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#264 授業実践記録/自画像(6年図工)・後半

2023.1.29.
昨日の続き。すみません、この記事、字ばっかりでダラダラと4500文字ありますのでご承知おきください。


そう、「専門知識ゼロの新米図工専科が6年生の自画像を完成させるために悪戦苦闘している記録」である。


初回の授業/1組

この卒業直前に専科担当が変わり、図工室のレイアウトも変わり(冬休み中に感染症対策バージョンから通常バージョンへの模様替えと備品整理を職員の皆さんがしてくださった)、少しの緊張感をもって図工室に子供たちが入ってきた。元担任でもあるので、お互い少し気恥ずかしい。

この学級、驚くほど「話を聞く」ができる。私が前に立つだけで注目できる子もいるし、「話をします」と声をかけると一発で注目が集まる。担任の積み重ねてきたものを思って感動。君たち、3年前は私に「人間は、話を聞きます!」って言われてたのよ?農家見学で見学先の方に叱られてたのよ?


①あいさつ・出欠確認→②自己紹介さらっと→③図工の授業では…
を終え、とうとう④なぜ自画像を描くのかである。


自画像本番について伝えると、大きく「えー」とか「嫌だー」などの反応はなかったように思う。

⑤こんな自画像は嫌だ!も、笑って見てくれていた。これでマスクありでいいかとは言わせないぞ…!⑥先生も描いてみたよ、も楽しそうに見てくれた。


そしてついに

⑦みんなも描いてみよう!

・見本は写真の出力、手鏡、自分のタブレットから抵抗のないものを選んでもらう。
・16分割戦法(だったら写真がいいんだけど…)
・写真の出力は教員用タブレットでしかできないので、3台準備。
私の作戦

一番心配したのは、写真の出力がうまくできるか。3台の職員用タブレットから職員室のプリンターにデータを飛ばす。事前にテストはしてみたが、30人分はどうだろうか。もしもインクがもたなかったら?

がしかし、ここで誤算が起きた。

みんな写真出力を選ばない!!!


職員用ではなく自分のタブレットで撮影しようとする子がほとんどだった。自撮りするか友達に撮ってもらうか。ここで教室内がめちゃくちゃ騒がしくなる。「変な顔になったー!」とか、「なんだよこの写真〜!」などと言い合い騒ぐ子供たち。

あ、このテーブルは誰も使いませーんと返却される職員用タブレット。出力したのは数名。後は自分のタブレットか、それを諦めて手鏡だった。

16分割をうまく利用して大きく描くには、自撮りの写真も画面内に適切な大きさで撮られていないと難しい。そしてタブレット内には分割の線がない。(ルーラーで線を書き込もうとしている猛者がいた。幅がずれていたが…。)もちろん手鏡にも線はない。



心配性の男の子Kくんがいた。3分おきくらいに私のところに来ては「僕には描けないよ」「下手くそなんだ」「描かなくてもいい?」と弱音を吐く。

彼は強制的に写真出力にした。これがオススメだと。出した写真を折って、分割の線をつける。じゃあまず、目から描いてみよう。どのマスのどのあたりから始まってる?どっちに向かって線が伸びている?

彼は非常によく写真を見ていて、線の運びが上手だなと感心。その調子で次は鼻をやってみてね。と離れると、また3分後には私のところに来るのである。でも、描けそうな気がする。



問題はそれ以外…。

黒板には、何センチのところに線を引くと良いかを書いておいた。みんな、画用紙に線を引くのはできている。絶対にできる安心の作業だもんね。

肝心の顔が進んでいない。

今日は初回だから最初の話が長かったし、撮影タイムでがやがやした時間も長かったし、集中して描く時間がきちんと取れなかった…にしても、描けていない!

初回で気を付けたいポイントは
①描こうという気持ちをもってもらうこと
②描き方の指導

かなと考えた。
当初の考え

つまり、①は一応クリアできたが、②がダメだったということだ。

ちーーーーーん。


長い定規借りる態度も返す態度もお手本のよう。
話を聞く姿勢も申し分ない。
最後の掃除まできちんとやっていく。

だけど自画像は進んでいない。

ごめんよ〜〜〜。



初回の授業/2組

中休みを挟んで次は2組だ。ここで私は方針を変更した。
「強制的に私が全員の顔写真を撮ろう!」

自分の抵抗のない手段を選ばせていたら写真が選ばれない。こんな選択肢作ったからいけなかったんだ。もう最初から当たり前に「順番に先生が撮っていくよー」と伝え、私が回っていく。多少時間はかかるが、その間に画用紙の分割線を引いていてもらえばそこまで持て余す時間もできないだろう。

もし写真を嫌がったら、「使わなくてもいいから一応お守りがてら」と言って撮るだけ撮ってしまおう。

①〜⑥までの流れは、こちらも楽しそうに聞いてくれていた。2組は1組に比べると話を聞く力や切り替えが苦手。言ってしまえば、うるさい。
自画像を描くよという件では、こちらの方が若干不満気なリアクションが大きかったように思う。でも、描いてはくれそう。


説明後はどんどん写真を撮っていく。撮影タイムは1組より長くなったし、写真を渡すとワーキャー言っていたが、それを見ながら描き始めている子も結構いて、一安心。

結果…こちらもあまり描けていないのだが、1組よりは進んでいる子が多い。



対策を考える

放課後。2学級分の作品と振り返りカードを見ながら考える。

◆1組も全員写真を撮るべきだろう。次の授業時間はもう使いたくない…どこかで撮れないか担任と交渉すべし。

◆頭だけとか服だけ、というように、顔のパーツや輪郭から逃げている子が多い。描き方を伝えないと。

◆目がうまくいかなかった、とか、輪郭が変になった、などと課題を書いている子もいた。

なかに、振り返りに「何もできなかった」と書いている子がいた。驚いて画用紙を見ると、彼のものには分割線すら引かれていなかった。気付けなかった〜〜〜!


