#357 映画「怪物」〜全然何も見えていない
2023.6.4.
前日から降り続けていた激しい雨は、昼前に止んだ。せっかくの土曜日。そうだ、映画を観に行こう。
ということで、話題の「怪物」、公開2日目に鑑賞。
結果、どうなったかと言うと…
涙と鼻水がすごいので、顔を隠しながらトイレまで行ってトイレットペーパーで鼻をかもうと試みたのだけど、トイレの個室に入ってとりあえず座ったらまたこみ上げてくるものがあり、もう一度声を殺して号泣してしまうほどのことになった。
今回はあまりネタバレをしない程度に。予告では「怪物だーれだ」という声が低めのトーンで重ねられているので、ホラーか?という印象を与えるのだが、ホラーではない。あれは「私は誰でしょうゲーム」の怪物版をやっている声なだけで、実際のそのシーンはとても可愛らしいシーンだ。
多くの人が言っている通り、この映画は3つの視点で描かれている。①シングルマザー麦野早織(安藤サクラ)、②麦野早織の息子、湊の担任の保利先生(永山瑛太)、③麦野早織の息子、湊(黒川想矢)である。
もうこの手法にまんまとやられているのだが…それぞれの目線から見た話は、全然違う印象を与える。事実は一つだが、真実は人の数だけある…という言葉通りである。
雑感①/学校の対応が見ていて苦しい
何かトラブルが起きたときの学校の対応については、もう見ていて「うわあ」という感じ…。モンスターペアレンツ、いじめ、体罰、謝罪の練習、ありえないと思うところあり、分かってしまうところあり。両方含めて苦しい。
雑感②/子役の演技が素晴らしい
物語の主軸ともなる男の子2人。黒川想矢くんと柊木陽太くんというらしいのだが、この2人の演技が素晴らしい!見ていてもちろん違和感などないし、表情や台詞の言い回し…もうこれ、大人とか子供とかじゃないんだろうなあ。これは2人が持ち合わせている能力なのだろうか、それとも演技の指導によるものなのだろうか。…すごい!(語彙力)
雑感③/想像力の大切さ
やっぱり私はどこか教員目線で考えてしまうところがあるのだが…
子供一人一人のことなんて、全然見えていないんだなと思う。
前述のように、事実は一つだが、それぞれの真実は異なる。この話なんて、たかだか2人分の子供のことなのに、何をしているのか何を考えているのか、大人には全然気付けない。クラスには30人も子供がいて、それぞれが生きている時間があって、同じ言葉にも受け取る気持ちが違って、そんなの担任には全然分からないのだ。分かるなんて到底無理な話だ。
うーん…だから…
結局、見えているところで指導するしかない。
んだけど、
私には見えていないところがあるんだって理解していること、見えないところや気持ちを想像しようとすることって大事なんじゃないかなと思う。
(想像しすぎるとしんどいぞ。)
おすすめ。
1900円払った価値あり。
こりゃあカンヌ受賞するわ。
これってどういうこと?という不明点や、解釈が分かれそうなところもあるので、観た人と語り合いたい気分である。
ぜひ観てみていただきたい。
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