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#284 授業実践記録/糸のこパズル(5年図工)・前半

2023.3.2.
月曜日は5年生の授業の日である。以前からちょっと一筋縄ではいかなさそうな学年だという噂を小耳に挟んでいたので、どんな風に授業を進めるか頭を悩ませてきた。

とりあえず、スタートは2クラス同じ日にしないようにした。高学年は残っている時数もそこまで多くない。

◆1週目…1組で授業開き。「色と模様のすてきなカード」
◆2週目…2組で授業開き。「色と模様のすてきなカード」
◆3週目…両クラス授業あり。「電動糸のこを使って掲示板作り」

こんな感じである。初回についてはこんな感じで↓


前段が長くなってしまったが、今回はこの電動糸のこの単元についての記録である。

先日開催された「芸術教育の未来を考える会」(専科の若手?+αで語らう会)でようやく認識したのだが、この単元はめちゃくちゃ知識技能に寄った内容にしてしまっているのが改善ポイントである。
とりあえず授業を回していて偉い!あーでもないこーでもないと考えながら頑張ってる!くらいのレベルのものだが、またもや新米図工専科、悪戦苦闘の記録を残しておこう。




授業計画

教科書では、これは「糸のこの寄り道散歩」という単元名になっている。

電動糸のこ切りの使い方を理解し、木材を自由に切り、切った形から想像力を働かせてオブジェだったり伝言板だったりを作るというものだ。

オブジェだとこんな感じ
伝言板はこの左のような感じ


指導書による目標はこんな感じ↓

【知・技】
板を自由に切ることを通して生まれた形やその組み合わせの動きや奥行き、バランスを理解している。
電動糸のこぎりの特性を生かし、板の切り方や組み合わせ方を工夫している。

【思・判・表】
切った板の形や組み合わせから表したいものを発想し、どのように表すか考えている。

【学び】
電動糸のこぎりで板を自由に切ることのたのしさを味わい、いろいろな組み合わせを試しながら主体的に表そうとしている。



授業が始まるまでにしておかなければならないと思っていたことは2つ。
◆糸のこの扱い方を学ぶ(学校のものがちゃんと使えるかも確認)
◆作品を自分で作ってみる
である。

だが、1回目の授業を5年生だけ分散させていたため、最初の単元に入るタイミングが他の学年より1週遅くなり、頭に「ああ…糸のこやらないと…」とあるものの、明日のことが先だと、後回しにしてしまった。


その間、学校の糸のこには触っていなかったが、いろんな資料を参考にして考えていた。

1つ目は仮説実験授業のサークルにいらっしゃるY山先生の実践記録である。5年生担任で、どうやら図工は担任が指導しているらしい。作ったのはパズルで、図工人というサイトを参考にして糸のこの指導をしたようである。

ということで参考にした2つ目は図工人のサイトである。

こちらはとても学びが多く、特に重要だなと思った点は
◇下書きの線を切らせない(線通りに切ろうとすると無理に力を入れたりして刃を折る可能性を高める)
◇刃の付け方や取り替え方の指導はしない(指導内容が多くなると大事なことが伝わりにくくなる)
という2点である。


伝言板作り用のキットは3学期用にと以前から購入してあった。だが、この「下書きの線を切らせない」という話を読んで、このまま伝言板を作るか否か悩み始めた。
自分の気に入った形の伝言板を作ろうと思うと、下書きした線を切ることになってしまう。キットの見出しにある作品例も線を切る感じのデザインだった。

これは…下書きをしないタイプの伝言板を作るか、作るものを変更するかしないといけなさそうである。

好きに切らせて組み合わせてオブジェにする?でも、あの子たちがオブジェ作りを楽しいと思えるのか?というかそもそも伝言板もあの子達に合っていないような気もする。

ネットの作品例なども見て思った。パズルがいいのでは?ピースは下書きなしで切ることになるし、あの5年生も楽しんで作れるような気がする。問題は、材料が伝言板用のキットだけだということ。これを利用してパズルはできるのか。困ったら、師匠に聞く!

題材以外にもポイントを教えてくださった!
安全面についても。本当にありがたい。

つまり、枠になる用の同じサイズの木材がもう1枚必要!金曜日の夕方、追い込まれすぎた私は流石に決断し、担任に購入の許可を取って教材屋さんに電話で相談した。カタログ見てもよく分からなかったし。キットに入っている木材はシナベニヤだったが、それよりもう少し安いラワンベニヤというものを持ってきてくれることになった。1回目は糸のこ練習&パズルの下絵だけにする予定なので…間に合う!

