AIC生ブログ|水と土のどっちがいい?―プロローグ―
マイファームは、「アグリイノベーション大学校(AIC)」という社会人向けの農業スクールを運営しています。
仕事を続けながら週末で農業を学びたい方へ向けて、農業の技術や経営に関しての知識・理解を深める、学びのプログラムを提供している学校です。
今回は、現役でそのAICに通っている、いのうえさんから寄稿いただいた記事をご紹介させていただきます。
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水と土のどっちがいい?―プロローグ―
〜ヴァーティカルファーミングとは〜
全世界の食糧難、日本の食料自給率を一気に高められる魔法…になるかもしれない「ヴァーティカルファーミング」、ヴァーティカルという部分が聴き慣れないこの単語。日本語にすると「垂直農法」という訳になります。
日本では、まだあまり馴染みがないように思いますが、アメリカでは10年ほど前から話題になっていて、ドバイや中国も関心を寄せているらしいです。
詳しく調べると
・土を使わずに水と養液を使って、温室で植物を育てる水耕栽培を利用した農法
広大な農地を有さずとも、都市部の高層ビルなど限られた敷地、且つ室内で農業を行い、拡大する都市人口の食を支えようという概念。
・土を使わないから農薬がいらない、益虫を効果的に使うことで殺虫剤もいらない
大型農機を使う必要もなし、温室だから天候に左右されることがなく、安定した収穫・供給が見込める。
・使う養液を有機溶剤にすると廃液を浄化して再利用することができる
水の使用量も通常の農法よりも格段に抑えることが可能。都市部で行えば流通のためのCO2も削減できる。
数値的には、
98%の水を再利用可能
効率は手入れが簡単な「レタス」の場合、
通常は種まきから収穫まで約70日かかるところを
種まきから収穫まで約40日で可能
だそうです。
台風や豪雨などの災害の多い日本にとって、まさに魔法のような農法ではないでしょうか。
しかし
ここまでだといいこと尽くめに聞こえるこの魔法ですが、
「土から野菜を作らないなんて、不自然」
「機械的すぎて、何か健康面で問題がありそう」
などと言った声も多数あり、事業として今一つ普及していないのが現状です。
そこで・・・
〜本ブログの目的〜
本ブログでは、新規就農・起業を目的として、アグリイノベーション大学校(A I C)で農業について学び始めた私が、実際にA I Cの実習を通して土耕栽培を、自宅で実験的に水耕栽培を行い、自分が肌で感じた違いや感想、育成状況や記録をご紹介していこうかと考えています。
規模が違うので体力面や効率に関してはそれぞれでばらつきが出ると思いますが、土耕栽培については育てる野菜を、水耕栽培に関しては、ごくごく小規模の物にはなりますが、栽培に使う資材や設備・育てる野菜や肥料、価格なんかもできる限り紹介していきます。
〜育てる野菜について〜
まず、土耕栽培で育てる野菜を紹介しようと考えていましたが、新型コロナウイルスの影響で実習が中止になっています。そこで、規模は小さくなりますが、自宅でポットかプランターを使って、水耕栽培に合わせて「レタス」を育てようと思います。
「レタス」である理由についてですが、基本的に野菜を栽培するのは初心者で土耕栽培と違い、教えてくれる講師の方もおられないので、一回目は冒頭でも少し触れましたが、お手入れが簡単でヴァーティカルファーミングに適しており、よく栽培されている「レタス」を二種類ほど、栽培していきたいと思います。
栽培する「レタス」の品種については、完全に自分の好みと興味ですので悪しからず。
まず、一種類目のレタスは、
「ちりめんちしゃ」という品種です。
サニーレタスの葉に赤みが出ない品種です。
βカロチンやビタミンC等の含有量が、通常のサニーレタスより少ない反面、苦味がなく、さっぱりとした味になります。
とても丈夫で育てやすいですが、暑さには少々弱いそうなので温度管理に少し気を遣いたいと思います。
種はホームセンターにて198円で購入しました。
二種類目のレタスは、
「ロメインレタス」という品種です。
葉が巻かず立った状態で成長する「立ちチシャ」の一種です。
“ロメイン” は “ローマの” という意味で、ローマ時代からよく食べられていたとかいないとか・・・。
外見は白菜とレタスを足して割ったようで、濃い緑色でシャキシャキとした食感が特徴。
水耕栽培にすごく適しているらしく、発芽率はなんと100%だそうです。
こちらの種もホームセンターにて298円で購入しました。
〜設備について〜
最後に、水耕栽培を行うための資材を紹介します。
容器と照明以外、100円均一で購入したもので作成、栽培のための棚と照明を置くための棚が交互に来る構造にしています。
同じ品種でも照明の種類により差が出るのかどうか、それはどういったものかを調べるために栽培をするための各棚部分は、さらに二つの木箱・容器を配置し、それぞれA・B・C・Dの英字を振り分けてあります。
現在の予定ではA・Cの容器で「ちりめんちしゃ」を、B・Dの容器で「ロメインレタス」を定植し、照明はA・Bに青色L E Dを、C・Dには白色L E Dを当てて栽培していきます。
価格は棚部分が1430円、木箱は各110円、写真では見え辛いですが、木箱の中にも栽培用の容器をそれぞれ入れていて各398円。照明が各2280円で種代を含めた合計が8518円程かかりました。
照明に思っているより価格を割いてしまったような気もしますが、初めて挑戦することなのでよしとしたいと思います。
次回は、種まき・定植について書く予定をしています。気が向いた時で構いませんので、見にきていただければ幸いです。それでは・・・
※以下、農業や野菜について、より理解を深めるためちょっとした雑学のコーナーです。
『レタス』
「レタス」は「チシャ」が丸まったものをそう呼ぶそうで、実は平安時代以前から栽培・食されている野菜らしいです。
昔の人は、「レタス」ではなく「チサ」という名前で呼んでいて、「チチクサ」を縮めてそう呼んだとか。
チシャ(レタス)の茎を切ると乳白色の液体が出ることから「チチクサ」という名前がつき、それがやがて「チチクサ」→「チサ」→「チシャ」に変化したと言われています。