AIC生ブログ|新米とーちゃん新規就農への道のりー今までにこんなことやってきた編②(by小室)
マイファームが運営する社会人向け週末農業学校「アグリイノベーション大学校(AIC)」の現役受講生が綴るブログシリーズ、今回は小室亮さんの第3回目をお届けします。
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異常気象!?
暑かった夏も終わり、朝晩はかなり涼しくなりました。もうストーブが活躍する時期に入りました。
私の住むみなかみ町では、9月上旬にゲリラ豪雨・雷が発生し、土砂崩れや床上浸水などの被害が起こりました。雨は夕方6時頃から降り始め、驚くほど近くで雷も鳴り始めました。
7時過ぎ。
雷の影響により火事の通報があり、私は消防団として出動していました。
その間も雨はやむ気配が全くなく、強い降りが続きました。
1時間もせずに鎮火の連絡が入り詰所に移動することになりましたが、詰所付近の国道に土砂が流入。
たまる水。
車は通行することができず、今度は消防団で土砂を除く作業を手伝うことになります。作業は深夜1時まで続きまして、その頃にはようやく雨も小降りになっていました。
周りを見渡すと明らかに数時間前とは景色が違う、これは大変な豪雨に見舞われたとその時感じました。
翌日、栽培しているエゴマと枝豆の状況を確認するため畑に向かいました。
正直、雨の影響で倒伏していることを覚悟しましたが、雨の前と大きく変わる様子もなく畑も崩れたりはしておらず無事でした。田んぼに一部土砂が入っていましたが、その程度の被害で済みました。
異常気象が日常になりつつある今日。
大雨等により数か月も大切に育てた野菜が一夜にして全滅してしまうことがあると思うとゾッとします。しかし、農業をやる以上、このリスクとは付き合っていかなければなりません。
今年は例年以上に天気に敏感になっています。
初めての米作り
地元みなかみ町に戻ってきてから最初に作った作物は米です。
いきなり米作りなんてハードル高そう!と思われるかもしれませんが、会社勤めをしながら一番作りやすい作物といえば米かもしれません。
なぜかと言えば、田植え、収穫、脱穀などの作業の日程をある程度幅をもって組みやすく、日々の管理も朝晩の水の管理くらいなものだからです。
無農薬・有機栽培などを行う場合はプラスで除草作業がでてきますので、そうなるとけっこう忙しくなります。
田んぼは伯父がやっていましたが、体調を崩しできなくなったことをきっかけに私がやることになりました。機械類は一通り揃っていて、右も左もわからないもののなんとかなるだろうと栽培については本で調べたり、集落の人に聞いたりしながら始めました。
米作りは一人じゃできない
まず、最初にやったのは水路清掃。
お米を作るにはそれはもう大量の水が必要です。その水を運んでくれる水路を清掃します。水については地域毎に管理の仕方や取水方法異なってくると思いますが、私が作っている田んぼは沢に流れてくる水を呼び込んで田んぼに入れています。
清掃等の管理もその沢の水を利用する集落の人達で行います。
この水路を流れる水は10名ほどの生産者が共有で利用することになります
まだ米作りを始めて間もない頃、こんなことがありました。
私の田んぼはこの水路の一番上流に位置します。
沢の水が多い時はいいのですが、前年の雪や雨が少なかったりすると沢の水量が少なくて田んぼに多く水を引けなくなります。
この田んぼの場所は土壌が砂地で、また、畔周りをくろぬりではなく畔シートを張って管理しています。しかし、水持ちがとても悪く、1日もすれば水が抜けてしまします。
時期にもよりますが、水は夕方に入れて夜のうちに田んぼに溜めておき、朝に水を止め日中に水温が上がるように管理しています。
やっているうちに水持ちが悪いことがわかってきたので、昼間も水を入れようと考えました。
昼間に水を入れると水温が上がらず米の生育に影響してきます。なので、少しでも水を温かい状態で田んぼに入れようと試み、栽培している田んぼの上段に位置する休耕田に一度入水してから栽培している田んぼに水を入れるようにしてみました。
こうすれば日中、水路から水をずっとかけ流しておいても水が減らず管理できると思ったからです。
この方法でうまくいけば水を水路から入れっぱなしにできるので、朝晩の水見も楽になるなと思っていました。
問題が発生
先に紹介しましたが、私の田んぼはこのエリアの水路の上流部にあります。
私が常に水を入れていると下流部の田んぼに水がいかなくなることが起こりました。
このことは、水路の入り口をふさがれていることによって気づきました。
まさに我田引水状態。
意図せずに他の方に迷惑を掛けていたのです。
この時に水は自分のものだけではない、この地で米を栽培する人達みんなのものだと理解し、以後は自分の田んぼには最低限必要なだけ水を入れ、下流部のことも考えるようになりました。
農業はその土地の環境やそこで栽培する人達と密接に関わりなりながらやっていくものだと感じたエピソードです。
書いた人:小室 亮(こむろ まこと)さん
群馬県みなかみ町在住。37才。
地元みなかみで新規就農を目指す新米とーちゃんです。