ギリギリすぎるが、何作るかは決まった。



授業準備

金曜日の夕方、5年以外の新単元指導を終えたばかりで私の頭はほぼ働いていなかった。今から…糸のこのチェック?場づくり?絶対ムリ〜〜〜。

復帰後は絶対しないと心に決めていた休日出勤。1月中旬で呆気なく破られてしまった。
朝イチ行って、絶対午前中で帰る。昼ご飯は持って行かない。終わったら美味しいランチを外で食べるのだー!



指導事項が多くなりすぎるので刃の付け方は子供に指導しないと決めたが、つまりは何かあったら取り替えるのは私である。私はきちんと理解してできるようにならねば。

デジタル教科書や図工人のサイトを読み込み、刃をセット。

きちんと糸のこが動くかチェック。電源入らないやつとか、買った時期が違うからちょっと仕様が違うものとかがあり、悪戦苦闘。何台使えて、ペアやグループはどうするのか。どの向きで置くのか。

結局、安定して使えそうなものが6台。ちょうどテーブルの数と同じだったので、テーブルで1台ずつとした。最後は、6台同時に稼働させて電源が大丈夫か確認。14時くらいになったが、とりあえず明日できるぞ!というところまでにして退散!



1回目の授業

この週はちょっと時間割がイレギュラーで、2組→1組という順番だった。

導入は、Y山先生の実践を参考に「のこぎりの歴史」から入ってみることにした。Y山先生がどんなふうなことをしたのかは知らないが、自分なりにのこぎりについて調べると、知らないことがいっぱいで面白い。数枚のパワポにした。

字ばっかり。いいの、実物見せながらなので。

手で引くのこぎりは3年4年と扱ってきているはずなので、まずは学校ののこぎりを出して「縦引きとか横引きとかあったよね」などと振り返る。そしてクイズ。のこぎりが作られたのはいつ?②や③に手を挙げる子が多かった。答えは…

④!!!子供からも驚きの声が。
ずっとずっと前から使われてきた道具なんだね。

その後は日本においてののこぎりの変遷。これはパワポに写真を入れて、ざっと紹介。のこぎりにも様々な種類があるが、江戸時代には今と同じようなラインナップがもう揃っていたそうだ。その中で、

だんだん核心に。

刃の部分が糸みたいになっている、これが糸のこ。そして、今からみんなが扱うのが、それを電動にした「電動糸のこ」!


実物を前に出して、電源を入れてスイッチオン。みんなびっくり。前に座っていいた男子に私のタブレットで撮影をしてもらい、電子黒板でも大きく見えるようにしてもらった。(多少見やすくなった程度だけど。)

動いているのはどこだ?

刃がついている部分が上下に動いている。のこぎりは刃があるからきちんと扱わないと危険だし、この音で怖いと思っている人もいると思う。

でも、電動糸のこの刃はここで固定されているので、みんなを襲ってきたりしないよ!

きちんと手元を見ながら正しく使えば、とても便利な機械だよ。

★糸のこの真ん前に立つ
★刃の進む先に手を出さない
★板はしっかり押さえる

この3点を確認し、1人ずつ私の目の前で2cmくらい木に切れ込みを入れてもらう。怖がって押さえる位置が遠すぎる子にはもう少し近くを押さえるように声をかける。(ちなみに2組は1人ずつやる間にきちんと待てたが、1組は待てずざわざわ時間になった。反省。でも全員私の前でできた。)


配るキットには伝言板と書いてあるけれど、これを使って、パズルを作るよ!(ここで、よっしゃーと言ってくれた子が数名いて、ちょっと嬉しい!)

この後は前後半に分けて、片方が下絵を木に描く間にもう片方は糸のこの練習。木材はたくさんないので、ダンボールを切る。

私は糸のこ組の方を注意して見ることにして、絵はもう自分の好きなものでOKとした。


なんとか…初回終了!



次回に向けて、その週の放課後に自分のパズルを作る。なんか細かい絵を描こうとしている子が多かったので、できるだけ大雑把な感じで作ろう♪

可愛いのになったぞー!

いつになるやら分からないが、後半に続く!



3500文字。お付き合いいただきありがとうございました!



#教員エッセイ
#授業実践記録
#5年図工電動糸のこ

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