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#624 教室空間に関する一考察
2024.8.11.
今日は、凝り固まっている自分の頭を揉みほぐすべく(マッサージなどという意味でなく)、本を読んで引っ掛かったことから少し考えてみようと思う。
ちなみに、そのきっかけとなった本は、先日読書記録を書いた現代音楽作曲家・藤倉大さんの「どうしてこうなっちゃったか」である。
この本の中で、とあるコンクールのためにオーケストラ用の曲を作る場面が出てくる。自分の作った曲を実際にオケが演奏してくれるなんていうことは稀だそうだ。(確かに、コンクールで上位に残らなければ、または、賞を受賞しなければ、素人の曲をオケがやってくれるなんてないのだろう。)なので、「どうせ演奏されないんだし」というマインドで、実験的な曲を作る…というくだりがあった。
で、その曲を作るまでの藤倉さんの考え方が面白くて、音楽はいつも私たちの身の回りにあふれているのに、コンサートとなるとみんなが同じ方向(前)を向いて座り、正面から聞かされるしかなくなるのはなぜだというところからスタートする。
で、もっといろんな方向からアプローチしてもいいのではないかと考えたのだ。客席の一番後ろや前方のサイドの席に楽器を置いたら、観客は演奏家たちに取り囲まれる形になる。
どの楽器をどこに置くのか。同じ場所の楽器が一緒に演奏するのか、違う場所から同じ旋律を演奏するのか。テレビや映画などのサラウンド式?のようなものだ。
持っていくのが大変な楽器を動かしてみたっていい。だって、どうせ演奏されないんだから♪(ちなみにこの曲は結局受賞し、実際に演奏されたそうだ。)
ここを読みながら、私のワーカーホリックが発動。
そうだよなあ…学びは子供たち(いや、全ての人)の周りにあふれているのに、なぜ授業となるとみんなが同じ方向を向いて、前方から与えられる、みたいな形になりがちなのだろう。
★世界の教室机配置
ここで思い出したのは、私の記事にときどき登場する電通報のサイト。
この記事の筆者は、5カ国の小学校に通った経験がある。もちろんその国の中でも学校によって、先生によって座り方なんて違うのだろうが、その違いを実際に経験したことによって、座り方によるメリットデメリットが身をもって感じられているのが読んでいて面白い。
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日本は…対教師型、且つ、多数決で「みんなが納得する」に重きが置かれていると感じたそうだ。
★どこに教師机を置くか論争
日本の教員間でも、教室の中のどこに教員机を置くのか、授業者がどこに立つのか、子供の席はどのように配置するのかは話題になる。
教員机は前方の端が一番よく見る場所だとして…一番後ろの端型と、最近、横型も見かけた。(子供たちの真横にあったのよ)
授業者も、前方から話すだけでなく、机間指導でぐるぐる回る、話している間も教室内を動き回る、授業中でも後ろ側にいて見守っている…様々なスタイルがある。
子供の席は、1人ずつ独立型もあれば、2人くっつける型。左右の号車は斜め向きにしてあって、みんなが先生と正対するようなコンサートホール型も。コの字にしている先生もいる。少人数で話し合うときは班の形、テストのときはテスト体形。
その活動がやりやすいようにいろんな配置にされている。
私は、そんなにいろいろ試したことはないのだが、教員机は前方以外にはしたことがない。
あと、この電通報の記事を読んだときに6年生の担任をしていたのだが、子供たちにも紹介して「今日はフランス型にしてみようか」なとど試してみたりもした。楽しかった。
★音楽室の「前」を変えたYY先生
教員2年目くらいのときに驚いた記憶がある。それは、音楽室の「前」が変わったこと。
その時の音楽室は、前方に上下に入れ替えられるタイプの五線譜付きの黒板があって、前方の端にピアノが置いてあった。黒板側から見ると、教室は縦長で、後ろの方の子供は先生と距離ができてしまっていた。
のだが、ある時音楽室に行ったら(夏休み明けとかだったかな?)、教室の向きが変わっていた。前方の黒板は使わず、いつも横だった場所にホワイトボードが置かれ、そちらが「前」になっていた。もともと音楽室に机はなく椅子だけだったので、椅子の向きを変えれば問題ない。
つまり、縦長だった教室は横長になっていたのだ。
それを見た私はめちゃくちゃびっくりした。教室って、使う向きを変えてもいいのか!と。
★班編成を変えたいと言ったK先生
現任校の理科担当の後任であるK先生は、担任経験も理科専科経験もある、とても頼もしい方。というか、逆にこれまで何やってきたんだーと怒られそうで冷や汗ものだ。
そんなK先生に、ラスト1週間、引き継ぎがてら授業の様子を見ていただいた。
元気が良すぎてなかなか話をきちんと聞いてくれないとあるクラスの授業。相変わらず私がヒイヒイ言いながらもなんとか授業を終わらせ、こんな状態で見せて&引き継ぐなんて申し訳ないなと思っていたところ、K先生は言った。
「班を3人組編成にしてみようかと思って。」
私、この4か月間、前年度の形式を引き継いで4人組で活動をしていた。…のだが、1時間授業を見ていて、K先生は、もっと個人に役割があった方がいいと判断したのだろう。3人編成にすると班の数は増えるので準備物は増えるかもしれないが、元気良すぎのクラスは隙を作らない方が集中しやすい。なるほどー!と開眼した。頑張れ私。
★柔らかい頭で教室の空間をデザインしていきたい
うーん、私は元来「いつもどうしていたか」を聞いて、それに前ならえしてしまう超保守派人間だったなあと気付いてしまって、自分にがっかりするなあ。
いや、そんなこと言っている場合じゃなくて、私たちはもっと柔軟に、座席や立ち位置などの空間を工夫していったらいいんだなあという気付き。
こういうときはこう!みたいに細かく考えるのもすごいんだけど、なんか気分を変えたいから横向きにしてみようとか、アイデアが浮かぶように今日は外に出てみようとか、机椅子取っ払って床に座ってみようとか、そんな思いつきもいいんじゃないか。
ちなみに理科室って結構使い方が難しいと思っている。
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こんな感じに実験しやすいように配置されていることが多いと思うのだが、黒板は遠い。何か書くときには黒板に対して横向き。そして教室は縦長。前に立って指示をするには伝わりにくい。なので、授業者がしゃべるときはひざとへそを授業者に向けてねと言うのだが、その途中でノートに書かせたいことがあったら向きを変えなければ…。
可動式にできないもんかね!
実験のときはくっつけて頑丈に、自分で考えて書くときは集中できるように、みんなで話し合うときはそれぞれの顔が見やすいように。
なーんて、作曲家の自伝から、教室環境に考えが吹っ飛んだ話でしたー。
とりあえずこれが生かせそうな機会は、予定にない。
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