AIC生ブログ|トマトは夏が旬の食べ物じゃない!?(by内野)
マイファームが運営する社会人向け週末農業学校「アグリイノベーション大学校(AIC)」の現役受講生が綴るブログシリーズ、今回は内野寛之さんの第6回目です!
▼前回の記事はこちら▼
ーーー
アグリイノベーション大学校(以下、AIC)12期生の内野寛之です
連日、暑い暑いと言いながら過ごしていましたが、9月の中旬になると朝晩の気温は下がってきて過ごしやすくなってきます。
とは言え、日中はまだまだ暑いのでAIC大阪農場では引き続き空調服を着て作業をしております!
ここで恒例のAIC大阪農場の様子を見ていきましょう。
初秋を感じるAIC大阪農場の様子
まずは、稲の様子ですが田植え後2か月半の写真です。
かなり青々と茂っていますね。
穂が実ってきている様子も確認できます。
そして3か月後の写真です。穂の頭が垂れてきました。
順調に育ってきているので早めに害獣対策をします。
2年連続でイノシシに侵入されています。
今年こそはと電気柵を設置します。
ここからは米の粒を大きくするために水を切らしていけません。
まだまだ水の管理は続きます。
続・育苗チャレンジレポート
植え付けを初めて88日後。
背丈が高くなってきたので、風で倒れないように支柱を立てます。
116日後。背丈が1mを超えました!
137日後。1.4mほどに成長!茎も立派になりました。
152日後。茎が腕ぐらいの太さになり、高さは170㎝を超え、とうとう僕の身長を抜きました。
花から実になるまでの過程も収めることができました。
あんなに小さい種から170cmを超えるまで成長するとはビックリですね。
ここまで成長すると、9月末~10月初めまでは繰り返し収穫できます。成長の記録は以上です。
コロナ自粛期間から夏にかけての育苗チャレンジレポートはこれにて終了となります。
オクラの育苗チャレンジから学んだこと
① 苗の大きさがある程度大きくなるまで(40~50cm位)はアブラムシの除去や対策をしっかりすること
② 収穫時期を逃さないこと
③ 育てやすく美味しい野菜だが売り単価が安いので収益に繋がりにくい
この3点を学びました。
順番に説明しますと、
① 苗が小さいうちにアブラムシが付くとモザイク病(葉に淡い黄色のモザイク模様が出て枯れてしまう病気)にかかり枯れてしまう恐れがあるので、黄色の粘着テープを周りに立てる、物理的に手でつぶす、片栗粉を薄めた液体をかけて始末するなどの対策が必要です。
② これは前回ブログにも書きましたが12cm位を目安に収穫すると美味しくいただけます。これを逃すと実が硬くなり食べられなくなり処分するしかありません。
③ 僕もオクラは好きで、よく食べます。ただ、オクラをメインで栽培し出荷を考えるとなると、オクラの売り単価が安く、労力にみあうだけの収益は見込めないので、僕の中では売り上げの補助的な野菜と言う位置付けです。
農業で食べていくには、育てることはもちろん、売る単価や作付け品目・収穫目安も考えておかないといけません。今後は作付け計画をしっかり勉強していきたいと思っています。
続・AICチャレンジ区画(収穫・秋冬作に向けて)
前回ブログで紹介したトマト・ナス以外にも落花生・サツマイモ・インゲンマメにもチャレンジしました。
サツマイモは順調。これは収穫に期待が持てます!
植え付け直後
1か月後
2か月後
3か月後
しかし、落花生は植え付け直後、鳥に種を食べられ、インゲンマメは管理がきちんとできておらず枯らしてしまいました。
反省点として、豆類は植え付け後、不織布で覆い防鳥対策をする。インゲンマメは水やりや肥料などの管理をするということです。
両方基本的なことなので反省。
以前ご紹介したトマトとナス生育具合の続きです。
8月中は写真のように収穫できました。
このまま秋までトマトとナスを収穫するのも一つの方法です。
しかし、徐々に収穫量が減ってくるので思い切って株を撤去し、秋作の植え付けをします。植え付け前に鶏糞・有機石灰を撒き、畑に混ぜ込んでから畝を作り植え付けします。
鶏糞と石灰を混ぜた目的は窒素・リン酸・カリウムの補充とPHの調整の目的で混ぜました。混ぜ込んでからすぐ種や苗を植えると、発酵したガスで種や苗が死んでしまう恐れがあるので、1~2週間後に植え付けを行います。
秋冬作のチャレンジは、
ジャガイモ
キャベツ
白菜
大根
そして引き続きサツマイモです。
続きはまた報告します!
