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ジェイソン・シンジケートとは?

こんにちは。myコンサルティング代表の坂元康宏です。

先日エンジェル投資家についての記事をアップしたところ、「具体的にどういう企業に投資をしているんですか?」という質問をいくつかいただきました。

今回の記事では、私がジェイソン・カラカニス氏が主宰する投資クラブ『ジェイソン・シンジケート』から、どのように投資案件の情報を得て、投資をしているのかについて記載したいと思います。
また、実際に投資している企業の紹介と、投資した理由、現在の状況についてもお伝えします。


『ジェイソン・シンジケート』への参加条件(投資家側)

私たちは、2019年に「ジェイソン・シンジケート」に参加することを許可されました。
それまでの経緯は前回の記事にも記載していますが、私のスタッフがジェイソン氏にアプローチしたことがきっかけとなりました。

今回は名前を出すことができませんが、ジェイソン・シンジケートの担当者と直接やりとりをしているスタッフにインタビューをしながら、今回の記事を執筆いたしました。

まず『ジェイソン・シンジケート』には、コンセプトとして「スタートアップへの投資を本気でやりたい人に、新しい案件を提供する」ということがあります。

また、投資家として参加するための条件があります。

・1ミリオンドル以上の余剰資金を保有していること

分かりやすく1ドル=150円で換算すると、日本円で1億5,000万円以上となります。
これが一つの基準となります。

そして上記以外にも、

・ただお金を出すのではなく、投資先のビジネスを伸ばせる人である

ということも重視しています。
投資先にノウハウや助言・PRなど、あらゆる面で何かしらのサポートができることを推奨しています。

ジェイソン・シンジケートの投資案件になる条件(スタートアップ側)

スタートアップが、ジェンソン・シンジケートで紹介される投資案件となる場合にも、当然条件があります。

・ジェイソン氏の推薦を受けること
・月間の売上が5万ドル以上であること

2つ目の「月間の売上が5万ドル以上であること」については、その限りではないこともあるようです。
それは、スタートアップと言っても、創業から数年経過している会社もあれば、数カ月しか経っていない会社もあるためです。
もちろん、アイディアの期待値が高いなどのポジティブ要因があることが前提です。

また、ジェイソン氏が推薦する案件については、世の中の状況やトレンドによって変化がありますが、直近12ヵ月ではAI関連企業が多くなっています。

『ジェイソン・シンジケート』の案件紹介プロセス

投資案件は、メールで送られてきます。
メールの内容としては、企業名や企業情報、現在の取組みや将来性など、投資を検討するうえで基本的な情報があります。数字も含めて細かく開示されています。

また、企業側からのプレゼンテーションの開催日が記載されており、オンラインでプレゼンテーションを視聴したり、質疑応答の機会があります。
メール内には、企業の連絡先やHPの情報があるため、プレゼンテーション以外のタイミングで質問をすることもできます。

プレゼンテーションは、1時間という設定があり、企業側の代表者によるプレゼンが30分、質疑応答が30分となります。

期待値の高い企業ほど盛り上がり、質疑応答の時間が足りなくなります。
投資家からの質問が多いほど、企業への期待値が高いといえます。

投資家からの期待値が上がるポイントは様々あります。

・プレゼンテーションが魅力的である
・アイディアが斬新である
・すでに実績がある
・独自の技術がある

などがよくあるパターンです。
もちろんこれらはプレゼンテーションでの話で、その企業が最終的に成功するかは別の話です。

プレゼンテーションでは魅力的でも、その後競合が増えたことで成長が鈍化することもあります。
プレゼンテーションが地味でも、手堅いビジネスアイディアで数字を伸ばし続ける会社もあります。

投資先のご紹介

ここでは、実際に私たちがジェイソン・シンジケートから案件紹介を受け、投資を実施した企業を紹介します。

【Anyplace】

日本人起業家の内藤聡さんがアメリカで創業した「リモートワーク向け」の賃貸事業です。賃貸物件をリモートワークに特化した設備にして、テック系の宿泊先として提供しています。ホテルとアパートの中間的なイメージです。

プレゼンテーションでは、正直地味な印象で、数字を淡々とお話されていました。昨今、各企業とも魅力的なプレゼンを目指す傾向がある中で、ある意味印象に残りました。ただ、数字やロジックに納得感があったため、投資を本格的に検討しました。

