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#498 読書記録「社会人大学人見知り学部 卒業見込」

2023.12.22.
11月から年内3冊の読書。今回の記録が2冊目。こっから先は冬休みだからもう1冊読めるはずだ!

ちなみに1冊目は柚木麻子さんの「BUTTER」。



毎回、読書の感想って書くの難しいなあと思うけれど…時間が経つと結構内容も忘れがちなので、せっかくだから記録を残しておこう!

今回は、オードリー若林正恭さんのエッセイ「社会人大学人見知り学部 卒業見込」である。

もともとなんとなく芸人さんとして好きだった若林さん。ドラマ「だが、情熱はある」が今年私の中で大ヒットし、急激に興味深い人として地位を高めた。

ドラマの中でもこの本が取り上げられていたし、内容がドラマの本編にエピソードに生かされているものもあった。なので、ドラマが終わってからずっと、いつか読みたいと思っていた本だ。

オードリー若林の大人気エッセイが文庫化! 単行本未収録作品完全収録
単行本未収録連載100ページ以上! 雑誌『ダ・ヴィンチ』読者支持第一位となったオードリー若林の「社会人」シリーズ、完全版となって文庫化! 彼が抱える社会との違和感、自意識との戦いの行方は……?

角川HPより


長い長い下積み時代、若林さんは社会からは遠い場所にいて、それがM-1でのブレイクをきっかけに30歳にして初めて社会という場所に触れていく。

書籍化にあたって、ブレイクしたての頃の話が「社会人一年生」というタイトルで最初に書かれていた。

ぼくにとって社会とは風呂なしの部屋を探している時にはコーヒーは出てこないが、風呂ありの部屋を探している時はコーヒーが出てくる。そういう場所としてインプットされた。
ぼくにとって社会とは月十五万円以上稼ぐと毎日自宅の風呂にはいれて部屋の温度を自由に決める権利を与えてくれる場所だ。
お金を持っていると高いレベルの医療を受けられるという元も子もない情報がえらく新鮮にぼくの中に定着した。

世の中の人はグルメ情報に興味があって、有名人の豪華なお家に興味があって、自分は全然興味ないものに対して興味のあるようなコメントをしなければならない。
虎のぬいぐるみを被って笑ってくれと雑誌で言われ、どうしてもそれができない。

ぼくは自分の価値観や感覚を急速に変えなければいけない。と感じ始めていた。「だが、しかし」という気持ちを残したまま。

「社会人一年生」内容の引用と要約

もうこの最初の章を読んだだけで興味深かった。若林さんの本音だだ漏れの文章は、どこか社会に対してトゲトゲしていて、警戒していて、遠くから睨んでいるような雰囲気を感じた。

それが…読んでいくと変化していくのが分かるのだ。

一年生、二年生、三年生、真社会人、卒業論文…。最初のトゲトゲは、目に見えて丸くなっていく。
最後の方のもので、半年休載することになったという話が出てくる。始まって数年は書くことに困ったことなど無かったが、最近は締め切りギリギリ。みんなからの誤解を解きたい、自分の考えを知ってもらいたいという思いをもって書いてきて、ペンも進んだが、最近は誤解されていることも気にならなくなったと。そして、社会に対して慣れてきたので、新鮮な目で見られなくなったと。でもそれは、成長と捉えることもできると書かれていて、ご本人も自分の変化について実感しているんだなと感じた。

最後の章の題名は、「社会人大学卒業論文」だった。

若林さんの目で見る世界がとても興味深くて面白かったので、その題名を見たときは単純に、読み終わるのが惜しいなと思った。

そこからの「あとがき」もね。
大事に大事に読んだ。

読んだ内容、すぐ忘れちゃうけれど、これは覚えておきたいと思った言葉がいくつもあったから、既に書いてあった通りのきちんとした言葉を忘れているので、本をもう一度めくりつつここに残しておこう。

ネタバレしたくない方は下の引用を飛ばしていただいて…


◆自意識過剰だなぁ。とよく言われる。
そう。その通りだ。誰もぼくのことなんか見ていない。それはわかっているのだ。
だがしかし、だ。ぼくなのだ。ぼくが!見ているのだ!

「自意識過剰」

◆(痛いのは嫌だけど、”確か”なものっていいよね!)
(嘘偽りのない”自分”お久しぶりです!)

「”確か”なもの」

◆「大丈夫だよ」と答えた。無論、本当に大丈夫かどうかは計算にない。方法も分析も考察も後だ。
大丈夫と言うことから大丈夫は始まるのだ。

「大丈夫だよ」

◆さよならネガティブモンスター。お前とは遊び過ぎた。飽きた。でも、たまには遊んでやるよ。すぐ帰るけどな。
ネガティブを潰すのはポジティブではない。没頭だ。

「ネガティブモンスター」

◆三日後、電話がかかってきて、春日は「どうしても幸せなんですけど、やっぱり不幸じゃないと努力ってできないんですかね?」と真剣に言ってきた。

ぼくは、とことんマトモになって幸福だと思ってみたい。できるなら、上昇しつつ。
ぼくは春日に憧れている。

「春日」

◆人嫌いと人見知りは違う。
本当は人に近付きたい。でも近付いて嫌われたくないという自意識過剰な人が人見知りになる。

「暗闇に全力で投げつけたもの」

◆「いいかい。この世に存在する理由には二つあった。一つは何かをしているから存在していいということ。二つめは生まれてきたら、何の理由も無くこの世界に存在していいということ。」

「牡蠣の一生」

◆ガッカリすること、腹の立つことには慣れていくのに感動することには全然慣れない。感動の初心者だからなのかもしれない。

「あとがき」



8つも出してしまった。他にもあったように思うけど。

この人の考え方、いろいろ面白い。引用したもの以外にも、「目上の人に手酌させるのはよくない」と指摘されたが納得いかなくて翌日図書館に行って調べた話とか、LINEグループの退会の仕方をあれこれ考える話とか、その辺りは真骨頂!という感じ。


社会人大学を無事卒業した若林さんが、

結果がついてこなくても、ただ足掻いて自己ベストを目指す日々は、それだけで自分に自信をくれると最後に書いていたのがすごく印象的で。

考え過ぎちゃって、
ネガティブで、
何者かになりたいとか思っていて、
人見知りで。

そんな側面をもつ全ての人に、社会に出て自分は今こんな風に思うようになったよと教えてくれるような本だ。



うーん。

やっぱり本の感想、難しすぎる!
伝わった?伝え過ぎた?

最後までお読みいただきありがとうございました。



#教員エッセイではない
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#読書記録
#大丈夫と言うところから大丈夫は始まる

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