2組の中に、写真を折って頭の部分(一番上の段)だけ見えるようにして描いている子がいた。写真を直視するのは嫌だそうだ。そうか、そういう手があったか。写真を広げずに使う。これで、私が実際にやっているところを見せたらいいのだ。

そして、うまくいかないと悩む子が多かったので、できる限り振り返りにコメントを書き込んだ。松岡修造ばりのテンションで励ましを入れる。

「輪郭の線をよく見て描けています!次は顔のパーツだね!」

「目の形、特徴を捉えていますね。画用紙が大きいので、もう一回り大きく描いたらバランスが良さそうです。」

いいぞ、大丈夫。行ける!全然進んでいない子にも、次は頑張ろう、サポートするよとメッセージを。



2回目の授業/2組

都合により翌週は2組が先に。

「みんなの振り返りを読んでいて、ここが課題だな、難しいなという声が一番多かったのはどこだと思う?」

「輪郭」「顔のパーツ」などなどの声が上がる。そうそう。


そこでめあて的なものを黒板に書く。
「顔のパーツはどうやって描いたらいいだろう。」
おお、ちょっと問いっぽい!

前回見せた16分割の画用紙と、もう自分の顔を出すのは嫌だなと思い、カタログに載っていた女の子の画像を例として使わせていただいた。

どちらもこんな感じで16分割したよねー。

でも、自分の写真を広げながらやるのが恥ずかしいって言ってる人もいたよね。(うなずく子多数)
こんな工夫をしている人を見かけたよ!

こんな感じで折ったら、全部が見えないからあまり恥ずかしくないよね。

これはどこのパーツだ?3段目の左から2列目だね。鼻はこの辺りからどっちに向かってる?口は、枠のこの辺りからどっち向きに続いている?

などと言いながら、黒板にその枠の絵だけを描いてみる。

これは右目

目は、つり目とか垂れ目とか言うけれど、人によって方向が違うよね。まぶたも一重だったり二重だったり奥二重だったり。自分はどれだろう。スタートの場所と、そこからどこに向かうか、どんな形かに注目してこんな感じで描いていくといいよ。

ここまで話してスタートした。

前回よりも各自が絵に向き合っている感じがする。受験前なのでお休みも多い。人数にもよるだろう。

何かと文句を言うAさんも、恥ずかしがって写真をぐしゃぐしゃにしたSさんも、全然写真よく見ていなくてパーツが適当なHさんも、前回「全くできなかった」と言っていたYさんも、それぞれのペースで少しずつ進めていた。

止まっている子のところに時々声をかける。
「目が描けない!」などと言っているが、一緒にやると大抵できる。明らかに位置が違うときだけもう少し上じゃない?などとアドバイスする。
いいじゃん!できてるじゃん!左目もその調子で!と言って離れる。


ちょっかいかけたりかけられたり注意されたりで多少いざこざもあったが、初回よりはよかったかもしれない。



2回目の授業/1組

さて、問題の1組である。前日の授業時間に撮影にお邪魔されてもらい、全員分の顔写真を撮らせてもらって、出力しておいた。

顔のパーツの描き方、16分割の生かし方を2組と同様に説明。「そうやればいいのかー」と、誰かが呟いた。一応…前回も言ったけどね。私がその様子を直接見せることが必要だったんだなと再認識した。

2組の作品の様子を見せる。
大きく描けているもの、特徴を捉えているもの、着色まで進んでいるもの(2〜3割の子が絵の具を使い始めていた。)

イメージをもってもらうため。そして、下書きを終えて着色に進んでいる人がいるということを認識してもらうために見せた。みんな興味津々。特に、Aさんのものを見せたときには「これはAだわ!」とみんな言っていた。自分らしい作品が描けているってことだね!素晴らしい!


みんな写真を折って、一部だけ見えるようにして、少しずつ進め始めた。

進まない子はやっぱりなかなか進んでいなくて、声をかけて回る。特に、ネックになりやすい目を一緒にやる。
いつも宿題をやってきていない、ちょっとボーッとしたMさん、目を描こうと言って隣で見ていた。上手。なんだ、みんなできるじゃん。
しっかり者に見えるTさん、意外にずっと手が動かない。頭のラインからやってみる。いい感じ。輪郭の線、ところどころ枠の認識がずれているのでアドバイスする。ちょっとずつできてきたぞ〜!あとは自分で進められそうだ。

ほとんど色塗りまでいっていないが、1組も少しずつ進み始めた。

作品をざっと。振り返りはまだ見られていない。



対策を考える②

ここまでの流れでようやく気付いた。
多分私は、手を離すのが早すぎる。
説明して、自分がやっているところを見せて、やることのイメージを掴ませてから手を離さないと…自走できない!

自画像の取っ掛かりで言えば、
みんなの写真は私が良いバランスで撮って出力して、16分割して実際に描いているところや試行錯誤しているところを見せるようにして、「じゃあまずみんなで目からやってみよう」「次に鼻行くぞ」くらいの引っ張りが必要だったと思う。
それができていたら2時間分は短縮できたな。

まあ、仕方ない。

今後は、適当に早く終わる子たちにどうするかと、早く終わった子に何をさせるかについても考えていく必要あり。




4400文字。字ばっかり。
お付き合いいただきありがとうございました。

まだまだ戦いは続きます。



#教員エッセイ
#自画像
#新米図工専科

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