投資を決断するために、彼の会社にはいくつか質問メールをしたのですが、すぐにレスポンスが来ませんでした。
「出資してもらいたいはずなのにナゼ?」

そこで、ジェイソンシンジケートの本部に彼がどんな人なのか聞いてみました。するとスタッフの方は「彼はとても一生懸命頑張っている人だよ」とお話されました。ですので、たまたま忙しいタイミングだったのかも知れません。

「Anyplace」のその後をお伝えすると、右肩上がりに、現在も数字を伸ばしています。
アメリカ人にありがちな派手なエンタメ性や社交性、投資家へのスタンスも前のめりなところは感じられませんでしたが、ビジネスとして数字を伸ばす能力のある創業者ということが分かりました。

手堅くビジネスが進んでいる事例となりました。
出資当初は、サンフランシスコを中心とした3拠点でしたが、現在は65ヵ国400都市までサービスを展開しています。

【Solo Savy】

スニーカーマニアの創業者が立ち上げた「スニーカーマニアの交流サイト」をつくっている企業です。
印象的だったのは、投資家へのプレゼンで「自分たちのスニーカー愛がいかに大きいか」を終始訴えていたことです。

「スニーカーっていいよね?」
「みんな好きだから絶対に廃れない」

そう主張されていて、当時は「本当にそうかな?」と私は思っていました。
結果として、この事業も大きく躍進することになります。

大手スポーツメーカとコラボレーションしたスニーカーを限定発売すると、大人気となりました。
現在も右肩上がりに売上を伸ばしています。

先程の「Anyplace」とは対照的な案件でした。

【Fluent Forever】

自身もマルチリンガルであるガブリエル氏が創業した「言語学習アプリ」の会社です。
ガブリエル氏自身のメソッドによる、バイリンガルやトリリンガルになるための言語学習をアプリだけで行えるサービスです。
創業当初は「英語」のみの対応でしたが、現在では5ヵ国語以上に対応しています。

コロナの影響もあり、2020年頃から売上が増えてきましたが、現在では停滞しています。理由として、似たようなサービスの競合が増えすぎていることにあります。

独自性のアピールやマーケティング力の強化が今後のカギとなりそうです。

【Density】

オフィスや商業施設においての空間測定に特化した会社です。使用されていない無駄なスペースをレーザーで測定します。すると、どの部屋にどれだけの人がいるのかを把握して、密集度を数値化することができ、それによってデスクや会議室の利用率を正確に測定することが可能です。この情報を使って、施設の効率化を実現します。

とても魅力的なアイディアでしたし、プレゼンの際の資料で3D表現が多彩に使用され、とても分かりやすくワクワクしたことを覚えています。

Amazonやコカ・コーラなどは、賃料だけで年間40~50億ドル支払っているので、そのインパクトは大きく、すぐに契約を結んだということです。
それ以外にも、ブルームバーグや会計監査のデロイト、JPモルガンなどとも契約が進んでいます。
2021年の評価額は500ミリオンドルから1ビリオンドルと言われており、今最も注目している投資先です。ちなみに、創業10年以内で企業価値が10億ドル以上の非上場企業は「ユニコーン」と呼ばれます。

【Terra Kaffe】

コーヒーマシンを製造する会社です。
創業者によるプレゼンも「コーヒー愛」が伝わる内容になっていました。
「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったもので、「好き」という情熱がパワーになり、結果に繋がっていくのだと改めて思いました。

ただ、プレゼン段階では、
「私たちのコーヒーマシンは家電量販店に卸しません。MoMA(ニューヨーク近代美術館)のようなオシャレでアートな空間に提供します」
という発言もあり、マーケティングに偏りを覚えたこともあります。

しかし、現在も売り上げは伸び続けており、コーヒーマシンの販売だけでなく、メンテナンスやオプション、アクセサリーなどの部分でも高い粗利率を実現しています。

創業者には明確なビジョン・戦略があり、「まずはフルレンジで成功し、その後コンパクトサイズに広げていく」ことを着実に実行されています。

今回の記事は以上です。
まだまだ紹介したい企業がありますので、次回の記事でまとめたいと思います。

株式会社myコンサルティング
代表取締役 坂元 康宏

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