以上、AIC大阪農場の様子でした。
では、今回のブログ、トマトについて解説していきます!
『トマトの悲しい歴史。見た目じゃないんです!』
トマトはナス科ナス属の多年生植物です。第3回のブログでご紹介したジャガイモと同じ仲間になります。
トマトの原産地はアンデス山脈の高原地帯で、16世紀にジャガイモと共にヨーロッパへ伝えられ、ジャガイモと同じく観賞用として栽培されていました。
ジャガイモは、ヨーロッパの気候が合わなかったので育てにくく、じゃがいもは普及しなかったのではないかとブログで考察しましたが、トマトが普及しなかったのには別の理由がありました。
その理由は、毒があるのではないかと考えられていたからです。
ヨーロッパにはナス科のベラドンナと言う植物があり、この植物は実・葉・根のすべてに毒が含まれています。その毒は、毒矢などに使用されており、葉は触るだけでかぶれるほど強い毒を持っています。
そのベラドンナの実の形がトマトそっくりだったので、トマトには毒があるのではないかと考えられていました。残念ながらベラドンナの画像はありませんが、ミニトマトに似た形の黒い実がなります。
トマトは今でこそポピュラーな野菜ですが、その当時、鮮やかな赤色はとても危険な植物に見えていたことでしょう。
では、なぜ危険だと思われていた実が食べられるようになったのか。
それは、ある一人の飢餓に苦しむ南イタリアの青年が、空腹に耐えかねてトマトの実を食べたところ、、
「死ねへんし、めっちゃうまいやん!ブォーノ!」
と(言ったかはわかりませんが)とても実がおいしく無毒であることが分かったそうです。
そこから、イタリアを中心にフランス・オランダ・ドイツなどへ。
トマトが日本に伝わったのは江戸時代ですが、鮮やかな実の色から毒があるのではないかと考えられていたため、ヨーロッパと同様、観賞用として栽培されていました。広く一般の人が食べるようになったのは、大正から昭和にかけて洋食化が進みケチャップなどでトマトの味を知るようになってから、野菜としてのトマトが広まっていきました。
トマトって見た目でかなり食わず嫌いをされていた過去があったのですね。
ここで日本のトマトの生産地と生産量を見ていきましょう。
生産量1位は熊本県 110.730t(15.2%)、続いて北海道56.023t(7.7%)、そして茨城県47.484t(6.5%)となっています。
(2018年農林水産省作物統計より抜粋)
熊本県で生産量が多いのは、季節により山間地や平地でハウスを使い、夏の暑い時期以外は収穫可能なので生産量が多いのです。
ん?でもトマトって夏の食べ物ですよね?
実はトマトの生育に最適な温度は20~30℃といわれています。やはり元はアンデス山脈原産なので暑さに弱いのです。だから真夏は北海道産のトマトの出番ということになります。
僕はAICの実習日に加えて、月に数回、トマト農家で研修させていただいています。そこでのお話では、夏場の8月中旬~下旬は生産量が落ちるとおっしゃっていました。僕もトマトは夏の食べ物だと思っていたので、真夏に収穫量が落ちるということがわかり、とても勉強になりました。
『美味しいとトマトの見分け方はこれで決まり!』
ここでおいしいトマトの見分け方を紹介しましょう
見分け方は有名かもしれませんが、ご存じの方は復習のつもりで読んでください。
①ヘタや額が青々としてみずみずしいもの
② 皮の色・艶・張りが良いもの
③ お尻の部分から星形の白い線が出ているもの
④ ずっしりとして重いもの
以上の4点に気を付けて選んでいただければと思います。
ここで保存方法もご紹介。
完熟トマトの場合はビニール袋に入れて野菜室で保存。
未熟トマト(まだ青いトマト)の場合は、常温で保存し完熟させてからビニール袋に入れて野菜室で保存してください。
~番外編~
トマトソースを手作りで作る時は、冷凍庫でトマトを凍らせてから使うと、皮もめくりやすく、実もつぶれやすくなるのでおすすめです。
以上。今回はトマトについて解説しました。
AIC大阪農場では秋冬作に向けてバタバタと忙しくなっています。
今後も引き続き、秋作の準備、稲の様子、チャレンジ区画などご報告していきます!
ではまた。
書いた人:内野 寛之(ウチノ ヒロユキ)
大阪府在住、働き盛りの38歳、夫婦共働きで2児の子育て奮闘中です。
性格は温厚・マジメ・マイペース(自称)。現在はサラリーマン(営業)として働いていますが、以前は鍼灸院・整骨院で勤務したこともあり、国家資格も取得している変わった経歴の持ち主です。