。

まず、①活動時間を確保していくのですが…

【目安】
●小学校１〜２年生：５分✖️５分✖️５分＝１５分
●小学校３〜４年生：７分✖️７分✖️７分＝２１分
●小学校５〜６年生：１０分✖️１０分✖️１０分＝３０分
●中学生：１５分✖️１５分✖️１５分＝４５分

（例）活動時間の目安

こんな感じで活動時間を作っていけると良いでしょう。

例えば、小学校１〜２年生だと・・・

【●小学校１〜２年生：５分✖️５分✖️５分＝１５分】
①点つなぎ2分✖️2分
②間違い探し５分
③１０マス計算5分

のように短く区切ることで集中力を保つという感覚を覚えさせます。また、教科や学習内容、活動内容をどんどん変化させながら、集中力が切れないようにしていきます。

そして、タイマーを使うことで時間を意識させ、「集中力＝時間」を可視化させていきましょう！

子どもたちの集中力を高めるキーワードは「忘我没頭」「集中力の可視化」です。

15分の活動時間をこなせるようになってくると少しずつ１単位あたりの活動のレベルを上げたり、時間を伸ばしたりしながらカスタマイズしていきましょう。

いずれは、自分で活動内容を選択し、活動時間を設定していけると良いですね！

＃７🌱集中力が保てない時に試してみたいコト５選🌱

１.「指導の方向性」と「支援の手立て」を確認する

２.「評価」を工夫する

３.「学習環境」を整える

４.「支援グッズ」を活用する

５.「活動量」と「活動時間」を調整する

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