#634 読書記録「傲慢と善良」 …私は、傲慢で善良?
2024.9.2.
台風も直撃は免れ、無事に月曜日を迎えられたことに感謝。被害が出ている地域も多いようなので、一刻も早く日常が戻りますよう…。
さて、8月後半は4泊5日の九州旅行に行ってきたのだが、福岡…糸島…熊本…天草と、地味に移動の多い行程だったので、初日の朝イチに福岡空港に降り立ち、天神の本屋で、この旅で読む本を購入することにした。
それがこちら、辻村深月さんの「傲慢と善良」である。
本屋で偶然発見して気になった読んだというわけではない。私は当初からこの本に目をつけていた。というのも…
こちら↑の記事を読んでいたから。
ああ、これ、絶対自分が読んだら刺さるんだろうなと予想していた。
えー、結局、4泊5日の移動で全てを読み切り、読後の感想は言うと、
刺さりすぎて号泣。というより、抉られた。
婚活のフィールドで出会った1組のカップルが2年の交際を経て結婚することに。しかし、結婚式を数か月後に控えたタイミングで、女性(真美)が突如姿を消してしまう。彼女はストーカーに追われていた。男性(架)は彼女の行方を探すことに。
というところから話はスタートする。
前半は男性(架)目線、後半は女性(真美)目線で話が進んでいく。
★抉られる前半戦
この前半は行方をくらました真美の行方を追いながら、真美の過去をたどることになる。そして…朝井リョウさんの解説で腑に落ちたのだが、真美の生き方や婚活での振る舞いを知ることを通して、いつの間にか読者が自分の生き方や婚活での振る舞い(そして自分や他者をどのように捉えているのか)を内省することになるのだ。
婚活でうまくいくのは、ビジョンのある人。
うまくいかないのは、傲慢で善良な人。
「この人はありえないな」と切り捨てること。
ピンとこない、の正体。
こ、心当たりがあり過ぎて痛い…!
私も十分、傲慢で、善良だった。
★祈る後半戦
後半は女性(真美)視点で話が進む。前半が過去を辿っていくのに対し、後半は過去も挟みつつ、姿を消した後の真美の行動が描かれている。
前半のように自分のことについて考えさせられるというよりは、もう一度物語の本線に戻って、その後の2人がどうなるのかを見守ることになる。
最終盤、私はもう本当に、祈っていた。
どうか、この2人を幸せな結末にしてあげて欲しい!神様…というか、作者様!
高速バスで本なんか読んだら酔うから、天草行きのバスで少し読んでしまったことを後悔した。基本は電車移動中か、ホテルで寝る前に30分程という感じだ。
が、最終盤に差し掛かったのは帰りの福岡行きの高速バスだった。どうしても続きが気になって読みたい。少し読んでみて、酔い始めたら止めようと決めて本を開いた。
あまりに集中して読んでいたのか、酔うことはなかった。気付けば号泣していて、バス内で声を出さないように気を付けていて、顔も服も涙で濡れていた。
どんなクライマックスになるのかは、ぜひ実際に読んでいただきたい。
自分と、人と、もう一度真摯に向き合おうと思えた本だった。
婚活難航中の方、抉られる覚悟でぜひ読んでみていただきたい。そして、感想をぜひ教えてください。